年末のこの時期は恒例の仕事もあって、普段なかなか行く機会がない奈良市周辺に足を運ぶことが増える。今回も仕事ついでに(とはいっても仕事先から電車で30分ほどかけて移動したわけだけど)何年かぶりに橿原市に足を踏み入れた。
近鉄八木西口駅から歩くことおよそ10分、スマホの地図によると多分この路地なんだけど…というところにこの看板が立っていた。
路地の奥をのぞき込んでも食堂らしき灯りがない。ずかずか入り込んで見知らぬ土地でもめ事になるのも嫌だったので、地図を見ながら路地の反対側に回り込んだら全く同じ看板が立っていて困り果てた。
仕方がないので路地入り口の花屋の主人らしき男性に津田食堂について尋ねたら、津田さんならこっち、とやはり路地の奥を指さす。「あの提灯が下がってるとこ。電気ついてないみたいだけど…」とのことで、やれやれこんな遠くにまで来て空振りか、と肩を落としながら店の前まで移動したら、提灯の明かりはついていないが店内の明かりはついている。ダメもとで入口の戸を開けて「いいですかー」と入ったら、「はあいどうぞ」という力の抜けた女性の声が答えた。
店内はL字型カウンターのみで8、9席といったところ。先ほど応えてくれた白髪交じりのおばさんが一人で切り盛りしているようだ。メニューを見ると(食べログ)、何でも屋というか、いかにも近隣住民の胃袋を支える町の食堂というラインナップである。
メニューを眺めているうちに運ばれてきたトルコライスは、ずばりカツのせチキンライス。ソースはデミグラスではなくとんかつソースだ。シンプルだし色も薄くて見た目のインパクトには欠けるけれど、チキンライスは混ぜ込まれた野菜が強めに炒められていて香ばしく、カツはやや肉薄だけど衣のラードの香りがこれまたとても香ばしい。全体的にからっとした印象の一品だった。
シンプルな料理でこれだけのものを出す実力があるのだから、まあ余計なお世話だとは思うけれど、もうちょっと商売っ気というか、とりあえず12月の真っ暗な17時過ぎにはちゃんと営業してることをアピールする灯りくらいはつけたほうが良いと思う。あんな看板も立ってるわけだし。
それからもうひとつ情報を付け加えると、橿原神宮前駅近くにも同名の食堂があるようだが、そちらのメニューにはトルコライスはない。同好の士はご注意されたし。
それでは皆様よいお年を。
トルコライス 750円
橿原市兵部町7-26
0744-24-1400
12:00~18:00、19:00~22:00
土日祝休