
タンデムの事をニケツという。
最近の人たちはニケツしない
らしい。
オートバイは一人で乗る物だ
から、なのらしい。
それは正論だ。
ただ、人の世の中、正論が正義
でも正統でも無い事を知ってい
るのだろうか、という疑問は
持つ。
自動二輪で複座で車検を通って
いるのは、二人乗りが前提の乗
り物として認可登録されている
からだ。
ニケツはソロ運転とはまた別な
楽しさがある。
うちなんて、かみさんが「娘
さん」だった頃に後ろに乗せて
あちこち行ったりしてたら、
いつの間にか自分で二輪に乗り
出して、知らぬ間に自動二輪の
免許まで取ってたもんなぁ。
気がつきゃ、俺が走るサーキット
のピットでボード出してた。
大笑いの嘘みたいな本当の話が
ある。
学生時代のある真夏、俺は九州
にいた。
大分の竹田城のほとりで高台か
らロードを見ていたら、パーン
と吹け切ったいい音をさせて
彼方から走って来るオートバイ
がいた。
「いい音させてるなぁ」とか
思って見ていたら、俺が叔父
から貰ったのと同じ革ジャン
で見慣れたヘルメットの女の子
らしき人がパァーーンと駆け抜
けて行った。
マシンも見慣れたモデルだ。
「やあ、世の中似てる人はいる
もんだね」とその時は思った。
横浜に帰って、その事をのちの
かみさんに話すと、「え?日時
いつ?」と言う。
詳しく話したら「それ!あたし!」
と言う。
なんとー。
俺のアルアル物語の始まりはこれ
だった。
世の中、ほんの数分違ったら、
すれ違いで全く出会いもコンタ
クトも無い事が人と人にはある。
だが、かなりの場面で、それは
我々が知らされていないだけで、
天からしたら「予定通り」の事
が実はかなりある。
出会いの不思議体験は、天に
導かれている。
但し、それであると脳内妄想し
て、それらしい事を口にして接
近して来る族は、まずニセモノ。
大抵は、テメエ大事の裏切りを
いけしゃあしゃあとやって、
パッと一方的に連絡を断つ。
それだけならよいが、散々てめ
えが私淑してた風をぬかしてお
きながら、一転してこちらを小
汚く攻撃する側に回る。
「敵」である。真の。
そもそも、スパイは現代でも
即死刑が世界の常識だ。
ぬるい日本で、死地とは無縁
の出鱈目な生き方をして来た
からそうした事ができる。
俺から言わせると、完全に
「あっち」の人間だ。
俺には無縁だ。
これ、結構大切で、武士とは
そういうものだったろうし、
実際にそういうものだ。
それは時代や時空を凌駕する。