電脳筆写『 心超臨界 』

人間にとって世の中で最もたやすいことは自らを騙すこと
( ベンジャミン・フランクリン )

不都合な真実 《 恥を忘れた現代の日本人――高山正之 》

2024-02-08 | 04-歴史・文化・社会
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社会保険庁の騒動も、死んだ松岡農水相も、姉歯の見立てが正しかったと教えている。役人や議員だけではない。たとえば、「従軍慰安婦」を捏造して日本人を貶めた『朝日新聞』は訂正もしない。日本軍が自決命令を出したと書いた大江健三郎は、その嘘がばれてもとぼけ通して恥じない。中国人と変わらない。上に立つ者が無責任を通すとき、その真似をする民を誰が非難できるか。


◆恥を忘れた現代の日本人

『「モンスター新聞」が日本を滅ぼす』
( 高山正之、PHP研究所 (2008/4/17)、p154 )

ところが世界には例外的な国もある。「三等車は最も貧しい日本人で一杯になった。彼らは礼儀正しく親切で美しかった。わが英国でも女性の一人旅は侮辱や強請(ゆすり)にあうが、ここでは一度も不快な思いをしたことはなかった」と明治の日本を旅したイザベラ・バードは書いている。日本では下層の民もまた高貴な振る舞いをする、と。

戦国時代に来たルイス・フロイスも江戸中期に来たスウェーデンのツェンベリも、身分の低い日本人の礼儀正しさや正直さを驚きをもって書いている。ツェンベリは「日本人で悪いのがいたら、それは出島のオランダ人の影響を受けた者だ」とまで言い切っている。

なぜ下層の民までモラルをもつのか。トロイ発掘で知られるシュリーマンが、幕末の日本でその理由を知る手掛かりを伝えている。

彼はどこの国でもやるように、横浜の税関役人に金を握らせようとした。ところが役人は「武士に対して失敬な」と怒った。彼はその非礼の報復に嫌がらせを覚悟したが、それも裏切られ、彼らは「笑顔で見送ってくれた」と彼の「旅行記」にある。

清潔を尊ぶ武士が役人を兼務し、ためにお上は清潔というかたちができ上がり、それが下々にも定着したと彼は示唆する。

「雪印」がその恥を忘れた不祥事をやったと思ったら、今度は「白い恋人」が同じいじましいインチキをやり、「ミートホープ」では段ボール以外は何でも入れて食肉を加工していたことがバレた。

恥を忘れたのは会社だけではない。イザベラ・バードが感激した清潔な民は、いまわが子の給食費を払わない、保育費も払わなくなった。督促されても恥知らずな言い訳をする。

日本人がいつの間にか溶け出していることを明らかにしたのは、偽装耐震設計の姉歯だった。彼はインチキ計算書を役所に出してみた。昔だったらお上がすぐ見破ったが、いまはすんなり通った。なぜならお上はもはや武士ではなかったからだ。

社会保険庁の騒動も、死んだ松岡農水相も、姉歯の見立てが正しかったと教えている。役人や議員だけではない。たとえば、「従軍慰安婦」を捏造して日本人を貶めた『朝日新聞』は訂正もしない。日本軍が自決命令を出したと書いた大江健三郎は、その嘘がばれてもとぼけ通して恥じない。中国人と変わらない。

上に立つ者が無責任を通すとき、その真似をする民を誰が非難できるか。
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