渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

トライアンフ

2023年12月16日 | open



同学年の友人がスラクストン
を買った。
まじかー!
店にあったラスト1台だった
そうだ。
生産中止で、今後はますます
入手し難くなるのだろうなぁ。

スラクストンとは1958年の
スラクストン500マイル耐久
レースでトライアンフがボン
ネビルで参加して優勝した歴
史的功績を讃えて命名したもの。


トラは市販車改造ベースの耐久
レースで世界最速最強だった。
マイク・ヘイルウッド&ダン・
ショーレイのトライアンフチー
ムが1958年の初めての500
マイルレースを制した。
以降、耐久ロードレースはスプ
リンとは別カテゴリーとして
現在まで人気の高いタフネスな
レースとして継続している。

そして、1960年代後半から2010
年代までは、地球上のロードレ
ースはスプリントも耐久も日本
車が制した。
一時期、スプリントでは、アメ
リカのハーレーがイタリアの
マルゾッキを買収して2ストライ
トウエイトクラスで優勝を重ね
たが、それ以外は、日本のヤマ
ハ、ホンダ、スズキ、カワサキ
が常に世界一に君臨していた。
「日本車でなくば勝てない」
時代が約半世紀続いた。

今は日本車は世界レベルのスプ
リントレースではいつも最後尾。
日本の二輪メーカーは来年か翌
年あたりには世界選手権から撤
退するだろう。
ゆとり世代以降が作る車では
世界レベルでは到底勝てない
からだ。人間的配慮不在の物
作り。そんなもので良い製品
が作れる筈がない。
そして、現実は雄弁に真実を
物語る。
かつてと同じように世界の頂
点に立てる車作りを目指そう
とする人材は、現メーカーに
おいてどんどん排除されてい
る。社内でも外でも。
二輪の日本車はもう未来は無
だろう。

今国内で異常な旧車人気が勃
興しているのは、それは良い
物を多くのユーザーが知って
いるからだ。本当に良い車を
作っていた時代の日本の製品
の質性を。
電子パーツがやたら付いてい
て、人間不在、人間疎外を前
提としたホイールベースの短い
転ぶ二輪など、レーシングラ
イダーだけでなく一般人も興味
は無いのだ。
それが「良い物」では無い事
を知っているから。
今の二輪の車作りは明らかに
道を誤っているが、それを是
正する自浄能力は、残念なが
ら今の日本の二輪メーカーに
は全く無い。
当然、二輪乗りたちは、こぞ
って良性保有の旧車を求める。
ユーザーたちは質性の如何を
求めているのだ。
そして、「最新型=最良」で
はない事を知悉している。
新しい物が全方位的に英知の
塊で最良の製品であった時代
は終わったのだ。
昔の物のほうが格段に良い。
今、日本製オートバイは、ま
るで日本刀の実態に酷似する
状況になったのである。

マイク・ヘイルウッド(1958)。
伝説のライダー。



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