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渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

あぶ玉

2020年10月25日 | open


私の妻にはオリジナル料理があります。
その名も「あぶ玉」。
単に油揚げに卵を包んだ煮物なのですが、
これが殊の外美味い。
いや、手前味噌ではなく。

切るとこんな感じ。


これ、茹で卵を包むのではないのです。
油揚げに包丁を入れてから手で丁寧に
油揚げを割いて開いて、そこに生卵を
入れて煮込む。
うちは一切白砂糖は使いません。
ところが、にんじんと椎茸の旨味が出て
実にこれが甘い。旨いは甘いのだなと
和食の深淵を感じます。食材から甘みを
引き出す。白砂糖などは使わない。
まるで揚げ出し豆腐のツユのような汁も
椎茸とにんじんとあぶ玉が一体となって
絶品なんです。
なんだ、こりゃ。

あとかみさんの絶品ものは、新宿「古茶」
のおばちゃん直伝の玉子焼き。
正統に味を継いでます。
至高の玉子焼き。
ホントに手前味噌ではなく。
私、人一倍、身内自慢は嫌いなので。
客観的に古茶のおばちゃんの玉子焼きを
再現している。
そこまで出来たか?!みたいに。
何度も古茶のおばちゃんとこに連れて行っ
た甲斐がありました。
俺が同じように作ると駄目なのよね。
どうにもドヤ顔味になって。
世の中で最高なのは、新宿古茶のおばちゃ
んの玉子焼き。
これね、唐十郎さんとか映像業界人が
あのおばちゃんのバーにあしげく通って
たのは、おばちゃんのサッパリした性格
もあるけど、おばちゃん玉子焼きゆえ
だったってのも多分あると思うよ。
おばちゃんが死んだ時、店内にずっと貼っ
ていたおばちゃんが北海道から出て来て
最初の新宿の店張ってやってた頃の写真
をおばちゃんの娘さんから直においら
貰った。
こんなものいいんですか?と言ったが、
貴方に持っていてもらいたい、と娘さん
に言われた。

新宿「古茶」については、多分、東京文化
人か、映画、映像や演劇関係者かディープ
新宿愛好者か新左翼しか知らない店なので
はなかろうかと思う。
おいらはいつもおばちゃんに晩飯でシャケ
飯を食わして貰ってた。80年代から90年代
の事だ。
おばちゃん、鍋でお米炊くのよ。
ちょい焦げたりするけど、それがまた最高
に美味かった。

今から15年ほど前だろうか。
ネット上で新宿古茶の記事を見た。
ちとたまげた。
なんと、1990年代に毎日のように通い詰
だった私が記事の画像に写っていた。
ディープな常連だった頃だ。
一度、店内で人と店を小馬鹿にした客と
喧嘩して出禁になった(笑)。
暫くしたら解除(笑)。
おばちゃん、シャケ飯食わしてくれて、
「あなたね、奥様もちなさい」と諭された。

これは1990年の写真だ。(ネットから)

私は仕事のオフタイムには常にカッター
シャツの袖のボタンは外していた。
写真の銀のスーツ客が私。

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