幼児期から児童期にかけて人間社会の外側で生存していた子どもたちを野生児と呼ぶこととする。
たとえば、12歳で発見されたフランス・アベェロンの野生児は、言語を発声するどころか、言語そのものの理解が
できなかったと言う。8歳で発見されたインド・ミドナプールの野生児は、17歳でなくなったのだが、死亡時に
獲得できた語彙はわずか50語程度だったらしい。
彼らは言語をまったくかほとんど使えず、自分の性別を指す言語も知らなかったという。
男の子の野生児には精通がなく、女の子の野生児には初潮がなかったとか。さらに性器の形成も未発達で、性的欲望
も存在しなかったという。
ようするに、ジェンダー(言語)がないと、セックス(身体の性)は形成されないのである。
すなわち、身体が身体として存在するのは「男の子か女の子か」という問いに言語で答えられるときである。
その問いに答えたとき、ヒトの身体ははしめて性別化される。
身体の性は言葉としてカテゴリー化されない限り存在しないのである。
小倉加代子{セクシュアリティの心理学」より。
たとえば、12歳で発見されたフランス・アベェロンの野生児は、言語を発声するどころか、言語そのものの理解が
できなかったと言う。8歳で発見されたインド・ミドナプールの野生児は、17歳でなくなったのだが、死亡時に
獲得できた語彙はわずか50語程度だったらしい。
彼らは言語をまったくかほとんど使えず、自分の性別を指す言語も知らなかったという。
男の子の野生児には精通がなく、女の子の野生児には初潮がなかったとか。さらに性器の形成も未発達で、性的欲望
も存在しなかったという。
ようするに、ジェンダー(言語)がないと、セックス(身体の性)は形成されないのである。
すなわち、身体が身体として存在するのは「男の子か女の子か」という問いに言語で答えられるときである。
その問いに答えたとき、ヒトの身体ははしめて性別化される。
身体の性は言葉としてカテゴリー化されない限り存在しないのである。
小倉加代子{セクシュアリティの心理学」より。