昨日の続き。
これからの季節、うがい薬もお忘れなく。CMキャラクターは
この人で決まりだ。
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TSUTAYA EBISUBASHIのブックコーナーに村上春樹の文庫本がほぼ全種類平積みにされていた。おそらくノーベル文学賞受賞を当て込んでのことではないかと思うが、残念だった。
ただ、これはあくまでこれまで彼が著したエッセイなどから受ける印象でしかないのだけれど、そんな賞に本人はあまり関心がないのではないかという気がする。
「せっかく選んでもらったものをつき返すほどの理由はないけれど、そもそも賞の有無にかかわらず、これからも僕は自分の書きたいものをこりこりと書いていくしかないと思っている。それはもう既に選び取られてしまった僕の人生なのだ」とかなんとか。
でも昔は「車がなくても特に不自由ないというケースが少なからず存在している」「世の中にひとつくらい車の走っていない町があってもいいのではないかと僕は思う」(いずれも「村上朝日堂の逆襲」所収「自動車について」)等と書いていたのが、いつの間にか「イタリア車は楽しい」(「村上朝日堂はいかにして鍛えられたか」)とか書いている変節ぶりもあるし、実は今回の件も臍を噛んで悔しがっていたりするのかもしれない。
平積みになっている文庫本の中に「雨天炎天」があった。ギリシャの修道院巡りと自動車でトルコ一周というダイハードな旅の模様を記した旅行記なのだけれど、あまりにも終わり方があっけないというか素っ気無いというか、読むたびに唖然とさせられる。
「ガイドブックによれば、このディヤルバクルの町にはトルコで最も荒々しいと言われる公認売春地域があるということである。(中略)値段は約5ドル、とある。僕は5ドルもらったって冗談じゃない。そんなところに行きたくない。
それがディヤルバクル、いわゆる中東のパリである」(新潮文庫版同書187ページより抜粋)
約190ページにわたる旅行記がこの記述で突然終わってしまうのだ。あとがきもない。おそらく日本でも一、二を争う乱暴な終わり方をしている旅行記だと思う。
「彼はこんな乱暴な結末の、いや、結末ともいえないような終わり方をしている旅行記を書いています。この点で偉大なるノーベル文学賞にはふさわしくないと考えます」と選考委員。
いや、まさかね。