1980年代前半、毎週箱根に2台で
走りに行っていた。
夜明け前に出て、昼前までに東京
横浜に戻る。
ある7月の半ば頃、いつもと気分を
変えて一般国道ではなく、有料の
東急箱根ターンパイクからスカイ
ラインまで行こうという事になっ
た。
丁度朝日も昇ってしばらく経ち、
路面もクリアだ。車もいない。
あるコーナーで2台でペタンと寝か
せてパーンと回っていた。
すると、ブラインドから突然転倒
している二輪が現れた。
こちら2台は即座に同じ方向に
クイックリーに進路変更して、
マンガのように避けて通過した。
あれが避け方がまずかったら
1983年第8戦オランダGPで転倒
したウンチーニをはねたガード
ナーのようになっていたかもし
れない。
我々はケニーのように即座に
ラインを転倒者が向いている
方向と逆の背中方向にクイック
に変更してよけた。
オートバイはこちらの車線中央に
倒れたまま。
すぐにUターンして戻り、二輪
から降りて、運転者に大丈夫か
と二人で声をかけた。
なんかボーッとしている。
どうしたの?と問う。
すると反対車線から坂を下りて
来たのだが、眠くてボーッと
して転んだと言う。
こちら二人は顔を見合わせた。
頭打ったのだろうかと咄嗟に
思ったからだ。
とりあえず、車両を我々二人で
起こして道路の端に寄せて停めた。
そして、一人が道路に注意を払う
地点に立ち、私が道の脇にその
若者を座らせて、ヘルメットを
取らずに、そのままでゆっくり
いくつか質問した。
名前、どこから来たのか、今何時
頃なのか、どちら方面へ行くのか。
すべてきちんと答えられたので、
大事なさそうだ。怪我もない。
グーパー含めて四肢も動かして
もらったが大丈夫そうだ。
本当にボーッとしていただけの
ようだ。
救急車も必要ないとの事だった
ので、ごく近くの休憩エリアまで
走ってしばらく休んでから乗車
走行する事を促した。
一緒にそこまで行ってあげようか
と言うと大丈夫だと答えるので、
気を付けてねとその場を離れた。
しかし、名古屋から下道で来て
道に迷ったというが、道に迷って
有料道路に入るとはよほど疲労し
ていたのだろう。
しかも下りは直線部分で転倒して
いる。そして下りから見て右コー
ナーの反対車線のど真ん中で転倒
車が止まっていた。謎の現象。
その時、対向四輪車が来ていたら
サヨウナラだっただろう。
ターンパイクから上に行き、休息
した時、二人で「バイクで居眠り
運転とかあるんだね」と言い合った。
コーナーはここ。ここの登り左車線
の左コーナー。
暑い夏の朝の珍事だった。