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(堀越学園)
男女二組の高校生が学校帰りだ
ろうか、ダーツをやりに来てい
る。堀越の制服に似ている。
躾なのかなぁ。
とても感じが良い。
ザ・青春!みたいに四人とも爽
やかだ。
気づく事がある。
多分地元の子たちだろうが、言葉
がちゃんぽんだ。
標準語ぽい備後弁。
標準語の末尾に「〜とる」や「〜
せん」をつける。「じゃけぇ」も
「じゃろ?」「〜るん?」「なん
なんこれ」も使うが、末尾に「や
ん」も言う。「そやな」も。
そして、「じゃん」もやたらと
使う。「〜さ」も。
基本は標準語をベースに、広島、
大阪、横浜、東京の言葉がちゃん
ぽんになっているのだ。
ゴリゴリの広島弁や備後弁では
ない。
そもそも広島は「やん」は使わ
ない。
若者言葉は、薄い方言があるに
はあるが、方言が方言としてで
はなく、標準語がベースでそこ
に残存する(たぶん親たちからの
伝授としての)言葉が加味されて
いるのが判る。
雰囲気の良い穏やかな高校生た
ちで、とても感じが良い。
年末に来ていた集団のオラゴルァ
の高校生グループとはかなり別。
とてもよい空気だ。健全で、爽
やかなティーン。バカ騒ぎも一切
しない。
ナイススコアが出た時には、感嘆
の声を出すが、慎み深い。
進学校なのかな?
ここらの学校の制服はよく知ら
ない。
東京もちゃんぽん言葉になって
いるのだろうか。
この現象は不思議で、テレビに
よる影響とかではない。
なぜならば、私の時代でもテレビ
は全国普及していた。
だが、大阪弁を話し言葉で使う
東京人はいないし、「さぁ」を
使う大阪人は皆無だった。
北九州では大学一年の夏に帰省
した奴が高校時代の仲間と会っ
た時「だからさぁ」と言ったら、
「なんかきさん?!東京もんか、
くらす(殴る)ぞコラァ!」と言
われた。(実話)
私が小学生の時の1970年代初期
には、横浜から埼玉県の大宮に
転校した時には私の言葉を「そう
ジャン、やるジャン。ジャンジャ
ンジャン」といじられた。現さい
たま市の小学生はジャンは全員
初耳だったのだ。
広島では、男は全員ワシであるし、
男女とも地言葉オンリーだった。
テレビは充分にあった。
だが、言葉は首都圏でさえ交叉
していなかったのである。
ハマ言葉は埼玉では通じなかった。
今から半世紀前の時代には。
逆に、ハマで「そうなん?」とか
言う奴は一人もいなかった。
これは今でもいないだろうが。
今の言葉のちゃんぽんはネット
の影響?
これはよく分からないが、何か
が確実に影響しているのだろう。
それはどうやら、ここ10年程で、
何か社会的に変わったと思える。
何かある。
また、同じ学校の友人たちだろ
うか。5人組の男子が来た。
みんな勉強できそうな感じ。
真面目くんで、立ち居振る舞い
も粗雑粗暴粗野ではない。
「うるせえよ」と友人に言って
る。方言ならば「やかましい」
だ。確実に言葉が変化している。
素行も普段見る地元のティーン
とはかなり異なる。
土曜の早い午後。
客層が夜とはまるで異なる事を
発見。
騒がしくなって来たが、粗暴な
喧騒ではなく、心地よい。
まるで、高校の教室の休み時間
のような雰囲気だからだ。
不快ではない高校生たちの朗ら
かな盛り上がり。
良い若者たちを見た。
態度も身だしなみも清潔感があ
る。
ビリヤードやってみたいなぁと
女子高生が男の子と呟いていた。
申し入れがあれば、引き上げて
テーブルを渡すつもりだ。
時々「いつまでやるんすか?」
とふんぞり返って言って来るのが
いるが、その手には「それはこち
らが決める事。おたくには関係
ない」と答えている。
私の連れなどは非礼であるとし
てブチ切れ毎度だが、まぁまぁ
となだめる。
物は言い方次第だろう。
言葉の向こうには「気」が見える。
それ、かなり大切。