アメリカン・ポケット・ビリヤード
=プールの魅力。
それは、「最大の先鋭化された
攻撃性」にこそある。
スヌーカーと同じく、セーフティ
というのはプールでも高度な戦法
でもある。
だが、プールの最大の特徴であり
魅力である対戦の骨子は、的玉を
入れて入れて入れまくって撞き
抜いて圧倒的な展開で勝利する
事にある。
その過程では超絶技法を含めた様々
なスーパーショットがプレーヤーに
よって繰り広げられる。
観戦している観客は、そうした
プレーヤーの高度な技術とそれを
実行するトライ精神に感動し、
称賛の拍手を送る。
セーフティはそうした戦法のごく
一部として活用される技法だ。
かつてのプールの試合では、そうし
たTHE POOL とも呼べる戦いがくり
広げられていた。熱い試合だ。
だが現在。
戦闘的な攻めのセーフティではなく、
消極的な逃げのセーフティを撞いて
場をしのごうとするしょぼいプレー
が多すぎる。特に日本のプロやアマ。
ガッチガチのセーフティをオフェン
スの戦法として実行するのではなく、
手玉の出しミスという自分の失敗
から次の玉が取れない所に手玉を
出してしまったから次のショット
をセーフティとかやっているプロ
やアマが多すぎる。
あるいは見えている玉なのに距離
があるからと入れに行かずセーフ
ティを選択するプロやアマの多い
事、多い事。
これ、かなりレベルとしてひどい。
英国本場のスヌーカーのトップ
プロや米国選手権の全米トップ
プール選手のプロたちとは大違い
だ。
また、少し昔になるが、私の友人
の凄腕アマが国内のオープン公式
大会に出た。
マスワリ連発撞球者だ。四ツ球を
撞かせれば延々と撞き続ける人。
すると、対戦カードで当たった日本
の某トッププロは、すべてセーフティ
しか撞かない玉撞きをやってきた。
友人はそのカードの試合、見えた玉
は3回しか撞けなかった。
セーフティはルール上OKではあるの
だが、日本のトッププロ(当時一位)
がアマチュア相手にそうしたゲーム
プレーをして、どういうつもりなの
かと思う。
プロの厳しさを教えたつもりなのか。
また、どうしても勝ちにこだわり
たかったのか。
なりふり構わぬプレーでも勝ちが
ほしかったのか。
プロである。
プロとは何か。
その者の心の中は、観客不在なのだ。
観客を沸かせるプレーで勝利する
試合を見せるのではなく、自分の
個人的な勝ちにのみ拘泥して、その
為だけのプレーをしてようやく勝っ
た。
アマチュアですね、発想が。
あるいは、観客不在で何がなんで
も勝ちだけを優先する賭け玉師
のそれ。
セーフティ合戦がナインボールの
骨子ではないのだから、プロなの
に何を考えとるのかね君は、と
いう感じ。
ある外国人の友人が言った。
日本のプール界にはプロはいない、
と。
ボウラードで点を取れるだけでライ
センスが得られるのが日本のプロだ。
現在プールだけで300名ほどのプロ
登録者がいる。
その中で、何人が「観客」「ファン」
を意識したプレーをしているのか。
否、しようとしているのか。
玉突きがただ上手いのがプロなのか。
心得違いをしている「選手」があまり
にも多すぎるように私でさえ感じる。
攻めてくれ。しょぼい守りを最優先
せずに、プレーでは攻めてくれ。
徹底的に。
「最大の攻撃性」。
それがアメリカン・ポケット・ビリ
ヤードの骨だ。大樹の幹である。
なぜアメリカ人がプールを大好きな
のか。
それはプールの積極果敢な種目性格
がアメリカンにどんぴしゃマッチ
しているからだ。
実は日本人にも、戦う者には骨子が
マッチしている。
己の一刀を手に戦陣から出撃したら、
斬って斬って斬りまくる。
それがプールだ。
やってくれ。ドカンとズバンとやって
くれ。こせこせした事しないで。
そしてスーパープレー、ファイン
プレーの連続で、観衆の大拍手と
勝利をもぎ取ってくれ。