ホンダFTR250。1986年発売。
アメリカン・ダートトラック・
レーサーを模したいわばレー
サーレプリカだった。
だが、時代はロードレーサー
レプリカが空前絶後の人気の
時代だった為、歴史の波にう
ずもれた。
ホンダにしてはあまりにも不
人気車種となり、1989年に製
造打ち切り。
ダブルクレードルフレームに
搭載した249ccエンジンは27
PSを発揮し、リッター換算で
100PSを上回る。換装114kg
の重量によりかなり速い本格
的フラットトラッカーだった。
それでも、"キング"ケニー・
ロバーツがかつてAMAで絶対
王者時代にはダートトラック
でも強者であったにもかかわ
らず、日本のユーザーはロー
ドレースのみに興味を示し、
ケニーがダートラ出身だから
こそマシンコントロールが
世界一巧く、ロードでも世界
王者に3年連続で輝いた事も
注目されなかった。目先の事
にしか目がいかない日本人ら
しい性格が二輪ファン層にも
現れていたといえる。
しかし、情報社会が円熟する
に従い、日本でもアメリカン・
ダートトラックの人気が出て
来て、廃番になったホンダの
FTRの中古需要が激増したの
が90年代中期以降だった。
そこでホンダはFTRを新車で
復活させる。
名称はFTR223。車体型式は
はBA-MC34。
人気に乗って先行して市場を
形成していたヤマハのストリ
ート・トラッカーのTW200の
市場を奪う為に2000年に新規
製造された。造形は1986年の
FTR250にそっくりに作った。
フレームはセミダブルクレー
ドルとし、排気量は223cc。
乾燥重量119kg、19PS。
セルを標準装備していた。
FTR223(2000年)
1986年版のFTR250はレースも
できるベース素質を持つ程の
性能仕様だったが、2000年版
のFTR223はトラッカーぽい雰
囲気を持つストリートモデル
として登場させた。
これは狙いだ。ほぼ100%に
近いユーザーの利用実態は
ストリート=公道走行だから
だ。
それゆえにロードのレーサー
レプリカは市販公道モデルと
して成功していた。
いくらロードレースが大人気
だったとはいえ、実際にレー
スをする人間は全二輪ユーザ
ーからしたらごく一部だ。
殆どのユーザーは「レーシン
グマシンぽい公道車」に乗る
事で満足感を得ていた。
2000年版FTRではホンダはそこ
を狙った。
性能と構造を落としてまでも
価格帯を落として市場競争力
を持たせるためだ。
それが当たった。
性能面では「本格的レーサー
レプリカ=レース車両ベース
にもなる機種」であった1986
年式FTRだったが、市場商品と
しては性能と構造を落とした
2000年式FTR223のほうが「レ
プリカ」としては大人気で売
れた、という皮肉があった。
なお、FTRとは「フラットト
ラックレーサー」の略だ。
復活FTR223のエンジンは、ホ
ンダが最初から熟成完成させ
て長年「故障の極端に少ない
頑丈なエンジン」として定評
だった「公道も走れるトライ
アル競技車両」であった1973
年式バイアルスTL125のエンジ
ンをベースにボアアップした
丈夫なクランクのエンジンを
使用した。
この223ccのMD33E型エンジン
は1997年のSL230にも搭載され
ており、バイアルス時代から
極めて耐久性に信頼の置ける
エンジンだった。
1973年製のバイアルスTL125
のエンジンの凄さは、発売
当初から完璧に完成された
エンジンであり、耐久性が
著しく高い事だ。
半世紀50年前のエンジンなの
に、きちんと整備すれば今で
も現役でバンバンに元気に走
る。
この個体は保安部品を外し、
長年実際にレーサーとして
競技に使用されていた。
ホンダの超不人気車種FTR
は、2000年のリメイク作で
人気機種となった。
パワーもブレーキも非力で
はあるが、エンジンは信頼
の置けるホンダならではの
エンジンがベースになって
いる。
だが、大人気となった新ト
ラッカーのFTR223も2016年
に製造が打ち切られた。
ユーロ4規制採用によって、
OBDシステム(車載式故障診
断装置)と燃料蒸発ガス規制
が義務付けられ、本来の車
両としての性能と存在意義
が奪われたため、多くの
モーターサイクルが消滅し
たのが2016年排ガス規制だ
った。CO2や地球温暖化の
環境キャンペーンは大嘘の
虚構まみれであるのが実は
地球の真実であるのに。
だが、この地球は人の為で
あるかを装ってアクション
を起こす特定勢力によって
支配されているので、内燃
機関は消滅させられる方向
にじわりじわりと真綿で首
を絞めるように圧力がかけ
られているのが現実だ。
それにより、多くの名車が
消滅させられている。
2000年に復活したホンダの
FTR223は、全世界でモータ
ーサイクル全盛の人類史の
頂点だった1986年FTRと共に
非常にカッコいい。
このままのスタイルで今出た
ら人気爆発間違いないだろう
が、シンプルなエンジンでは
現在の一方的な環境規制をク
リアできない為、登場させる
事はほぼ100%不可能に近い。