小選挙区比例代表制度の下で「保守・中道永久政権」が保障されかねず、「民主主義の危機」!

2005年09月23日 23時50分17秒 | 政治
衆院選で「前回民主」、34%が自民に…ネット調査 (読売新聞) - goo ニュース

 もう15年も前になるけれど、「月刊TIMES」という雑誌上で、私は平成元年4月号から平成2年6月号まで「新聞記者物語」を連載した。「新聞記事の大ウソを暴く」というタイトルの本のなかに、これを収録して、平成2年7月7日付で上梓した。
 この本を久方ぶりに読み返してみた。第1章の「政府御用達の走狗と化した論説記者たちの変節」のなかで、「民主主義の危機」との見出しで始まる文章のなかで、当時、導入が検討されていた「小選挙区比例代表並立案」を厳しく批判していた。
 今回の小泉首相の下で行われた「郵政解散」による今回の総選挙の結果を、丸で予測しているかのような内容になっているのを確認し、我れながら驚いた。
 「政党本位の清潔な選挙を実現し、政権交代が行われている英国をモデルにして、日本もそれができるという甘い夢を期待して、安易に英国の小選挙区制度を猿真似しても仕方がない。バックグラウンドが全然違っているのだ。
 政権交代どころか、自民党を中心とする保守・中道永久政権さえ保障するだけの改革になる危険がある。ヘタに真似すれば、日本人の創造性の欠陥をここでも世界にさられ出すのがオチだ」( 「新聞記事の大ウソを暴く」第 1章より抜粋)
 自民党が衆議院議員480議席のうち、296議席、公明党が31議席を獲得し、「3分の2」以上を占めたこの状況を、与党は崩したくはないであろう。そうなると、「4年間」は、解散・総選挙はないということになる。小泉首相も、そう断言している。小選挙区制度は、「左右」に大きく触れる選挙結果をもたらす制度なので、永久にこのような政治状況が続くとは、いちがいに断定はできないけれど、選挙戦術によっては、「自民党・公明党連立の長期政権」が続く可能性が大である。
 1955年体制が崩壊して、いまの民主党の小沢一郎副代表が自民党が分裂させて、「自民党と社会党」による「馴れ合い政治」が打破され、「2大政党政治」に向けて、政界再編成が幾度が繰替えされた。だが、振り返ってみると、「55体制」下の日本は、すでに「自民党」と「社会党」による「2大政党政治」が行われていた。ただ、社会党が、共産党を嫌い、自らも分裂をし続けてきたがために、「革新政権」を築けなかっただけであった。まさに「敵失」のおかげで、自民党が38年間も単独長期政権を築くことができたのであった。この状況を破ったのが、自民党の分裂だった。決して、革新側からの変化が要因だったわけではない。共産党を除いた勢力のなかでの「2大政党政治」が目指されてのである。
 少なくとも、いまの政党の勢力図のなかで、「2大政党政治」が実現するには、民主党が勢力を盛り返すしかないのであるが、小泉首相が、「派閥政治」を打破して、自民党をより近代化しようとしている姿を見ると、出身母体の違いから、「7つのグループ」が、事実上「派閥的」な動きに囚われて、互いに足を引っ張り合っていたのでは、自民党には勝てないであろう。

*15年前の拙稿ですが、「新聞記事の大ウソを暴く」の第 1章を下記ジャンプ先にアップしました。
 当時の小選挙区制導入にいたる流れと、問題点をまとめてあり、今回の自民党圧勝の背景の参考になるかと思います。ご参照頂ければ幸甚です。

「新聞記事の大ウソを暴く」 第 1章
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする