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渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

ドラマ西部劇『ホアキン・ムリエタの首』(2023) (再掲)

2025年05月20日 | open
 
 
1852年。西部開拓時代。
まだ南北戦争の遥か前。
アメリカとの戦争に敗れた
メキシコ軍将校は、戦争
後に
部下の遺族を訪ねる
購いの旅
にいた。訳あり
で育てる中国
人少女と共
に。
二人はいつの間にか、横暴
合衆国では手配書付き賞
金首
のおたずね者になっ
ていた。
 
展開が面白いので観ていた
ら、
あれ?と。
少女ガンマンがダブルアク
ション
のS&Wを使ってる。
をひ、まてよ、と。
で、悪の米軍将校はパーカ
ッシ
ョンのコルトネービー
(.36口径
がネービー、.44口
径がアーミー)
に何やら金属
カートを詰め替え
る仕草を
している。
待てよ、おい、
となった。
 
決定打。悪い奴らにインデ
ィアン
の妻と子を虐殺され
た男の復讐の
銃撃戦。
悪の米軍兵士が使う銃。
 
これね、絶対にあかんやつ。
このシーンは1852年ですか
らね。
絶対にあかんて。
こういう出鱈目は絶対に!
タイムスリップ物ならとも
かく、
時代劇でこれは駄目。
やっては
だめ。
日本の戦国時代の合戦で、
テッポ
ならなんでもいー
じゃん、と製作
が戦国
時代の鉄砲隊に89式
小銃
を持たせるようなもの。
「え?何か?だって同じ鉄
だよ」
という出鱈目で
無責任な仕
事ぶりが本作
ドラマには存在する。
どんなにストーリーが良く
とも、
この銃の扱いの表現
一つでこの
作品は最低にな
っている。
製作者の姿勢が底辺以下な
のだ。
駄目、これ。
そのうち1852年の撃ち合い
UZIサブマシンガンとか
出て来
そうだ。
時代物を描きながら、その
時代
に存在しない事物を映
像で描く
のは、それは時代
的背景や人間
たちの姿さえ
も蔑ろにしている
のであり、
やってはいけない。
何を描こうが自由じゃない
か、
というものではない。
邦画『スキヤキウエスタン 
ジャンゴ』のようなパロディ
ストーリーならともかく。
『日本以外全部沈没』とか。
シリアスな映像作品で、し
かも
時代劇が時代を尊重し
ない映像
は、すべて出鱈目
な作となる。
何がダメって、それは製作
者の
姿勢と創作思想だ。
時代への敬意も何も無い。
上っ面のアクションと薄っ
ぺら
な人間物語だけで時代
を生きた
生の人たちの葛藤
や悲しみや
喜びを描ける筈
がない。
外してはならないボーダー
ライン
というものが映像製
作にはある。
本作、スカである。
久しぶりに、まともそうに
見え
実は作り手がスカ
という作品
観た。
 
来るだろうなーと思ってい
たら、
やはり1873年に米
陸軍採用されたピースメー
カーまで出て
来た。作品が
描く時代は1852年
です。
やめろって。
 
主人公が使う銃はスペインの
デニックス社のモデルガンだ。
日本のを真似して作ったが、
リアルさに欠けるやつ。
シリンダーに変なスリットが
入ってるでしょ?これがデニ
の特徴。
しかも、この役者、パーカッ
ション銃なのに雷管を被せて
いのに撃とうとしている。
このテレビ映画、何もかも❌


また出て来る。
助っ人になるインディアン
戦士
が渡した拳銃はコル
トのパーカ
ッション
ったが、撃つ時はこれ。
全てがテケトン。


ダブルアクション、スイング
アウトシリンダーのニッケル
メッキモデル。
 
銃撃戦で青服の米兵が使う
のは
ピースメーカー。
1852年の設定で。


そして、やはりダブルアク
ション。
スイングアウト式。
繰り返すが1852年設定であ
る。
勝海舟が江戸城から電
話かけてる
ようなもん。

 
ある事に気づく。
その後も、徹底的に銃に関
して
は適当だ。
主人公の中国人少女も現代
銃で
育ての親であるホアキ
ンを撃っ
た。
そして、銃に関しては、持っ
いる銃が構えて撃つ時に
変わっ
ていたりとかがやた
ら多い。
つまり、銃については、時
代考
証が出鱈目ではなく、
どうでも
いいと思っている
のだ。
手にした銃を構えて撃つ瞬
には別な銃になる。
そういうのだらけなのだ。
しかも、銃は別なシーンで
使用
した物を使い回し。
 
なので、見えた。
銃の時代考証が出鱈目なの
では
なく、この作品の製作
者の意識
が出鱈目なのだ。
たとえば、現代カーアクシ
ョン
映画で、カーチェイス
をしてい
て、主人公や追跡
者の車がコー
ナー曲がるた
びに色や車種や
メーカーが
ランダムに変わる
ような映
像なのだ。
時々ダンプになったりする。
「いや、車だから一緒だろ」
みたいな感じで。
 
これほど、銃器に関してい
い加減
な西部劇は初めて観
た。
西部劇どころかこの手の映
像作品
は初めてだ。
メキシコの製作。
アメリカ人とインディアン
を徹底
的に悪く描くのは自
由だが、銃
の使い方の視点
がそのような出鱈
目という
事は、描きたいメキシコ

アメリカの関係やその中で
苦し
みもがく人たちの描写
や取り上げ
方も信用できな
い出鱈目、という
事になる。
本作、ウルトラ駄作だ。
駄作というより、製作者の
無責任
さが映像に収められ
てしまった
作品。
製作者の不誠実な人間性を
世に
出している作品だ。


 

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