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渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

映画『地獄への道』(1939)

2023年05月12日 | open





戦前の1939年のカラー作品。
鉄道会社の地上げの横暴とそれ
に反抗したジェシー・ジェーム
ズと兄のフランク・ジェームズ
を描いた作品。
2001年の『アメリカン・アウ
トロー』はこの1939年作品の
リメイクであると分かる。
シナリオも同じではと思える
程に台詞と展開が重なる。
本1939年作が叩き台になって
2001年作品が完成したのだろ
う。
本作は戦前ながらテクノカラー
で撮影された。

南北戦争以降、太楽横断鉄道
を始め、鉄道網の伸延は土地
を開拓した開拓農民たちの土
地を1エーカーあたり1ドルで
鉄道会社に売却しなければ
取り上げる、という無道を生
んだ。
東部の資本が暴力で地上げを
実行しまくったのだ。
そこで多くの悲劇と惨劇が現
実の歴史でも繰り返された。
このテーマを扱った西部劇は
多い。



アメリカの鉄道の発達は、綺麗
事では語れない多くの人々を犠
牲にした上に成り立っていた。
資本こそが人々を暴力で苦しめ
た。
1862年に成立した開拓した土地
は所有できるとしたホームステ
ッド法も鉄道資本は実質的に無
視した。
実はアメリカの無法時代とは、
その主たる暴虐の担い手は、
アウトローたちではなく、資本
こそが人民を苦しめたのだった。
人民の人民による人民の為の
政治は、実は資本家の資本家
による資本家の為の政治にな
っていた。
それが資本主義国家アメリカの
歴史であり、自由であった。
人を暴力で虐げて一部の人間が
富と利を得る。
殺人などもいとわない。
そうした事をする自由。
それは、国家や資本が自分たち
に都合のいいように法律を変え
て実行した。
先住民たちへの騙しと虐待、虐
殺などは筆舌を尽くしたし、そ
の矛先はアメリカ人の白人開拓
民たちにも向けられた。
それがアメリカ合衆国の歴史だ
ったのである。

西部劇は娯楽映画だが、アメリ
カが現実に抱えた負の歴史を深
くえぐる作品も多い。
むしろ、そうした作品のほうが
多い。
だからこそ、絵空事のオハナシ
ではなく、現実に起きていた自
分たちの歴史としての背景があ
るから、アメリカでも西部劇が
人気があるし、人々は西部劇を
見て感動するのだろう。
映画ドラマの映像作品とはいえ、
現実に歩いて来た道を映像化し
ているからだ。
日本でいうならば、あたかも
『カムイ伝』のように。
『水戸黄門』ではなく、『カム
イ伝』のように。

アメリカの鉄道は、人の土地を
強奪に近い形でぶん取る事によ
って敷設されて来た歴史がある。
電信と鉄道は、アメリカの全体
的な経済構造の変換をもたらし
たが、そこには多くの人々の犠
牲があったのは事実なのである。


この1939年作品がベースになっ
て2001年の『アメリカン・アウ
トロー』が製作されたのは確か
だろう。
台詞とストーリーと展開だけで
なく、ジェシーのおふくろさん
まで2001年版はそっくりだ。


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