日清戦争は、世界に成功者としての日本を印象づけ、その成功に対する妬みと警戒をもたらした。ドイツ皇帝ウィルヘルム2世は従兄弟(いとこ)にあたるニコライ2世への書簡で初めて「黄禍(こうか)」という言葉を使い、黄色人種による西欧文明への脅威を警告した。この日清戦争の際に、一人のユダヤ人が日本に重大な貢献をしている。今日の巨大石油資本の一つであるロイヤル・ダッチ・シェルのルーツであるシェル社を創設したイギリス系ユダヤ人マーカス・サミュエルである。 . . . 本文を読む
明治期の産業発展の一因として、政府が富岡製糸場などの官営模範工場をつくり、後に民間に払い下げた産業政策が挙げられるが、これも事実は異なるようだ。他にも深川セメント製造所、品川硝子(ガラス)製造所、深川白煉瓦(れんが)製造所などが設立されたが、官営ではうまくいかず、政府は財政赤字を縮小するために、明治13(1880)年に払い下げ方針を決定して、順次民間に移管したのだった。 . . . 本文を読む
1932年にドイツにナチス政権が誕生して以来、極端な反ユダヤ政策により、大量のユダヤ人難民がヨーロッパで発生するようになった。ユダヤ人に同情的だった英米ですら、進んでその難民を受け入れようとはしなかった。一方、日本も大恐慌以来、英連邦、アメリカ、オランダなどの輸出市場から閉め出され、さらには中国での日貨排斥によって、経済的に苦境に陥っていた。 . . . 本文を読む
私はカントの『判断力批判』を読んで、美学の根本問題を明らかに理解したいとおもったのである。ところがそっちのほうはあまり明らかになったとは思わないのだが、カントが「幸福というものの価値を低くみて、道徳的義務だけを重んじていることだけは大変よくわかったような気がする。 . . . 本文を読む
今までは、弥生人が集団で動いていって新しい弥生村をつくるという形で、稲作文化を伝えていったと考えられていたけれども、どうもそうではない。前からその土地に住んでいた縄文人が文化情報を取り入れて、新しい生活を形づくった場合のほうが、むしろ主であるというふうに考えるべきである。どちらが主かという評価の仕方が世界的に変わってきているからでもあるが、それだけではない。それぞれの地域の文化の非常に細かい検証をすればするほど、そう考えざるをえないのである。 . . . 本文を読む
昭和天皇は終戦直後の混乱の中で、「全国を隈なく歩いて、国民を慰め、励まし、また復興のために立ちあがらせる為の勇気を与へることが自分の責任と思ふ」とのお考えのもと、昭和21年から約8年半、総日数165日をかけて、沖縄以外の全都道府県、お立ち寄り箇所1411、工程3万3千キロを回られたのです。 . . . 本文を読む
ブッシュ・ジュニアが現役の大統領の2005年にいい演説をした。2期目に当選して、一番力があったころです。バルト三国の一つラトビアの首都リガに行って、ヤルタ協定の批判をやった。ヤルタ体制は間違っていたとブッシュは明言しました。全体主義をやっつけて自由をもたらすためにナチズムはつぶした。だけどなんで東ヨーロッパまで解放しなかったんだ、バルト三国まで解放しなかったんだ、と。 . . . 本文を読む
1871年、普仏戦争はプロシア(ドイツ)がフランスを破って終結を迎えました。この時、プロシアの宰相ビスマルクは、ドイツ帝国が成立した以上、これからは戦争はしないと宣言しました。実際、それからの約30年間、ヨーロッパで戦争が起きることは、ありませんでした。するとどうなったでしょうか。デフレになって物価が下がり続けたのです。 . . . 本文を読む
森林の文化を砂漠の文化の基準で計ってはならない。それどころか、森林資源を主とする北欧からアジア大陸東北部の中で、日本列島は技術革新の最先端を切ってさえいた。安田氏の主張で大切なのは、森の生態系を核とする生活下で、少しずつ熟成していった日本人の自然観、あるいは世界観は、その後の歴史時代にも受け継がれ、大陸とはまったく異質な日本文明進展の根幹を形成していったのではないかという指摘である。 . . . 本文を読む
【JB-355計画】日本本土爆撃作戦計画のこと。アメリカが爆撃機を中国空軍に供与し、中国から東京や京阪神を爆撃させる計画、供与された爆撃機は中国軍を装い(「フライング・タイガー」と呼ばれる)、アメリカ陸海軍飛行士も派遣されていた。1941年、米陸海軍合同委員会から出されたこの計画に、ルーズベルト大統領がOKサインをした文書は1970年に公開されている。 . . . 本文を読む
1945年2月のルーズベルト、スターリン、チャーチルによるヤルタ会談が、アメリカ外交史上の最大級の失敗である事は、今や誰の目にも明らかであろう。アメリカは、ヤルタでの協定で、ドイツの分割のみならず、東ヨーロッパ、バルト三国をソ連の勢力圏と認め、さらに南樺太と千島列島という日本領土のソ連領有を、対日参戦の代償として認めたと言われている。 . . . 本文を読む