

二輪のライディングにおいて、
グリップの保持位置はいろい
ろなやり方がある。
教習所では嘘教えが多く、グ
リップの両端近くを握らせよ
うと強制する教官も多い。
理由は「梃子の原理で、遠い
ほうが軽い力でレバーを操作
できるから」との事だそうだ。
単一的な固着思考であり、
多角的見地からみて見識が浅
すぎる。
あくまで私の場合だが、私は
スロットル側も左手側も、グ
リップ部の円筒部だけを持つ
保持方法は採らない。
グリップはなぜ凸形状になって
いるのか、ということだ。
私の場合は、凸部の平面部分
に指を接触させている。

理由は、無段階回転の円筒で
あるスロットルを1/120回転
毎に任意に制御操作するには、
円筒部だけを持って回転させ
るのは人間には困難で、円筒
部保持に加えて面に接触させ
ている部分があると、円筒の
回転そのものが精密に操作で
きるからだ。これは物理的な
事として。
特に2ストローク車でのスロ
ットル操作は非常にシビア
で、円筒部をいきなりクルン
と回したらプラグが被ってし
まう。
とりわけレーシングマシン
などは公道車とは比較にな
らない程超シビアで、外見
上は見えないほんの僅かな
力を指に加えただけでエン
ジン回転は3000rpm程跳ね
上がる。レーサーのスロッ
トル操作はアクセルを回転
させない。繊細に絞るよう
に操作する。ガバッと開け
てツキを待つようなのは
「馬鹿右手」と呼ばれて、
そんな雑で出鱈目な操作は
2ストレーサーに乗るレーシ
ングライダーは誰もやらな
い。
そのような馬鹿右手だと、
鈴鹿のS字登りで被って止
まってレッカー車載りがオ
チだ。
この技法は何も2ストレーシ
ングマシンだけでなく、繊
細なスロットルワークが要
求される公道での二輪走行
にも同条件の物理現象が発
生する。4ストマシンでも繊
細なスロットル操作は必須
だが、特に2スト。
2ストに乗っていながらスロ
ットル操作が全くできない
人は多く、目の前で実見し
てみると、有名なユーチュ
ーバーもまるでスロットル
コントロールができていな
い。動画でも然り。
要するに「馬鹿右手」であ
り、ガバッとアクセルを回
して、あとからエンジンの
ツキを待つようなスロット
ル操作をしており、ツキが
来るまでのタイムロスと混
合気の不完全燃焼を乗り手
が与えてしまっているのだ。
日本の毛筆書きは空中に手
を浮かせて筆を操作して文
字を書く。
これは非常に高度な技が必
要だが、筆書きだからでき
る。
鉛筆やペンなどでは手の部
分を机の盤上に接地させる
が、非常に安定して文字が
書ける。
この原理と同じ事が二輪の
スロットルの凸部の鍔部分
に手を接触させる事で発生
する。
そして、それにより、スロ
ットルは1/120段階分けの
微細で繊細な適切開度を与
える操作が可能となる。
二輪のアクセルは回して開
けるのではなく絞るのだ。
なお、上掲図は走行状態の
ある部分のシーンでの保持
方法で、これは走行シーン
により形状は可変する。
親指側が鍔部分にくっつく
場合もあるし、人差し指と
親指の付け根を全部ペタン
と鍔部分に接触させる場合
もある。
手の内は握りしめない。
日本刀の操作と異なるのは、
日本刀の保持方法は一切鍔
に指が接触しない(でない
と自在に刀身を振り回せな
い)点だ。
これは縦横無尽に円弧運動
をさせる日本刀の運刀原理
と二輪車での回転方向しか
動かないスロットルの操作
という差異による違いだ。
どちらも物理的特性から来
る操作の違いとしてある。
二輪のスロットルはぐるり
と回転させるように操作す
るのではなく、繊細に絞る
ようにして最適適合燃料量
をエンジンに送り込んでや
るのだ。
たとえ超低速時でも200km/h
超の場合でも。速度により
開け幅は異なるが。
「アクセルは回すな、絞れ」
というのは私が1970年代中期
にヤマハ系レーシングチーム
にいた頃に先輩レーシングラ
イダーたちから徹底的に教え
られた事だった。
その後、日本選手として初め
て世界チャンピオンになった
片山敬済さんのメカニックを
やっていた柳沢雄造さんと懇
意になった時も、ゆうさんか
ら耳タコ程にスロットルは絞
れと叩き込まれた。どやしつ
けられるように。
店に到着すると、雄造さんは
私の二輪の排気管部分を指で
触り、オイルで濡れていたら
どやしつけられた。
スロットル操作ができていな
い、二輪などやめちめえ、と。
サーキットではレーススター
ト以外では半クラ発進などせ
ず、短い半クラでつないでか
らはあとはスロットル操作だ
けでパパパパァァァ~とピッ
トロード進ませろとも。
公道でさえも信号からの発進
などでもそれをやれ、と。
交通事情など無視なのだが(笑
とにかくスロットルは回すな
絞れ、を大昔から叩き込まれ
たが、それは先達たちの共通
の長い実践経験から得た高度
な知見があったからだ。
そこには事実としての物理現
象の現出に対処する適合処理
としての操作というものが存
在する。
私が手をグリップの内側に寄
せるのにはもう一つ大きな理
由がある。
それは、グリップエンドのバ
ランサー付近を保持するより
も手を中に寄せたほうがハン
ドルの振動が減少する現象が
どの二輪でも発生するからだ。
たぶん、共振点の問題が作用
していると推察できる。
そして、さらに重要な事があ
る。
それは、手を中に寄せたほう
がフロントフォークの伸縮と
タイヤが路面を捉える状態、
つまり微細な振動や挙動が
ダイレクトに感知でき、それ
によって接地感を掴みやすい、
という物理的現象から来る
適切な操縦判断を促進しやす
い、という事柄が確実に存在
する事。
それゆえグリップは中側方向
に寄せた部分を私は保持する。
グリップの外側を握ると挙動
把握が大味になるのだ。
力でねじ伏せる場合には端
握りのほうがよいのだろうが、
それよりも微細な挙動を逃さ
ず感知して適正操作を下す事
のほうが重要だ。
接地感は走行の命だからだ。
レバーの握り位置については、
可変の手の内を用いて任意の
位置に指をかけて操作する。
テコの原理が云々だから端を
握れなどという一面的な偏波
な発想は全捨象しないとなら
ない。
二輪走行の大敵が固着脳、思
考の停止だからだ。
モーターサイクルは「考えて
乗る」乗り物なのである。
グリップの保持位置はいろい
ろなやり方がある。
教習所では嘘教えが多く、グ
リップの両端近くを握らせよ
うと強制する教官も多い。
理由は「梃子の原理で、遠い
ほうが軽い力でレバーを操作
できるから」との事だそうだ。
単一的な固着思考であり、
多角的見地からみて見識が浅
すぎる。
あくまで私の場合だが、私は
スロットル側も左手側も、グ
リップ部の円筒部だけを持つ
保持方法は採らない。
グリップはなぜ凸形状になって
いるのか、ということだ。
私の場合は、凸部の平面部分
に指を接触させている。

理由は、無段階回転の円筒で
あるスロットルを1/120回転
毎に任意に制御操作するには、
円筒部だけを持って回転させ
るのは人間には困難で、円筒
部保持に加えて面に接触させ
ている部分があると、円筒の
回転そのものが精密に操作で
きるからだ。これは物理的な
事として。
特に2ストローク車でのスロ
ットル操作は非常にシビア
で、円筒部をいきなりクルン
と回したらプラグが被ってし
まう。
とりわけレーシングマシン
などは公道車とは比較にな
らない程超シビアで、外見
上は見えないほんの僅かな
力を指に加えただけでエン
ジン回転は3000rpm程跳ね
上がる。レーサーのスロッ
トル操作はアクセルを回転
させない。繊細に絞るよう
に操作する。ガバッと開け
てツキを待つようなのは
「馬鹿右手」と呼ばれて、
そんな雑で出鱈目な操作は
2ストレーサーに乗るレーシ
ングライダーは誰もやらな
い。
そのような馬鹿右手だと、
鈴鹿のS字登りで被って止
まってレッカー車載りがオ
チだ。
この技法は何も2ストレーシ
ングマシンだけでなく、繊
細なスロットルワークが要
求される公道での二輪走行
にも同条件の物理現象が発
生する。4ストマシンでも繊
細なスロットル操作は必須
だが、特に2スト。
2ストに乗っていながらスロ
ットル操作が全くできない
人は多く、目の前で実見し
てみると、有名なユーチュ
ーバーもまるでスロットル
コントロールができていな
い。動画でも然り。
要するに「馬鹿右手」であ
り、ガバッとアクセルを回
して、あとからエンジンの
ツキを待つようなスロット
ル操作をしており、ツキが
来るまでのタイムロスと混
合気の不完全燃焼を乗り手
が与えてしまっているのだ。
日本の毛筆書きは空中に手
を浮かせて筆を操作して文
字を書く。
これは非常に高度な技が必
要だが、筆書きだからでき
る。
鉛筆やペンなどでは手の部
分を机の盤上に接地させる
が、非常に安定して文字が
書ける。
この原理と同じ事が二輪の
スロットルの凸部の鍔部分
に手を接触させる事で発生
する。
そして、それにより、スロ
ットルは1/120段階分けの
微細で繊細な適切開度を与
える操作が可能となる。
二輪のアクセルは回して開
けるのではなく絞るのだ。
なお、上掲図は走行状態の
ある部分のシーンでの保持
方法で、これは走行シーン
により形状は可変する。
親指側が鍔部分にくっつく
場合もあるし、人差し指と
親指の付け根を全部ペタン
と鍔部分に接触させる場合
もある。
手の内は握りしめない。
日本刀の操作と異なるのは、
日本刀の保持方法は一切鍔
に指が接触しない(でない
と自在に刀身を振り回せな
い)点だ。
これは縦横無尽に円弧運動
をさせる日本刀の運刀原理
と二輪車での回転方向しか
動かないスロットルの操作
という差異による違いだ。
どちらも物理的特性から来
る操作の違いとしてある。
二輪のスロットルはぐるり
と回転させるように操作す
るのではなく、繊細に絞る
ようにして最適適合燃料量
をエンジンに送り込んでや
るのだ。
たとえ超低速時でも200km/h
超の場合でも。速度により
開け幅は異なるが。
「アクセルは回すな、絞れ」
というのは私が1970年代中期
にヤマハ系レーシングチーム
にいた頃に先輩レーシングラ
イダーたちから徹底的に教え
られた事だった。
その後、日本選手として初め
て世界チャンピオンになった
片山敬済さんのメカニックを
やっていた柳沢雄造さんと懇
意になった時も、ゆうさんか
ら耳タコ程にスロットルは絞
れと叩き込まれた。どやしつ
けられるように。
店に到着すると、雄造さんは
私の二輪の排気管部分を指で
触り、オイルで濡れていたら
どやしつけられた。
スロットル操作ができていな
い、二輪などやめちめえ、と。
サーキットではレーススター
ト以外では半クラ発進などせ
ず、短い半クラでつないでか
らはあとはスロットル操作だ
けでパパパパァァァ~とピッ
トロード進ませろとも。
公道でさえも信号からの発進
などでもそれをやれ、と。
交通事情など無視なのだが(笑
とにかくスロットルは回すな
絞れ、を大昔から叩き込まれ
たが、それは先達たちの共通
の長い実践経験から得た高度
な知見があったからだ。
そこには事実としての物理現
象の現出に対処する適合処理
としての操作というものが存
在する。
私が手をグリップの内側に寄
せるのにはもう一つ大きな理
由がある。
それは、グリップエンドのバ
ランサー付近を保持するより
も手を中に寄せたほうがハン
ドルの振動が減少する現象が
どの二輪でも発生するからだ。
たぶん、共振点の問題が作用
していると推察できる。
そして、さらに重要な事があ
る。
それは、手を中に寄せたほう
がフロントフォークの伸縮と
タイヤが路面を捉える状態、
つまり微細な振動や挙動が
ダイレクトに感知でき、それ
によって接地感を掴みやすい、
という物理的現象から来る
適切な操縦判断を促進しやす
い、という事柄が確実に存在
する事。
それゆえグリップは中側方向
に寄せた部分を私は保持する。
グリップの外側を握ると挙動
把握が大味になるのだ。
力でねじ伏せる場合には端
握りのほうがよいのだろうが、
それよりも微細な挙動を逃さ
ず感知して適正操作を下す事
のほうが重要だ。
接地感は走行の命だからだ。
レバーの握り位置については、
可変の手の内を用いて任意の
位置に指をかけて操作する。
テコの原理が云々だから端を
握れなどという一面的な偏波
な発想は全捨象しないとなら
ない。
二輪走行の大敵が固着脳、思
考の停止だからだ。
モーターサイクルは「考えて
乗る」乗り物なのである。