今年4月に出た論文で、スコットランドの前がん病変が減少して、子宮頸がんワクチンの効果が示されていると宣伝する記事がBBCのインターネットサイトに掲載されました。
論文のPDFファイル
スコットランドの子宮頸がんのデータは、一般の人にも公開されています。
エクセルのファイルで、1993年から2017年までの罹患数と罹患率が5歳ごとの年齢で示されています。
子宮頸部上皮内がん

子宮頸がん

上の図の右下で、25歳から29歳の年齢群の2017年の罹患率が、10万人あたり4.7人となっており、前年の22.9から8割近く減少しているのがわかります。
拡大図

スコットランドの接種率は、上記の論文の表に記載されています。

この表から、2017年の時点で、25歳から29歳に該当する人たちの接種率を概算してみると、
29歳 1988年生まれ 接種率0%
28歳 1989年生まれ 接種率0%
27歳 1990年生まれ 接種率15% 1回でも接種した人 20%
26歳 1991年生まれ 接種率62% 1回でも接種した人 72%
25歳 1992年生まれ 接種率74% 1回でも接種した人 83%
となります。
人口を略同一として、平均をとると、この年齢群の3回接種率は約30%(1回でも接種した人35%)になります。
30%しか接種していないのに、子宮頸がんが80%も減少しているという結果になっています。
イングランドのデータも公表されていますが、
イングランドのデータは、年毎のファイルなので、それぞれのファイルをダウンロードして該当するデータを並べてみると、
25歳から29歳までの子宮頸がんのデータは
2017年 16.4人/10万人
2016年 18.1人/10万人
2015年 22.0人/10万人
2014年 21.6人/10万人
2013年 21.4人/10万人
となっており、スコットランドと接種率は似ていますが、子宮頸がんが2017年に激減しているデータは得られていません。
スコットランドの子宮頸がん減少のデータは、ワクチンの効果よりも他の因子の影響が大きいと考えた方が良いでしょう。
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