渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

ゾーリンゲン

2020年07月11日 | open



研ぎ依頼で入って来ていた友人のゾーリン
ゲンナイフ。
研ぎ上がったが、コロナ蔓延警戒のため、
コロナが落ち着いたら居酒屋あたりで一杯
やる時に返却の段取りとなった。
お店では梱包解いて出せないけどさ。


ドイツの鋼刃物の名産地のゾーリンゲン
のナイフも、少し前までは日本が高い技術
を持つため日本の岐阜県関市でOEM製造
されていた。
イトコがヨーロッパ旅行の時にウキウキで
ゾーリンゲンの包丁を買って来ていたが、
「それ、日本製」とは、よう言わんかった
だす・・・。

防錆ラッピングしています。
本物ゾーリンゲンの鋼はとても砥あたりが
よく、研いでいてもタッチが良い。
切れ味も良好です。
ビンテージナイフなので、フラットに近い
ハマグリ刃(平地)のグラインドです。
刺突用の両刃でしたが、現行法に適合する
ように完全に片刃にすべく、私が以前の研
ぎの時に背刃を無くしています。刃引きで
はなく、完全成形により刃部を消滅させま
した。


良い刃物は千年でも残る。
このゾーリンゲンナイフも60年以上が
過ぎています。
ドイツの古い軍用将校剣のように格調高い
品のあるブレードと将校軍装のような純正
シースが付属しています。
シースはかなりオイルアップして、どうに
か復活した。以前のリペアの時に革がまだ
死んでいなかったのでなんとかなった。
御父上の形見のナイフなのだという。
父から子へ。子から孫へ。
刃物の正しい継承のように思える。
日本では、日本刀がそうした歴史性を持っ
ていた。
そうした日本刀のようなマシンであって
ほしいという願いによってヤマハXSR700
は作られた。
開発総責任者の製作者本人も日本刀愛好家
である。
このゾーリンゲンナイフを見ていると、
何か大切なものを人がまだ失っていなかっ
た頃の大事な何かに触れるような感慨が
湧く。
これは、日本刀を眺めている時の感覚に
よく似ている。

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