Texas Straight Talk 2013/12/30
Government Policies Hurt Low-Wage Workers
低賃金労働者を打ちのめす経済政策(拙訳:チモシェンコ大村)
今月、ファストフード店の従業員による、賃金引上げを求める抗議デモが全米各地で行われました。これらのデモは、連邦政府や州が法令で定める最低賃金の引き上げを求める運動であると同時に、一部の地域では“生活賃金”(訳注:十分な生活水準を維持するのに必要な最低の時間給)の立法化を訴えるものでした。これを受け、オバマ大統領は、連邦政府が定める最低賃金を時給10ドルに引き上げることを検討しています。
法令によって最低賃金を引き上げるという政策は、経済を理解していない人たちには魅力的なようです。とりわけ、賃金の停滞や経済格差の拡大が問題となっている時には訴求力があります。しかし実際には、最低賃金の引き上げは低所得者層に打撃を与えるのです。経済学の基本原理によれば、モノの価格が上昇すれば、そのモノに対する需要が低下します。最低賃金の引き上げによって労働力の価格が上昇し、労働需要が低下します。つまり、最低賃金の引き上げは雇用凍結や解雇を招くことになるのです。特に、スキルの低い労働者や経験の浅い労働者はその影響をもろに受け、雇用機会を奪われることになります。
最低賃金法は、低所得者層にダメージを与える政策のほんの一つにすぎません。大企業を“コントロールする”という名目で推進される規制の多くは、実は中小企業を苦しめているのです。中小企業の利益率は大企業に比べてずっと低いため、新たな規制によるコストアップを簡単には吸収できません。また、こういった規制は、財力が乏しい個人が起業することも困難にします。つまり、政府による規制は賃金労働の需要を低下させる一方で、労働力の供給過剰を引き起こし、さらなる賃金低下を招くのです。
おそらく、低賃金労働者にとって最もダメージが大きい政策は、連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和策でしょう。FRBは、今から100年前の創立以来、ドルの購買力を95パーセント以上も低下させてきました。つまり、1913年には1ドルで買えた物が、現在では23ドル70セントも払わなければ買えないのです! ドルの購買力低下によって最もダメージを受けているのは誰だと思いますか。ウォーレン・バフェットなどの富裕層では決してありません。
FRBがもたらす物価上昇が最大の問題なのです。現行のシステムは低所得者層に最も不利なようにできています。FRBが新たな金を作れば、政界や財界と強いコネを持った人たちが、物価上昇の波が広がる前にその金を最初に手にします。しかしファストフード店の従業員には勝ち目がありません。
近年FRBは前例の無い規模の金融緩和を行い、大銀行やウォール街の金融機関を救済していますが、それと同時に経済格差が広がっていることは決して偶然ではありません。億万長者の投資家ドナルド・トランプが認めています。FRBの量的金融緩和策(QE)は“自分のような人間”にとってウマい話だ、と。また、元FRB関係者のアンドリュー・ハザールはQE政策について「ウォール街の人間を救済するための最善の裏道だった」と発言しています。
労働者階級のために経済的平等や公平性を推進しようとする者たちの多くは、FRBの次期議長にジャネット・イエレンを任命する準備を進めています。しかしイエレンは、これまでの前任者が行ってきた、富裕層の懐を肥やすような所得再分配を継続するどころか、さらに拡大させようとしているのです。ワシントンの政治家は経済学をもっと正確に理解しなければなりません。大衆扇動などをしている場合ではないのです。
最低賃金法のような政策は失業者を増やし、経済的不平等をさらに拡大させるだけです。国民の生活水準を向上させたいと心から思うのであれば、雇用創出や社会的流動性を阻むあらゆる法律、規制、税制に反対すべきです。議会はFRBを廃止し、逆累進的な税であるインフレ税(訳注:FRBがもたらす物価上昇により実質的な所得が減る)をなくさなければなりません。
Government Policies Hurt Low-Wage Workers
低賃金労働者を打ちのめす経済政策(拙訳:チモシェンコ大村)
今月、ファストフード店の従業員による、賃金引上げを求める抗議デモが全米各地で行われました。これらのデモは、連邦政府や州が法令で定める最低賃金の引き上げを求める運動であると同時に、一部の地域では“生活賃金”(訳注:十分な生活水準を維持するのに必要な最低の時間給)の立法化を訴えるものでした。これを受け、オバマ大統領は、連邦政府が定める最低賃金を時給10ドルに引き上げることを検討しています。
法令によって最低賃金を引き上げるという政策は、経済を理解していない人たちには魅力的なようです。とりわけ、賃金の停滞や経済格差の拡大が問題となっている時には訴求力があります。しかし実際には、最低賃金の引き上げは低所得者層に打撃を与えるのです。経済学の基本原理によれば、モノの価格が上昇すれば、そのモノに対する需要が低下します。最低賃金の引き上げによって労働力の価格が上昇し、労働需要が低下します。つまり、最低賃金の引き上げは雇用凍結や解雇を招くことになるのです。特に、スキルの低い労働者や経験の浅い労働者はその影響をもろに受け、雇用機会を奪われることになります。
最低賃金法は、低所得者層にダメージを与える政策のほんの一つにすぎません。大企業を“コントロールする”という名目で推進される規制の多くは、実は中小企業を苦しめているのです。中小企業の利益率は大企業に比べてずっと低いため、新たな規制によるコストアップを簡単には吸収できません。また、こういった規制は、財力が乏しい個人が起業することも困難にします。つまり、政府による規制は賃金労働の需要を低下させる一方で、労働力の供給過剰を引き起こし、さらなる賃金低下を招くのです。
おそらく、低賃金労働者にとって最もダメージが大きい政策は、連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和策でしょう。FRBは、今から100年前の創立以来、ドルの購買力を95パーセント以上も低下させてきました。つまり、1913年には1ドルで買えた物が、現在では23ドル70セントも払わなければ買えないのです! ドルの購買力低下によって最もダメージを受けているのは誰だと思いますか。ウォーレン・バフェットなどの富裕層では決してありません。
FRBがもたらす物価上昇が最大の問題なのです。現行のシステムは低所得者層に最も不利なようにできています。FRBが新たな金を作れば、政界や財界と強いコネを持った人たちが、物価上昇の波が広がる前にその金を最初に手にします。しかしファストフード店の従業員には勝ち目がありません。
近年FRBは前例の無い規模の金融緩和を行い、大銀行やウォール街の金融機関を救済していますが、それと同時に経済格差が広がっていることは決して偶然ではありません。億万長者の投資家ドナルド・トランプが認めています。FRBの量的金融緩和策(QE)は“自分のような人間”にとってウマい話だ、と。また、元FRB関係者のアンドリュー・ハザールはQE政策について「ウォール街の人間を救済するための最善の裏道だった」と発言しています。
労働者階級のために経済的平等や公平性を推進しようとする者たちの多くは、FRBの次期議長にジャネット・イエレンを任命する準備を進めています。しかしイエレンは、これまでの前任者が行ってきた、富裕層の懐を肥やすような所得再分配を継続するどころか、さらに拡大させようとしているのです。ワシントンの政治家は経済学をもっと正確に理解しなければなりません。大衆扇動などをしている場合ではないのです。
最低賃金法のような政策は失業者を増やし、経済的不平等をさらに拡大させるだけです。国民の生活水準を向上させたいと心から思うのであれば、雇用創出や社会的流動性を阻むあらゆる法律、規制、税制に反対すべきです。議会はFRBを廃止し、逆累進的な税であるインフレ税(訳注:FRBがもたらす物価上昇により実質的な所得が減る)をなくさなければなりません。