東京新旧写真比較(1981/2009) No.28 千代田区九段北
Photo 1981(ノーマル時)、Photo 2009.1.18(マウスオン)
1981年の撮影者は意外に撮影のタイミングや構図に頓着がない。目の前にトラックが横切っていてもお構いなしにシャッターを切っている。もちろんそのおかげで人物や車が写っていて、当時の様子がよく分かったりする面もあるのだが、さすがにこの写り方は邪魔。
また何気ない交差点風景を、これまた何気なく切り取っているので、めぼしい建物がなく、場所の特定が難しいこともある。
撮影場所が分からないものの場所を特定すべく、マウント済みだったスライドをいちど分解して、フィルムのコマ順に並べ替えてみたところ、前後の写真からこれは九段界隈だと判った。東西線沿線のこの界隈は結構訪れている。だが写っている建物に心当たりがなく、しばらくは全く具体的な場所が分からなかった。
写真にはアキバ徽章、洋菓子・喫茶亜砂呂、神田青写真工社などの看板がある。だからこれらをネット検索すれば分かるだろうと思ったのだが、これが全然ダメ。
アキバ徽章は九段南に現在もある。だが周辺の様子は全く異なり、移転したらしいことが分かった。亜砂呂は九段下にあったという記事が一つだけあったが、それでも細かい場所は分からずじまい。神田青写真工社はネットに情報無し。
結局、昔の住宅地図のお世話になり、これが九段下交差点の写真であることがようやく分かった。うーん、自力で場所を特定できなかったのは残念。なんとなく負けちゃった感あり。
住宅地図によれば、亜砂呂は靖国通りに南面している。昭和館や九段会館がある側に交番があるが、この写真はその交番を背にして撮影していたことが分かった。写真を右へ行くと俎橋を経て神保町。目の前を横切る小山木材のトラックは、交差点を左折して九段坂を上らんとしていたわけだ。
九段下交差点はしばしば通っていた場所なのにさっぱり分からなかった。これはちょっと驚きだった。
写真左手の建設中だった交差点角のビルと、右端のビルは現存している。また角から2軒目に建設用の覆いに隠れるようにしてあるそば屋も健在。だが、大きな屋上広告を掲げていたアキバ徽章も、洋菓子・喫茶亜砂呂も、神田青写真工社も建て替えられて10階建て程度のビルになっている。
このため、建物相互の位置関係をもとにした正確な場所の特定は不可能で、現地を通りかかるたびに少しずつ位置を変えて何度か撮ったのだが、なかなか一致する写真を撮ることができず、意外に苦労してしまった。
とりたてて著名な建物が写っているわけでもないし、タイミングも妙なのだが、こういう写真も街の記録としては、あとあと意外に重要になったりするものなのかもしれない。
#東京新旧写真比較 千代田区 #街並み 千代田区
このような何気ない街並み景観写真を載せても、誰も興味を示さないのではないかと内心思っていたのですが、想定外の証拠写真になったりするものなのですね。
銭湯の変遷の地図、拝見しました。このような記録も、後々貴重なものになるのではないかと思います。
私の方も、少しずつではありますが、今後も更新していきたいと思います。
亜砂呂について情報、コメントありがとうございます。
1981年の写真は、90年代に私が所属していた研究室の先輩が撮ったもので、私自身は残念ながら亜砂呂は見ておらず、入ったこともありませんでした。
なので、街並み写真の一部に写っているだけですが、思い出の手掛かりになりましたようなら幸いです。
かなり大きな喫茶店だったのですね。フナトビルの竣工年が1987年のようなので、85、86年頃、写真の5年ほど後にはこの2階建てはなくなってしまったようですね。