新・台所太平記 ~桂木 嶺の すこやかな日々~

N響定期会員・桂木嶺の、家族の介護・闘病・就職・独立をめぐる奮戦記を描きます。パーヴォ・ヤルヴィさんへの愛も語ります。

【公演レポート!】パーヴォとN響が、21世紀の新しい交響楽像を切り拓く!音楽の理想郷・ハンス=ロットの「交響曲第1番」に列島震撼、感動の嵐!

2019-02-11 13:19:49 | NHK交響楽団ニュース♪

(誤字・脱字等訂正していますので、お詫びして訂正します。よろしくご高覧くださいませ)

きのう(2月9日)は、待望の、#ハンス・ロット祭り ということで、勇躍、小雪のちらつく中、NHKホールに行ってまいりました!ご覧のように、パーヴォのすばらしいサインもいただけて、まさに感動、歴史的転換点ともいうべき、画期的な公演が誕生しました!

パーヴォは、とってもお元気でした!

最初にサイン会のご報告をすると、小雪で交通機関が大変だったにもかかわらず、たくさんのパーヴォファンの方がいらっしゃって、熱気むんむんの中サイン会が行われました。

パーヴォはつとめて冷静さをよそおっていましたが、日本のファンの熱い歓迎に感無量といった面持ち。ひとりひとりに、にこやかにサインをし、しばしハンス・ロット論で盛り上がり、会場は感動の渦で満たされました。

私も2か月ぶりにパーヴォとお目にかかれて、ぐしゃぐしゃな涙でいっぱいでしたが、パーヴォの優しさいっぱいあふれる笑顔を見たとたん、元気がモリモリとでてきました。

そして、ソニーミュージックのOさん(感謝!)の通訳で、パーヴォに、興奮気味に感想をお伝えすることができました。

「マエストロ・パーヴォ!すばらしい演奏をありがとうございます!」と日本語で言ったら、パーヴォは「あれ?君、きょうは日本語でいうの?」とキョトン、とされました。そこで、私が「あまりに感動したので!」と言ったら、Oさんがちゃんと訳してくださいまして。

パーヴォが「ぜひぜひ、感想を聴かせて♪」といわんばかりにニコニコされたので、私がわーっと

「ブラームスがなぜハンス・ロットの作品を最初酷評したかわかりました!」

といったのです。パーヴォはビックリして「えっ、なぜ?」とおっしゃったので、私がすかさず、

「ブラームスは評価できなかったんです、この作品を!あまりにこの作品があらゆる意味で画期的すぎて、すぐにこのすばらしさを理解できなかったんだと、私は思うんです!」

と申し上げたのです!

それを言ったら、パーヴォの顔が、とたんにパーッと明るくなりました!

「ほんとかい?!君はそう思うの!?」

あのブルーの美しい瞳が大きく見開かれ、私を優しく見つめてくれました。

私が、続けて

「ええ!なんといってもこの作品は、

人類愛に満ちているし、明日への希望があります!」

と言ったら、パーヴォとOさんがともにビックリされて「わぁ~、すごいね!(でも時間があんまりないから、また今度きかせて!)」ということで、大変いい雰囲気の中でパーヴォとの再会を喜びあいました。

やっぱり、パーヴォは根っからの指揮者なんですね!私、ようやく彼を理解できたように思います。いままでは、パーヴォのために、山のような花束や、差し入れ、プレゼントを差し上げて、喜んでもらおうと思っていたけれど、パーヴォにはたった一言・・・

「あなたの指揮は画期的である!」と。そして、音楽的にきちんと評価して差し上げれば、パーヴォはそれでとても幸せだし、超ゴキゲンになってしまうのですね!

パーヴォは大変興奮気味に、「わぁ~、もっと聞きたい!」といわんばかりでしたが、「またきてね!」ということで、おしゃべりはそこでおしまいになりました。

でもうれしかった!

パーヴォと、滔々と音楽談議ができるなんて!

私の理想のシチュエーションです!いつか彼にちゃんとインタビューがしたくなりました!すごく盛り上がりそう!!!

ちゃんと、上野の音楽資料室に行って、ハンス・ロットをきちんと調べた甲斐がありました!

さて、会場内の雰囲気のご紹介♪ パーヴォがようやく東京にご帰還ということで、

NHKホールはすっかり「パーヴォ祭り」状態です\(^o^)/

そして、NHK交響楽団との最新CDである、マーラー:交響曲第6番「悲劇的」をガンガンPRしていました!きょう会場にお越しになる方は、ぜひチェックしてみてください!(※サイン会対象の商品となっています!また、現金だけでなく、クレジットカードも使用できます!)

もちろん、ハンス・ロットのCDも販売されています!(※ただしこちらはサイン会対象商品ではないのでご注意くださいね!)

さて、肝心の公演評を!

リヒャルト・シュトラウスの

「ヴァイオリン協奏曲 二短調 作品8」

こちらは、シュトラウスが弱冠17歳のときに発表した作品でしたが、完成度といい 音楽の美しさといい、大変にすぐれ、抜きんでた作品です!彼のみずみずしい感性に驚嘆しました!また、ヴァイオリンのソリストである、カザフスタン生まれ、美貌のアリョーナ・バーエワさんの圧倒的なスター性に瞠目しました!まさに次代のスター誕生です!

 

まず第1楽章は、アレグロ。

まず圧倒的なヴァイオリン(以下、バーエワさんで通します)の独奏が素晴らしいです。フルートが続き、悲痛さを秘めたバーエワの演奏にただただ脱帽。そして、力強くそれをサポートするパーヴォの指揮で、オーケストラの演奏はさらに盛り上がります。哀切を帯びた、情感豊かな曲調に、17歳のシュトラウスの余りある才能を感じ、驚愕の一言です!

コントラバス、チェロ、ヴィオラ、ヴァイオリン、それぞれの美しさをパーヴォが優しく引き出します。甘く切なく、優しさあふれる演奏が続きます。そして、高らかに「愛」を謳い上げるパーヴォとN響のみなさんに、神々しささえ漂います。

ここでオーケストラの演奏が続きます。バーエワとオーケストラの劇的なテーマが交互に奏でられます。ひたすらパーヴォは優しく甘く愛を歌います。そして、バーエワの超絶技巧で、エクスタシーともいうべき至高の瞬間が生まれます。

第2楽章 レント、マ・ノン・トロッポ。

暗く、静かな出だし。バーエワが物憂げにメロディーを奏でます。この人生の憂鬱な瞬間を切り取った、17歳のシュトラウスの才気にただただ感動。バーエワの切ない演奏が胸を打ちます。パーヴォはあまりの演奏の美しさに、ときどき感極まったのか、すこし涙ぐんでいるようにも思えました。

第3楽章(終章) ロンド:プレスト。こちらは軽やかでミツバチのささやきのよう。弦楽器が爪弾き、たのしい演奏が続きます。

そして、バーエワの圧巻ともいうべき超絶技巧!まさにブラボー!素晴らしい!圧倒的なフィナーレに、場内は大興奮!東京の聴衆のブラボーの嵐に、パーヴォもバーエワも大感激です!!!

休憩に入り、みんな興奮がさめやらず、口々に感想を言い合いました。

うれしかったのは、ちょっと仲たがいしてしまっていた、パーヴォファンのお友達(女性)と、すっかり仲直りできたこと!再会を喜び合いました!

みな一様に、「やっぱりパーヴォは素晴らしいね!最高だね!」と言い合いました。お仲間たちとパーヴォのすばらしさについて、N響について語り合えるって、なんて幸せなんでしょう!!!

そして、いよいよ本日のメイン・プログラム!

ハンス・ロットの「交響曲第1番」!!

第1楽章 アラ・ブレーヴェ。

まずトランペットの華やかな冒頭から始まります。なんと美しく、壮麗なメロディーでしょう!CDで聴いたのよりもさらに、進化したN響の演奏です!

弦楽器が華やかで、朝の陽射しのように爽やかな音楽を奏でます!

パーヴォは大変満足気に力強く指揮をされ、大いに奮闘されました!

ティンパニー(植松さんお見事!)、フルート、オーボエ(青山さん)、クラリネットが優しく朝の瑞々しい美しさを奏でます。

パーヴォが高らかに、青春の叫びを謳い上げます。ひたすら明瞭かつ突き抜けたハンス・ロットの魂の美しさに、熱いものがこみあげてきます。正に「明日への希望を謳い上げた傑作」です!

ティンパニー、フルート、ホルン(福川さんお見事!)、第2ヴァイオリン(白井さんたち)がむしろ明快でさわやかな音楽を彩ります。そして、オーケストレーションが高らかに、パーヴォが強靭な精神力でもって、威風堂々と第1主題を奏でます!

ハンス・ロットのこの曲は、とてもマーラー的という人も多く、またブラームスやブルックナーの影響を受けている、と指摘する方も多いです。確かにそういう部分も散見しますが、全編を覆いつくすのは、

まったく、だれも聴いたことのない、秀麗なハンス・ロットの独創性あふれるメロディーです!わかりやすいながら、オリジナリティーにあふれ、タイトルでもふれたように、まさに

「音楽の理想郷」

をめざす、若きハンス・ロットの並々ならぬ意気込みを感じます!

第2楽章 非常に遅く。

ここでは弦楽器が情感豊かに演奏します。パーヴォが、この天上の音楽を指揮する幸福をかみしめるように、聴衆を陶酔の世界に導きます。

嗚呼、なんという、美しい、圧倒的なメロディーでしょう!

これはハンス・ロットの「青春の譜」であり、若きロットの当時抱いていたであろう、

「あくなき自由への希求」

の象徴でもあります。また、

「大いなる人類愛」

がいたるところにあふれていて、私は気が付けば号泣していました・・・!

 「音楽の力で世界を変えてみせる!」

と、純粋につよく信じるハンス・ロットと、現代の21世紀で、世界を駆け巡るパーヴォ・ヤルヴィ、そしてNHK交響楽団の、

クラシック音楽へのあくなき愛と信頼、

世界に向けての愛のメッセージ

が、この第2楽章でつよく打ち出され、私はあふれる涙がとまりませんでした。

まさに歴史的瞬間が誕生したのでした!日本列島はこの瞬間、愛の完成に震撼し、感動したのです!

 

第3楽章 明朗に、生き生きと。

ヴァイオリンの独奏(ゲスト・コンサートマスターの白井圭さんが名演!)が美しく奏でられ、パーヴォが甘やかに華麗にその美しさを引き出します。

まさに、

「天才ハンス・ロットと、天才パーヴォ・ヤルヴィの、歴史的な邂逅」であります。

ヴァイオリン独奏の白井圭さん、そして、第2ヴァイオリンの白井篤さん(※すみません、ヴィオラではなくて第2ヴァイオリンでした。お詫びして訂正します)、チェロの桑田さんそれぞれが実力伯仲して、緊迫した中に見事なハーモニーを生み出します。

オーケストレーションがなにより美しく、パーフェクトともいうべき出来栄えです。そして、なんと独創的でユニークな交響曲なのかと、驚嘆させられます!

通常なら、第3楽章に緩徐楽章をもってくるのが交響曲づくりの常識です。しかし、ハンス・ロットはあえて、その常識を覆し、この楽章も華麗かつ豪壮に仕上げることで、交響曲全体の統一感あふれる壮麗なシンフォニーを生み出し、圧倒的な生命力に満ち溢れた、だれも聴いたことのない境地を生み出したのだといえます。素晴らしい!

第4楽章 非常に遅く_活発に。

こんなに優れた楽曲ですが、ブラームスもついぞこの曲を理解しえなかった理由がわかります。つまり、第4楽章まで、まったく作品のテンションがおちないので、ブラームスには、ハンス・ロットの企図するものが理解できなかったのだと思います。

ハンス・ロットと一時期同居もしたことのある、マーラーは、その才能に驚愕し、おのれの交響曲にオマージュとして残したのでしたが、歴史的な評価が正式に下されるまでには、この2019年2月9日まで待たなくてはなりませんでした。

パーヴォ(そして、神奈川フィルの川瀬賢太郎マエストロ)が、そのハンス・ロットの精神とすさまじい音楽的格闘を繰り広げた結果、夭逝した天才、ハンス・ロットの至高の音楽の理想に、光を当て、再評価に成功したのです!

ホルン(福川さん)が立派であり、聴衆はかたずをのんでその演奏に聞きいるのがわかり、私はめまいにも似た衝動にかられました。

フルートの独奏が物憂げに奏でられます。しかし、ティンパニーと管楽器が力強く、その戸惑いを打ち破り、人生の勝利を謳い上げるのです!

オーケストラがひたすら美しいです。次第に高みにのぼっていくクライマックスに圧倒される思いです。

ブラ―ムスがこの曲に嫉妬した理由もわかります。ブラ―ムスが自身の交響曲第1番で20年余ようやくかかって思いついた第4楽章の換骨奪胎を、弱冠22歳のハンス・ロットがいとも鮮やかにしてのけ、かつおのれのメロディーよりさらに優れたオーケストレーションを提示したからに他ならない、と私はパーヴォの演奏をきいて確信しました。

若きハンス・ロットの、あまりにも純粋な、人生のユートピアを求める旅を、当時の誰も理解しえなかったのです。でも、21世紀に生きる私たちは、国境を越え、1万キロはるかかなた離れた日本で、ハンス・ロットの精神の崇高さと豊かさを、はっきりと認識することができたのです!

そして、天才パーヴォがハンス・ロットの魂に肉薄します。私にパーヴォはこう語りかけてくれているような気がしました。

「人生は、数多くの苦難と試練に満ちている。しかし、常に人間は、真実を追い求め、すがすがしく生きることで、人生の勝利を獲得することができるのだ!」

「世の中がどんなに変わろうと、人間の崇高な魂を追い求め、つよく生きていこう!」

「音楽の力で、世界を変えよう!」

私は、パーヴォの崇高な理想に、一生ついていくと決めました。

NHK交響楽団は、東京から世界に、すばらしい愛のメッセージを発信したのでした。

まさに、世界一のオーケストラ、世界一のマエストロが東京で誕生した瞬間に立ち会え、私は世界一幸せです!!!!!

生きてきて、よかった!

生まれてきて、よかった!

 パーヴォ、NHK交響楽団のみなさま、ハンス・ロットさん、

私に生きる希望と勇気を与えてくださって、本当にありがとう!!!!

終演、サイン会終了後。パーヴォファンの、仲直りしたお友達と、たのしく渋谷でティータイム。熱く、熱く、パーヴォとクラシック音楽談議に花が咲きました。まさに歴史的な瞬間に立ち会えた喜びに、私達はすっかり時を忘れ、熱心に話しこんでおりました。

クラシック音楽の、あらたな地表を切り拓いたパーヴォを、私達はこれからも応援し、尊敬し、ついていきます!

渋谷の雪の夜は、しんしんと、静かに過ぎていきました! 



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