渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

箱根

2021年02月10日 | open
 
1984年盛夏、箱根。
早朝7時過ぎに相方弁護士と走っていた。
水曜日の朝。毎週水曜の朝は箱根を2台
で引っ張り合いながら走っていた。
 
その日は、西湘バイパスから国道1号の
塔ノ沢・小涌谷抜けでも有料の国道1号
自動車専用道の箱根新道からでもなく、
東急ターンパイクを通ってスカイライン
アプローチしようということになった。
夏なので二人とも革ツナギの上にトレー
ナーは着ていなかった。

ターンパイクは勾配がきつく、直線も多い
ため、峠族などは来ない。快適に行ける。
峠族は主に椿ラインに集まっていた。
超低速コーナーが連続する一般道だ。
私たちが毎週行っていた箱根芦ノ湖スカイ
ラインルートから乙女道路へのルートは
有料であり、高速コースであったからか、
ほぼ峠族は皆無だった。貸し切りのように
バンバン走れた。
しかし、峠族がいなかった最大の理由は、
見物コーナーが無かったからだろうと思
う。退避エリアのあるヘアピンは多くな
い。ルートは高速コーナーが連続する。
飛んだら即サヨウナラ的な。
これは伊豆スカイラインもそうだ。
最近、伊豆スカイラインで二輪で300出し
ている動画をネットで見たが、出る車だ
とそうなるのだろうなあ、と思う。
我々は峠でメーターを振り切るまで出し
たことはない。うちらは法定速度ね(笑)。


小田原から登って行って、左高速スプーン
を超えた時だった。
 
まさにここ。


ブラインドを抜けるとバイクが車線の
真ん中にひっくり返っている。
それどころかライダーがバイクの横
にかがみ込んで何かやってる。
2台でバイクと人をかわしてから
Uターンして戻ってバイクから下りて
声をかけた。
「どうしたのー?」と。
見ると、倒れたバイクを起こそうとも
しないで、水筒(ペットボトルは存在
せず)の液体をエンジンにかけている。
「なにやってるの?どうしたのよ?」
と聴くと、はじめてこちらに気付いた
ように、その人が言う。
「走っていたら眠くなって転んで
しまった。エンジンが熱いから水
かけてる」
と。
「そんなことしてもエンジン冷え
ないよ!」と言って、私と相方弁護士で
バイクを起こしてあげた。
そして、「こんな道の真ん中にいる
と危ないよ」と言いながら、溝に落ち
ないようにバイクを端に寄せて、そし
て山あいの地面に腰掛けるように
促した。「ここで休みなよ」と。
聞くと名古屋から夜通し走って来て、
道を間違えてしまったのだという。
どこまで行きたいのか尋ねると、
東京だという。
車線逆方向だよ・・・。よほど疲労
運転だったのかなぁ、と思った。
私より年下の学生さんだった。
今思い出すと俳優の佐藤隆太さんに
似ている人だった。その時佐藤さんは
まだ4歳だけど。
静岡方面から山間部に入って来て、
国道1号から間違ってターンパイク
に入ったようだ。
どうしてこっちに?とは思うが、
ボーッとしていたのだろう。
が、道が違うと思って静岡方面に引き
返していたそうだ。そしたら朦朧とし
て転んでしまったという。
箱根ターンパイクをそのまま下れば
小田原あたりの海沿いに出られるので、
そこから西湘バイパスか国道で東に
海沿いを向かうといいよ、と教えた。




相方と暫くその人の様子を診ること
にした。またいつ意識不明に陥るか
も知れないからだ。
救急車を呼んでも到着まで何時間も
かかる。どこの峠でもそうだが、
峠で命を落とす場合は、即死か、もし
くは、救急車到着までに絶命かが多い。
その人はコテンと転んだだけで、別に
命に別状はなく、擦り傷だけだった
ようだ。
ただ、意識朦朧として転んだという
のが気になって、弁護士ともども
暫く付き添っている事にした。
30分くらいしたらシャンとして来たが、
「どこか休める所まで頑張って走って、
そこでしばらく休憩したほうがいいよ」
と言ったら「大丈夫です」「ありがとう」
を繰り返すばかりだ。
大丈夫かなぁ、と思って、どこかまで
2ケツで乗せて行って、バイクは陸送して
あげてから戻って、とか思ったが、
考えたらうちら2台ともシングルシート
じゃんかよっ!
本人も恐縮しまくりなので、気をしっかり
持ってくださいね、と言って別れた。
方位感覚失っていたようなので、彼が
持っていた地図で現在地点と行きたい
方向と降り口等を教えた。

なんとか無事に走って行けた事だろう
と思う。


箱根の道路は芦ノ湖上の山なみの天辺の
尾根を縦断する芦ノ湖・箱根スカイライン
が絶品だが、アプローチ路線にも魅力的
なルートが多くある。
ターンパイクは私設道路で、東急の後に
オーナーが二転三転したが、景色も良い
快適ロードだ。坂道が急だけど。
走っていて気持ちが良いロードなので、
二輪でも四輪でも、箱根に行かれた時
には、ぜひともターンパークを走ること
を試されたらいかがでしょうか。
緑が多い時期がおすすめ。


ターンパイクは走りそのものよりも
空間移動を楽しむためのロードです
が、芦ノ湖・箱根スカイラインは
走りも堪能できます。
四輪車や二輪車の雑誌や番組の走行
レビューはほぼ全部ここで撮影して
いる。
映画『キリン』の冒頭にキリンが
走る峠はここです。箱根スカイライン。


芦ノ湖スカイラインは箱根スカイ
ラインに繋がっています。
毎週ここを走っていました。
途中で芦ノ湖まで下りて給油を

2回ほどして。
私はあまり全国各地は走ってないの

ですが、私が知ってるロードでは、
箱根の天頂ルートは最高です。
機会があれば是非行かれてみては。
真冬は閉鎖です。真夏がおすすめ。
ただし、事故ると救急車来るまで

3時間以上かかるので、事故注意です。

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