私は左右どちらかのコーナー
が苦手、というのは無い。
ただし、好みはある。
サーキットと違って公道で
の左コーナーは曲がり易い
が、好きなのは右コーナー
だ。
公道では特に右が好き。
だが、どちらが苦手、どち
らが得意というのは無い。
コースと違って、公道の場
合はあまりにファクターが
左右で違いすぎるので、私
は公道の右と左は別物と考
えているし、走りもそのよ
うに組み立てている。
公道における左右のコーナ
ーにはいろいろな違いがあ
る。
<左>
・転倒したら対向車線に
飛び出す可能性大
・路面の断面形状から純
カントがかかり、トラ
クションが増す
・トラクションが増すとい
う事は速度を上げられる
・トラクションが増す事に
より、挙動変化において
変な事をやるとドン突き
が出やすくなる
・左側通行なので視界がブ
ラインドコーナーになり
やすい
<右>
・イン側=センターライン
に寄りすぎると、車体も
しくは身体が対向車線に
はみ出る可能性がある
・路面の断面形状から相対
的に逆バンクに近い状態
になる
・路面形状によりミューの
変化が低下する現象が発
生する
・物理的に左に比べてバンク
角が浅い段階で膝や車体
を擦る可能性がある
・路面形状によりミューの
変化が急激に発生しやす
いレイアウトもある
・左コーナーよりもスリップ
しやすい
・慣性もしくは任意前後輪
ドリフトが使いやすいが、
アンダーも出やすい
・センターライン付近には
砂利が溜まっている事が
多いので、そのエリアラ
インを通ると思わぬグリッ
プ消失によるスリップが
突然発生しかねない
・ミュー変化によりウォブ
ルやシミーの発生助長性
が高まるケースがある
・対向車がセンターを割っ
て飛び出してくる可能性
がある
・左側通行なので前方視界
が左コーナーに比べて開
けている(対向車線分)
他にも多くあるが、割愛。
左右のコーナーを安全に走
行するには、左右ごとの特
徴をよく把握理解して、そ
れに見合った走り方をする
アプローチで「走り」を組
み立ててれば転倒は避けら
れる。かなりレーシーなペ
ースで走っても。
また、逆を言うと、法定速
度や規制速度を守っていて
も、適切適正的確な操作を
しないならば、それは転倒
に直結する。
まず、「道を読む」事から始
めないと、ワインディングロ
ードは安全に円滑に走れない。
別段ワインディングだけでな
く街中でも街道でも高速でも
そうだが、二輪車は下半身で
マシンをホールドし、上体は
脱力させる。
腕などは、たんたんタヌキの
ブーラブラだ。
ロードの旋回では肘は決して
モトクロのように横に張った
り、閉じたりしてはならない。
後ろから見たら自然なハの字
のような脱力させた下に肘が
向くようなフォームにする。
頭部は低く位置取り、顎を軽
く引いて、目線はコーナーの
インの先を見る。ヘルメット
ごと進行方向の先にメットの
前面を向ける。
そうした乗り方は、速度に
関係なくいつも行う。
速度によってその振幅に大
小が生じる=度数が異なる
だけで、やる事は同じ。
あと、ただ車体を寝かせた
だけでは、安全性は確保で
きない。
前後のサスを沈ませて、タ
イヤを潰す事によってグリ
ップと路面からのトラクシ
ョン(牽引性、接地性)を得て
二輪は走らせる。
特に旋回時には。
このトラクションを得るよう
な乗り方は、なにも高速度で
なくとも、法定速度以内、規
制速度以内でもできる。
二輪車の基本的な挙動と操作
操縦を知悉していれば。
そうした事の内実は、術技の
中味そのものになるので、机
上理論学習からは体得は不可
能。
実践を通して、自分で体感し
て実感を掴んで体得するしか
ない。
タイヤは潰して二輪は乗る。
そういう事を常に考えて、
考えて、考えて、実践を積
んで多角的に自他を解析し
て、また実践にフィードバ
ックする。
それを繰り返して、走行時
間(飛行時間のような)を伸
ばせば、気が付くと私のよ
うに40年間公道ワインディ
ングでも無転倒、という結
果が出て来る。
公道では絶対に転んではな
らない。
それは「事故」だからだ。
立ちごけや超低速Uターン
ごけも事故である。
「よくある事」などとする
態度や発想や言動は、二輪
の危険性認識度が著しく低
い。
そういうのはとても危ない。
人間的な立ち位置が。
凍ったビルの屋上の欄干上
で下駄履いて片足ケンケン
するくらいに危ない。
ただでさえ危ない乗り物が
二輪であるのに、なにも尚
更危なくする必要はない。
立ちごけはやってはならな
いのだ。Uターンごけも。
教習所などでも車体を転倒
させたら即卒検中止でしょ
う?たぶん今も。
理由は、それは「事故」だ
からだ。
自分への認識は厳しく持と
う。
二輪にはキッと気を引き締
めて乗ってほしい。
自分自身と他者を守るため
にも。
あと、左右だけでなく、も
う一つの重要な要素が公道
ワインディングにはある。
それは登りと下りではマシ
ンの物理的挙動に明確に差
異が出るという事。
この事はかなり深いので、
折をみて別項で記したい。
単に下りではこうしたほう
がいい、登りでは・・・と
いう単純なものではなく、
二輪の運動特性として明ら
かに別物の物理的特性が二
輪の挙動に現出するのだ。
そのカラクリを知って、理
解して実践で対処する。
それに加えて、下って登る、
登って下るというレイアウ
トが左右連続コーナーの中
にあったならばどうするか、
という問題もある。
それら全体が左右のコーナ
ーで複合的に複雑に絡まっ
てくる。
公道のワインディングを走
るのは奥が深く、実に面白
い。
詰将棋よりも深く、面白い。
ある側面においては、サー
キットのコースよりも面白
い。
公道はサーキットのコース
とは別次元のスペシャルシ
ンキングが乗り手に問われ
て来るのだ。
そして、ロードは君を待っ
ている。