
以前、うちでナンバー台座を
厚意でロハでアルミプレート
で作ってあげた子の250ccの
ホンダのスポーツ車で試走し
ようとしてやめた。
驚いた。
前輪ブレーキがエア噛んで
スカスカなのだ。危険すぎる。
「これでどうやって乗って
いたの?」
と尋ねたら、「前輪ブレーキ
は殆ど使った事ない」と言う。
「はあ?」とか思った。
高速度走行をせずとも、二輪
車は前輪ブレーキによって適
切な制動を得るという基本的
な二輪の運動原理をまる無視。
免許取り立ての二十歳の若者
だった。
教習所の嘘教えをそのまま信
じ込んで後輪の踏み込みのみ
で今まで街中を走っていた
ようだ。
こうした嘘が現代では蔓延して
いる。
ある時、街道で目の前の信号
が黄色になったので急制動し
た。急制動といっても50km/h
制限速度からの短距離信号停
止だ。中指一本のみの前輪制
動による停止で、停止線手前
でごく普通に停止した。
すると、斜め後ろを走っていた
大型バイクがガシャンと音を
立てて転倒したまま私の横を
滑走して信号の途中で停止した。
前輪ロックによる転倒だった。
運転者負傷。
救出して、馴染のバイク屋だ
という人に連絡してレッカー
で助けに来てもらった。
私もその場で待機した。
その大型バイクはエンジンも
かかるので私が起こして路肩
に寄せて。
保安部品等が片側全損なので
走れない。レッカーだ。
そしてやってきたバイク屋の
あんちゃんが言う。
「前ブレーキは使ったらダメ」
と。「後ろブレーキのみで止
まるのだ」と。
「はあ?」と思った。
現代は非常識が常識であるかの
ようにまかりとおっていると
いう現実に直面して、やはり
かぁ・・・と驚いた。
うちに来たホンダ乗りの子の
バイクはフロントブレーキの
エア抜きをやってあげた。
そのまま走り出したら危ない
ので。
軽く握り込んでもレバーが
グリップにペタンと着いて
しまう程だったが、フルード
交換後はカチッと正常に利く。
ホースからの漏れも見当たら
ない。
ただ、ピストンの動きが悪い
ので、「ブレーキキャリパー
周りの中をオーバーホールし
たほうがいいよ。きちんとし
たバイク屋さんで」とアドバ
イスした。
フルード交換位ならばよいが、
他人のブレーキ周りまでは
私は整備しない。二輪整備士
ではないからだ。自分の二輪
は自分でできる限りの事はや
るとしても。
ただ、私の住む市内にはまと
もなバイク屋は一軒も無いの
で、市内でキャリパー整備を
依頼すると果たしてどうなっ
てしまうのか・・・。
上述の後輪ブレーキで止まる、
というような事を平気で言う
のが市内のバイク屋だ。
なお、市内のタイヤ交換は1本
あたり12500円の工賃を取る。
しかも、バランス取りはでき
ないのでやらない。
高速道路走れないよね、普通に
考えても。
私などは原付のタイヤ新品交換
お願いしたら、タイヤの向きを
逆向きに装着されてしまったり
した(笑
笑い話ではない実話でその手の
話が一杯市内の「バイク屋」に
はある。
そういう店ばかりが二輪専門店
と称して何軒も市内には店を
構えている。
そして、いろんな店で店員と話
をしてみると、二輪車そのもの
に対する見識が異様に低い。
困ったもんだ・・・。
とても良い店があるにはあるが、
そこは原付専門店なので、中型
以上はみてくれない。
いやぁ、専門メンテの依頼では
市外まで何十キロも走って行く
のも分かるでしょ?(笑
友人などは車検まで自主車検に
切り替えてしまった(笑
後輪ブレーキの使い方としては、
高速度走行中に後輪をあてなが
らスロットルを開けるという
技法もあるが、それは特殊技法
だ。
なお、挙動原理としては、後輪
を前輪よりコンマ早くあてると
リアが沈むのでその直後に前輪
をかけるとフロントダイブを
軽減できるという技法もある。
ただし、キャスターは立ったまま
なので、旋回性は低下する。
これらの後輪ブレーキの使い方
はどれも制動とは別な要素で
後輪ブレーキを積極的に使用
する技法であり、止まるために
後輪ブレーキなどは使わない。
後輪ブレーキは、超低速の時や
信号で停止している時に有効
なブレーキであり、制動装置と
いうよりも車体安定装置という
物理的な意味合いが強い。
タイヤの回転を抑えるのが制動
ではないのが二輪車の特徴だ。
そして、制動は主として前輪
のみに仕事をさせるのは二輪車
操縦走行方法の大原則だ。
これは二輪車の物理特性から
きている。
動力付二輪車の運転・操縦・
操作においては、思い込みと
かは一切排除される。
すべては物理的な現象をどう
人間が扱ってコントロールし
ていくかが二輪の運転の中心
となる。
二輪は傾けると前輪が自分で
内向性を得ようとする。構造
上。それがセルフステアだ。
走行中に右に曲がろうとする
時に人力でハンドルを右に切
ると車体は起き上がる。
右に倒す場合には左にハンドル
をあてると右に倒れる。
そしてそこから前輪は自分で
右に向けて内向性を得て旋回
を開始する。
走行中に右に曲がりたいからと
ハンドルを右に切れなどと教え
るのは大嘘であり、危険走行
以外のなにものでもない。
とにかく、危険な嘘を広めよ
うとする人が今の時代には多
すぎる。
正確な知識と正しい操縦方法で、
どうか二輪運転者の方々は安全
を確実に身近に引き寄せてほし
いと心から願う。