菅直人首相は、「世論首相」にすぎず、世論だけに頼った過去の政権同様、基盤脆弱で倒れやすい

2010年08月30日 16時58分42秒 | 政治
◆かつて田中角栄元首相は、有権者の支持について「選挙区内に有権者10人がいたら、10人全員に支持してもらおうと思ってはいけない。3人に支持してもらえば、当選できる」
 これは、衆院中選挙区時代のことである。まず投票率100%はあり得ない。すると有権者7人の取り合いになる。中選挙区は、複数の候補者が当選するので、仮に定員3人とすれば、7人を3人が分け合う。となれば、最低2人の支持を得ればよいというこどである。支持率20%で悠々と当選できるので、革新的な支持者2人確保をベースに拡大していくことが最大の目標ということになる。これが田中元首相の理論である。
 しかし、1996年秋以降は、小選挙区制度に変わり、全国300選挙区、1選挙区約20万人の取り合いになる。これをわかりやすく、有権者10人で計算してみよう。2大政党制度の下で投票率70%として7人のうち、過半数の4人を制する必要がある。支持率40%で当選確実となる。だから、支持率50%以上を目指す必要はないということである。
◆ところで、新聞、テレビ各社の世論調査が8月30日、一斉に報じた。対面方式による調査ではなく、電話による瞬間調査なので、サンプルは、せいぜい2000人以内。たとえば、読売新聞は、有権者在住世帯1847件、有効回答1146人(回答率62%)、菅直人首相と小沢一郎前幹事長のうちどちらが民主党代表に「ふさわしい」と思うかという質問に対して、菅氏67%、小沢氏14%という結果が出た。この数字を盾にして、だから、小沢前幹事長は、代表選に出馬すべきではないという方向に誘導しようとしているのかも知れない。
 だが、この数字のなかには、政権交代の立役者である小沢前幹事長にうらみ骨髄の自民党支持者や反小沢の共産党支持者などが含まれているので、大幅に割り引いて受け取らなければならない。菅首相と小沢前幹事長とを「人気投票」するとこういう傾向になるということであり、単なる見た目や世間の評価(小沢前幹事長に対する悪辣なネガティブキャンペーン効果を含む)くらいに軽くみておくべき数字にすぎない。これが、インターネット投票になると、なかには菅首相10%、小沢前幹事長90%という数字が出ているのもある。だから現象の中に隠されている「本質部分」についても、新聞、テレビ各社はしっかりと報道すべきなのである。マスメディアという権威のベールをかぶせた表面的な数字、言うなれば世論調査のトリックに誤魔化されてはならないのである。「お見通しだ!」
◆さて、民主党代表選は、所属国会議員(413×2=826ポイン)、地方議員(100ポイント)、党員・サポーター(300ポイント=35万人=2010年5月確定済み)によって行われる。
 小沢前幹事長は「世論調査の動向と現場で肌で接触する国民の意識動向とは一致しない」
という趣旨の発言をしているが、まさにその通りである。つまりは、科学的に見ても民主党代表選において、世論調査は単なる参考資料にすぎないのである。
◆世論調査というのは、移ろいやすく、危うい。首相がちょっとしたミスでも犯かそうものなら、国民世論は、すぐにバッシングに回る。菅首相が就任直後、支持率60%を超えていたのに、消費税アップ発言をした途端、支持率は急落、1ヶ月そこそこで30%台に落ちかけた。この例がよく示している。
 過去に、国民世論で人気の高かった首相としては、戦前の原敬、戦後は、吉田茂、鳩山一郎、三木武夫、海部俊樹、細川護熙らがいた。だが、国民世論だけが政権維持の支えで大概は、政権基盤も脆弱で、景気押し上げや国民生活向上に政治力を発揮できないまま、のたれ死にしている。菅直人首相は、「世論首相」にすぎず、世論だけに頼った過去の政権同様、基盤は脆弱で倒れやすい。菅首相が続投、延命したとしても、その成れの果ては、いまから目にはっきりと見えている。
 序に言えば、枝野幸男幹事長が、アメリカ寄りになりすぎて、しかも、ブッシュ大統領とデッビッド・ロックフェラーが企てている第3次世界大戦に協力せざるを得ない状況に引きずり込まれていることを嫌い、幹事長を降りたがっているというのも、菅首相への抗議とも受け取れる。枝野幹事長は、いまでは、菅首相のことを周辺の国会議員らに悪口三昧、ボロカスに言いふらし、批判しているという。


板垣英憲マスコミ事務所

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コメント (3)
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