あるBOX(改)

ボクシング、70年代ロック、ヲタ系、日々の出来事などをウダウダと・・・

ポール・ロジャースの「Free Spirit Tour 2017」LIVE盤発売へ

2018年01月28日 | CD・書籍紹介(FREE)
ポール・ロジャースといえば、
60年代終盤にブルース・ロックバンド「FREE」でデビューした
名ヴォーカリストにして私が最も敬愛するミュージシャンだが。

彼が2017年に行った「Free Spirit UK Tour」の音源・映像が
2018年春に発売されるとの事。

※残念ながら日本発売は未定だが。
 ユニバーサル・ミュージックさん、お願いします。



音源は5月28日に英ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで
行われた「Free Spirit - Celebrating The Music Of Free」。
※チケットはソールドアウトだったそうな

発売の日程や曲目は公になっていないが、CDやDVD、アナログ
レコード等々、色々な形態で発売される模様。



リリース元はQuarto Valley Records。
国内版が出なかったら輸入盤での入手に切り替えなきゃな。

ロジャースは原点とも言える楽曲コンサートへの愛を語り、
マジックを共有した面子(Pete Bullick、Rich Newman、
Ian Rowley、Gerard ‘G’ Louis)に感謝を述べている。



なお、当日のセットリストは以下の通り

01.Little Bit of Love
02.Ride on a Pony
03.Woman
04.Be My Friend
05.My Brother Jake
06.Love You So
07.Travellin' in Style
08.Magic Ship
09.Mr. Big
10.The Stealer
11.Fire and Water
12.The Hunter (Albert King cover)

Encore:
13.All Right Now
14.Wishing Well

Encore 2:
15.Walk in My Shadow
16.Catch a Train



う~ん、『トラベリン・イン・スタイル』演るなら
『ハートブレイカー」演って欲しかった気がするし。

今の世にこそグルーヴ効かせた『ソング・オブ・
イエスタディ』を呈示して欲しかったなぁ~。
※ただし
 『スティーラー』演ってくれたのは嬉しい!

まぁ、
『ファイヤー・アンド・ウォーター』などはクイーン+
ポール・ロジャースで演奏してた時点で「原曲から崩し
過ぎてどうかな?」って感じで、不安もあるのだが。
※歌い方がねぇ・・・
 「手癖」つ~か「喉癖」なんだよなぁ・・・

なんとか国内版で入手してチェックしたいですねぇ。

書籍紹介「フリー・ザ・コンプリート」

2017年12月02日 | CD・書籍紹介(FREE)
原題は「HEAVY LOAD FREE」
ながらく国内版が通常流通ルートで発売されなかった書籍だ。

実に濃密で重厚な労作だ。
70年代の「忘れじのブルースロック・グループ=フリー」の伝記本。



David Clayton氏と、Todd K. Smith氏との共著

フリーは洋楽コンサートに飢えた1971年の日本ファンの前で伝説的な
演奏を披露し、根強い人気のあるロックバンドに関わらず、和訳の伝記本が
無かった。
そして、ボックスセットCDの国内盤も発売されなかった。

とんでもない事である。
それを憂いた(?)日本人のフリー・ファン=葛葉哲也氏が自ら翻訳し、
自主出版されたのが、「HEAVY LOAD FREE “ブリティッシュ
ブルース・ロックの雄 フリーの軌跡”」であり、私自身、訳者の方に直接
連絡して購入した物だ。2013年の事だった。



当時、国内出版社を訪ねたそうだがサイズの大きさとページの多さに難色を
示され、出版不況もあって遂に良い返事は貰えなかったという。

自費出版を知らせる記事を書いてくれたのも、レコード・コレクターズと
ストレンジ・デイズなど、ごく一部…。

それでも熱心なフリー・ファンは「ヘヴィ・ロード」を入手し、貪るように
読んだ。当時ウチのブログで取り上げた記事にも大きな反響があった。

※「存在を知った時には手がかりを失っていた」という悲痛なコメントが
 寄せられたものです。

 葛葉氏はネットやメールを一切やらない人ゆえ郵便でのやりとりのみで、
 人を紹介するのには在庫の有無や個人情報を伝えてよいかの確認が必要
 だったのでした…。

ほぼ在庫が終了した、そんな時「国内出版社が興味を示してくれた」という
手紙が来ました。ただし、せっかくなら写真やデータを原書通りに掲載した
「完全版」にしたいという返答があったという。



そこから数ヶ月。
遂に「フリー・ザ・コンプリート」出版の報が届いた。
以前、葛葉氏を紹介した同好の士も知らせてくれた。飛び上がらんばかりに
私は喜んだ。

発売日は伸び、副題も「伝説のブリティッシュ・ブルース・ロックバンド、
栄光と奈落」から「栄光と転落」→「栄光と苦悩」へと変わった。

限定1500冊。これは買い損なうわけにはいかない。



amazonで予約した。
そして遂に我が家に到着した。(発売日から1日遅れで)

「フリー・ザ・コンプリート/伝説のブリティッシュ・ブルース・ロック
 バンド栄光と苦悩」
デヴィッド・クレイトン+トッド・K・スミス 訳:葛葉哲也
4,536円(税込) DU BOOKS JPN

写真が、ツアー記録が、スタジオデータが、満載だ!文字が横書きだ!
宝物が増えた感慨…。



しばらく感動に浸り続けた後、ページを捲る。
巻頭文は、アレクシス・コーナー、クリス・ブラックウェル、そして
アル・クーパー!

自身も白人ブルースロックを切り開いた紐育人アル・クーパーが、英国
ブルース・ロックの雄・フリーを絶賛している!



頁を読み進めると、メンバーの生まれ育ちから綴られる。
ポール・ロジャース、ポール・コゾフ、アンディ・フレイザー、サイモン・
カークの幼き写真が可愛らしい。

音楽で身を立てる事を決意した若者が、バンドを組み、やがて吸い寄せら
れるかのようにロンドンで集結。
※コゾフがカークをオーディションで選ぶシーンもあり。

野心に満ちたメンバーだが全員が十代!
アンディは16歳だがジョン・メイオールのバンドでの経験もあり、領収書・
チケットの切り方を心得たマネージャー的役割もコナした。そしてリーダー
宣言!(イザという時は北の男ロジャースさんが睨みを効かせたそうだよ)

荒々しいブルース演奏は口コミで評判を呼び、ライブハウスに客を呼べる
人気バンドになった。

そして新興レーベル「アイランド」との契約、アルバム発売、大ヒット曲・
「オールライト・ナウ」誕生。



その中で続くヒット曲を求められるプレッシャー、焦燥も生まれる。
新人時代、次のライブハウスに移動する間、バンの中で笑いあって曲を描いた
彼らが、バラバラになっていく。

スタジオ・レコーディングの際、弾き方を指図される事にコゾフは我慢ならず、
移籍を図ったり、クスリに走ったり…。

そして崩壊。
再結成しても、やっぱりダメ。

誌面も後半はひたすら辛い。キーフ・ハートリーの自伝「ブリックヤード・
ブルース」はゲラゲラ笑えて爽快感さえあったが、フリーの伝記は…。

真面目なのだ、音楽に、ロックに身を殉じてしまうのだ。
※ワイト島の映像…数万人を前に全身全霊で演奏し、フラフラになって退場
 する姿…。若いよ、バカだよ!(涙)



それでもブルースロックとハードロックの架け橋となり、世界中の若者に本物の
ロックを伝えて消えたFREEの勇姿は永遠に残り続けるだろう。

英国の同業者、ルウ・グラムやレイナード・スキナードのメンバー、サバイバー
たちの米国ミュージシャン、成毛滋ら日本のミュージシャンに与えた影響、衝撃は
計り知れない。

レイナードの面子なんて「オレは音楽に本腰を入れる!遊んでなんていられない!」
…と決意したという。
ロニーは直に見れなかったらしいが、若きレイナード達はフリーの公演の凄さを
語り、見れなかったメンバーは本当に悔しがったという。

おそらく最後の公演地となった豪州でも、ヤング兄弟が衝撃を受けたことだろう。

だって自分らと大差ない、十代の若造が凄まじいブルースロックを、ハードロックを
命がけみたいな勢いで演奏するんだぜ!!



この書籍はコゾフの死、スタッフの死など辛いエピソードを重ねながら終りに向かう。
明るい話題は、メンバー2名が参加したバッド・カンパニーが大成功を収めるシーン
くらいか…。

コゾフ亡き後、再結成の話は一切出ないFREE。アンディ・フレイザーも故人となった。
こういった書籍で記録、記憶に残す重要性も感じる。

「フリー・ザ・コンプリート」
~伝説のブリティッシュ・ブルース・ロック・バンド栄光と苦悩~
巻末には68年から74年までの全ライブ日程を掲載。

単行本: 280ページ 出版社: DU BOOKS
価格: 4,536円(税込)

今回、完全版としての刊行を出版社から果たした葛葉氏の熱意と継続力に、改めて
最大限の敬意を表したいと思います。
そして出版元のDU BOOKSさんに感謝!(完売したら電子書籍で販売継続して下さい!)

FREE FOEVER!!

弊ブログ「FREE」の記事がアクセス上昇している

2016年12月19日 | CD・書籍紹介(FREE)
~と、いうか
Twitter連動にしてるから、そちらからアクセスして
いただいている件数が多いみたい。



「HEAVY LOAD FREE」
ブリティッシュ・ブルース・ロックの雄 フリーの軌跡
http://blog.goo.ne.jp/aru-rodgers/e/1ad87cce920b3803feac98b41bff47c1

書籍紹介の記事です。

洋楽に詳しく、その情報をコンスタントにUPされている、
watchbonzodogさんや、ストーンズのライナーでお馴染みの
寺田正典さんにリツイートしていただいた結果でしょう。



ありがたい事です。
ピコ太郎の気持ちが良く分かります。←ヲイ!!

※あっちは自分で考えたネタでしたね。
 「フリー伝記本」に関しちゃ、著者のDavid Clayton氏と
 Todd K. Smith氏、翻訳の葛葉哲哉さんが立派なワケで…。 

正直、私自身はFREEの大ファンで、FREEの記事も数多く
上げている弊ブログですが、そのアクセスが余り上がる
事も無く、少し寂しい思いをしていたのですよ。

いや、他にある意外な記事が急に人気アップしたりして、
その変動を大いに楽しんでる部分もあるんですけどね。

でもやっぱりFREEは別格です。素直に嬉しいです。



申し訳ないのは同記事が2013年9月の物で、書籍自体の
残数が殆どないであろう事ですが…。

クリス・ブラックウェルが言ったように「余りに有りふれた」
バンド名ゆえ、普通に「フリー」で検索しても色んなモノに
引っ掛かってしまうワケで。
私自身も他の方が書いたFREEの記事を探すのは往生致しました。



※でもファンは、それも含めてFREEというバンド名を愛して
 いるんですよね。
 本気で探すなら、メンバーやアルバムの名を書き足して
 検索すればイイんだから…。

これまでも直にアクセスしてくれた方はいらっしゃいます。
それプラス、開けた方向から同好の士に出会えた嬉しさも
加わりました。

重ね重ね有り難い事です。
稚拙な文章ではありますが、読んでいただいて感謝いたします。

書籍紹介「HEAVY LOAD FREE」 ブリティッシュ・ブルース・ロックの雄 フリーの軌跡

2013年09月21日 | CD・書籍紹介(FREE)
「HEAVY LOAD FREE」
(ブリティッシュ・ブルース・ロックの雄 フリーの軌跡)

以前、訳者の方に直接連絡して購入した物だ。



実に濃密で重厚な労作だ。
70年代の「忘れじのブルースロック・グループ=フリー」の伝記本。

David Clayton氏と、Todd K. Smith氏との共著

フリーは洋楽コンサートに飢えた1971年の日本ファンの前で伝説的な
演奏を披露し、根強い人気のあるロックバンドに関わらず、和訳の伝記本が
無かった。
そして、ボックスセットCDの国内盤も発売されなかった。

とんでもない事である。

それを憂いた(?)日本人のフリー・ファン=葛葉氏が自ら翻訳し、
自主出版されたのが、この「HEAVY LOAD FREE」
“ブリティッシュ・ブルース・ロックの雄 フリーの軌跡”である。



とにかく私にとって、FREEというバンドは「特別な」存在だ。
決して別格の存在ではない。
The Whoやジミヘン、Stonesのように、ロック史の中で重要な
役割を果たしたワケでは無いし、
クリムゾンのようにアルバム1枚で同業他者に大きな衝撃を与え、
ロックの可能性を広げたワケでも無い。

それでも、
憂いを帯びながら時に激情的にシャウトするソウルフルなヴォーカル、
抑えを利かせながらもライヴでは吼えるように鳴り響くギター、
ウネりながらフレット上のあらゆる場所を走るベース、
1打1打に魂を込めるように叩くドラマー・・・。

FMラジオで「ファイアー・アンド・ウオーター」のライヴ・ヴァージョンを
聴いて雷に撃たれたような衝撃を覚え、かれこれ30年以上は過ぎるだろうか。

今でも全く懐かしいとは思わないバンドだ。
なぜなら今でも、しょっちゅう聴いている楽曲たちだからだ。

唯一無二のバンドだ。
私にとっては最も重要で愛着のあるロックバンドなのだ。



そのフリーの足跡を辿った「HEAVY LOAD FREE」
“ブリティッシュ・ブルース・ロックの雄 フリーの軌跡”

まずは、メンバーの生い立ちから始まる。
英国では有名な俳優・デビッド・コゾフを父に持つポール・コゾフ(g)は、
早くからロンドンの楽器店で働き、楽器店界隈の「顔」になるなど如才の
無さが目立つ。
※この辺は、ストーンズにおけるブライアン・ジョーンズに
 通じるモノを感じるなぁ。その後、そういうキャラが身を
 持ち崩していく悲惨さは尚更寂しいものがある・・・。

北部生まれのポール・ロジャース(Vo)は、ロックバンドで身を立てる事を
決意し、仲間のミッキー・ムディー(後にホワイトスネイクのギター)らと
ワゴン車で移動していたものの、途中で車が悲鳴を上げて立ち往生。
金なし仕事なしだったバンドも限界をきたし、一行は分裂。

ムーディーらは地元に戻るが「何がなんでも歌で身を立てる」という
ロジャースはロンドンを目指した。

※ロジャースの「鉄の意志」は一貫しており、どんなにバンドが
 苦境でも、決してロックで身を立てる事を諦めない。
 そのガッツとスピリッツは強烈なモノがある。
 ファンからの印象としては、ニコニコしたナイスガイなのだが
 癇癪持ちの面もあり、自分の歌を充分に録れないスタジオマンには
 情け容赦ない怒号を浴びせたそうな・・・。
 


そして、アンディ・フレーザー(b)。
ハイブリッドな血を持つ若き天才は、16歳にしてプロのミュージシャン。
待ち合わせにタクシーで現われ、領収書を切ったのを見て、コゾフでさえ
度肝を抜かれたそうな。
金銭感覚にも秀で、マネージメントも如才ないフレーザーは「自分がバンドを
仕切る」と早々に宣言し、みなを驚かせたとか。

※もっとも、いよいよ交渉がヤバイとなったら
 北の男ロジャースが出てきて睨みを利かせ解決した
 ・・・なんて話です。用心棒かよ、ロジャースさんは。

そして、サイモン・カーク(dr)。
やはりミュージシャンになりたい一心でロンドンへ出てきて活動開始。
コゾフのバンドのオーデションを受け、「オレより上手いヤツが居たから
無理だろうな」なんて思ってたら、コゾフに呼び出され
「俺はオマエと組むぜ」と言われて感激した・・・なんて初々しい話も
ありました。

きっと腕だけじゃなくて人柄も買われたんだろうなぁ。
※まぁ、バドカンで大成功した来日公演では天狗になってた
 ・・・なんて話もありますが。



フリー結成、アルバムの制作・・・と話は進み、
ガイ・ステーブンスやアイランドレーベル社長クリス・ブラックウェルも登場。
当初「彼らは若く、荒々し過ぎる」と契約を渋ったアイランドの一部役員も、
結局は首を縦に振り、フリーというバンド名も若者の我が通った。

※でもある意味、クリス・ブラックウェルが言った
 「フリーってのは、ありふれた感じがする」というのも
 今となっては的外れでは無いよな。だってネットで
 「FREE」を検索したら無料ソフトの紹介が延々と出てきて、
 英国ロックバンドの情報になんて辿り着けやしない・・・。

そして、ガイ・スティーブンスの「ムードメーカー」ぶり。
・・・というか、それしか仕事してないかのような印象。
※エンジニヤのアンディ・ジョーンズなど不満タラタラ・・・。



1stアルバム「トンズ・オブ・ソブス」のジャケットの意味
・・・・などなど、印象的な記述も多い。

※ジャケットに関しては完成度の高いセカンドアルバムのデザインを
 ヒプノシスのストーム・ソーガソンが絶賛しているのは感慨深いねぇ。

また、いつも腹を空かせてたメンバーは、小柄なフレーザーをホテルの
厨房に潜り込ませ冷蔵庫から食料を調達した・・・とか
ロンドンに出てきたばかりのカークが、エンズレー・ダンバーの余りの
上手さにショックを受け「もうドラム止めよう」と悩んだ・・・とか

ベースとヴォーカルのソングライター組にギタリストの演奏チャンスを
狭められ、嫌気がさしたコゾフが、ブライアン・ジョーンズの後釜
オーディションを受けていた・・・とか

いままで聞いた事なかったエピソードも満載だ。
※しかし、コゾフがストーンズのオーディションに受かってたら
 どうなってただろうねぇ。ジョーンズの後にジョーンズが
 入ってくるようなモンだったかもね。



特にライヴにおける若きバンドのエネルギーは凄まじく、時に
The Whoさえも押さえ込んでしまう程だった・・・なんて記述もあります。

※さすがにThe Whoはホントに史上最強のライヴ・バンドだから
 著者の身びいきかも知れないとは思いますが・・・。
 観客動員数を塗り替えたなんて「数」の話されると
 ある程度は本当だったのかな・・・なんて気もします。

特にロジャースのヴォーカルは、完全に後のロックミュージシャンにショックを
与えてしまった模様。
ルー・グラム、サバイバーのヴォーカル、レイナード・スキナードのメンバー・・・。

※そういやレコードコレクターズのレイナード特集では
 レイナードが一部フリー丸出しの曲をやってるとして、
 「これだけのキャリアを誇るバンドとしては恥ずかしい」なんて
 書かれてたけど。「フリーを真似て、なぜ恥なんだ!?」と
 逆に不愉快になった事がありましたわ・・・。



ただ、後半は
好きなバンドの崩壊、人間関係のもつれ・・・が、これでもかと続き、
読んでいて辛い。

「HeartBreaker」発売後に解散、以後のメンバーの活動を短く紹介し、
ポール・コゾフの逝去を知らせて事実上のエンディングとなる。

同時期・同ジャンルの話題も多く
スプーキー・トゥースやスティーヴ・ウィンウッド、グラハム・ボンド、
アメイジング・ブロンデルなど興味深い固有名詞も続々登場。

60年代後半から70年代前半の英国ロック史をも覗き見る事が可能だ。

人名一覧を含め、326ページ!判型もデカイ!
残念な事に出版不況もあって自主出版となったが
※昔ならシンコーミュージックあたりが出版してくれたかも知れないけどなぁ
 ロベルト・デュランの伝記が和訳されたんだからよう・・・。

訳者の葛葉哲哉氏は、なんとバッド・カンパニー以降のキャリアを追った書籍の
出版を計画されているとの事!



今回の一冊だって大変な労作で、
(後半のグループ崩壊の項は読んでいて余りにも辛いが)フリーのファンに
とって掛け替えのない一冊である事は変わりないのに。

その上で、まだヘビィな道を歩もうとされているのか。

「HEAVY LOAD FREE」
著者2名に加え、訳者の葛葉氏の労と情熱に最大限の敬意を表したいと思います!!

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バドカン関連アルバム・レビュー!(19)

2005年12月06日 | CD・書籍紹介(FREE)
最後に、フリーの5枚組CDボックス(1枚はボーナス扱いだが)などを・・・。

フリーの歴史を、未発表トラックや各メンバーのソロ活動、名曲のヴァージョン違いを網羅しながら辿る編集盤の決定打、登場!
・・・とファンを感涙させたブツで。

特に未発表ライヴ満載のCD-4は、感涙の内容。
「Live!」同じ音源もあるが、それはアンソロジーBOXだから仕方ないとして。これまで、ライヴ・ヴァージョンを聴いた事ある曲でも「フリーは同じ演奏を2度としない」ので、感激する事に変わりは無いのだ。



――以下、収録曲。
【Songs Of Yesterday】

CD 1

1:Over The Green Hills (new mix)
2:Walk In My Shadow (alternate 'old' mix)
3:Wild Indian Woman (new mix)
4:Guy Stevens' Blues (unreleased)
5:Visions Of Hell (unreleased)
6:I'm A Mover (alternate mix)
7:Moonshine (alternate mix)
8:Woman By The Sea (unreleasedl)
9:Free Me (alternate version)
10:Long Tall Sally (unreleased)
11:Broad Daylight (alternate mix)
12:The Worm (B-side)
13:Trouble On Double Time (alternate version)
14:Spring Dawn (unreleased)
15:I'll Be Creepin' (alternate version)
16:Sugar For Mr. Morrison (B-side)
17:Songs Of Yesterday (new mix)
18:Woman (alternate version)
19:Mourning Sad Morning (new mix)
20:Fire And Water (alternate mix).

CD 2

1:All Right Now (alternate version)
2:Oh I Wept (alternate mix)
3:Remember (new mix)
4:Don't Say You Love Me (new mix)
5:The Stealer (full version)
6:The Highway Song (alternate mix)
7:On My Way (alternate mix)
8:Sunny Day (new mix)
9:Ride On Pony (alternate mix)
10:Love You So (alternate mix)
11:Soon I Will Be Gone (alternate version)
12:My Brother Jake (new mix)
13:Makin' Love- Only My Soul (unreleased)
14:Rain (unreleased)
15:Get Where I Belong (alternate version)
16:Only My Soul (B-side)
17:Travelling Man (alternate mix)
18:Molten Gold (alternate mix).

CD 3

1:Little Bit Of Love (alternate mix)
2:Soldier Boy (alternate mix)
3:Sail On (alternate version)
4:Guardian Of The Universe (demo)
5:Child (alternate mix)
6:Honky Tonk Women (rehearsal)
7:Lady (rehearsal)
8:Muddy Water (demo)
9:Heartbreaker (live)
10:Wishing Well (alternate mix)
11:Let Me Show You (full version)
12:Let Me Show You (B-side)
13:Muddy Water (alternate mix)
14:Common Mortal Man (alternate mix)
15:Heartbreaker (alternate mix)
16:Seven Angels (alternate mix).

CD 4
Live(from the 1970
Croydon and Sunderland concerts from which Free Live wastaken)

1:Ride On Pony (Croydon 2nd show)
2:The Stealer (Croydon 1st show)
3:Be My Friend
4:Fire And Water
5:Don't Say You Love Me
6:Mr. Big (Croydon 2nd)
7:I'll Be Creepin
8:Free Me
9:Woman
10:I'm A Mover
11:Walk In My Shadow
12:Songs Of Yesterday
13:All Right Now
14:Crossroads (Sunderland).

CD 5

1:I Just Want To See You Smile Paul Rodgers and the Maytals
2:Zero BC (Peace)
3:Like Water (Peace)
4:' Jelly Roll (Sharks)
5:Follow Me (Sharks)
6:Fool's Life (Kossoff Kirke Tetsu Rabbit)Alternate mix.
7:I'm On The Run (Kossoff Kirke Tetsu Rabbit)Alternate mix.
8:Sammy's Alright (Kossoff Kirke Tetsu Rabbit)Alternate mix.
9:Hold On (Kossoff Kirke Tetsu Rabbit)New mix.
10:Tuesday Williamsburg (Rabbit)
11:Unseen Love (Rabbit)
12:Time Spent (Time Away) Paul Kossoff/ John Martyn (Kossoff/ Martyn)
13:Complete version of 1971 jam

――まぁ、微妙なヴァージョン違いや、未発表曲、ライヴ演奏(昔は「実況録音」と言いましたなぁ・・・)を聴きたいファンが買うものではありますが。



ロジャース先生が「アット・ラスト」前に組んでた「ピース」の演奏も中々興味深いし。
後にバドカン名義で発表した「ライク・ア・ウォーター」でのミック・アンダーウッドのキッチリしたドラムも個性的だし、ロジャース先生の声も若いし、本当に興味深いヴァージョンであります。

しかし、キーボード・プログレ・バンド「クオーターマス」解散後、評価バカ高のロジャースとバンド結成なんて「こりゃ、儲けもの!」って感じだったろうが、アンダーウッドさん残念だったねぇ・・・・(涙)。

そして、ハートブレイカー・ツアーでは、ラビットが歌って彼のコーナーになってた「I'm On The Run」(Kossoff Kirke Tetsu Rabbitより。このアルバムもCD化されましたな)。

「Kossoff Kirke Tetsu Rabbit」からは「ホールド・オン」も収録されているが、ツアーでポール・ロジャースが歌ったヴァージョンを聴いた事あり、その差に愕然としたのでした。

コゾフもフレイザーも、ロジャースを越えるヴォーカリストと出遭えなかったのが不幸だったというか・・・(そんなヤツぁ滅多に居るワケねぇんだが)。

まぁ、最大の聴きものは、CD-5の1曲目「I Just Want To See You Smile」(Paul Rodgers and the Maytals)か?

神様ボブ・マーリィーを擁し、世界にレゲェを紹介した「天下のアイランド・レーベル」。
ヒョットして「ロジャース先生が歌うレゲェなんてのもあるかも知れない!」なんて思い続けたのですが。
あったんですよ、ディスク5の一曲目に。

まぁ、リズムがレゲェで歌はロジャース節のまんまだったんですが(笑)。



――このボックス・セット「Songs Of Yesterday」。
まぁ、ライヴも他とのダブリ少ないし(「Live!」のボートラとKossoffの「ブルーソウル」のライヴは、かなり被るので注意)。
充分満足なBOXセットですよ。ワタシャ部屋に飾ってますよ。

無念なのが、国内未発売な事ですな。
輸入盤で購入しても、色々なグループフォト載ってて楽しいけれど。
日本でも人気あった「忘れじのバンド」ですよ!今でも根強いファンが居るんですよ。
今回を期に、是非このBOXセットを国内解説付きで発売して欲しいですなぁ・・・。

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(10)

2005年11月24日 | CD・書籍紹介(FREE)
「ライブ!」を挟んで発売された再結成アルバム。
それが【フリー・アット・ラスト FREE AT LAST】UICY-2400 \1748(税抜) 
オリジナル:1972年作品

この時期のフリーはと言えば。
「世界挑戦間近だったのに、若さゆえのワガママでチャンスを棒に振ってリングを去った異能のボクサー」なイメージなんですよね。

――で、
やっぱり「もう一回チャンスを!」とカムバックしたが、不摂生が祟り出来の悪いパフォーマンスを見せてしまった・・・と。

それでも、才能の片鱗は充分に見せ、それはそれでファンを魅了はしてみせた・・・って感じか。
フリー空中分解で、益々クスリに のめり込んだコゾフを知り「このままじゃ、彼が駄目になる。彼を救うにはフリー再編しかない」とフレーザーに熱望されて再結成されたフリーだったが。

それでもコゾフのクスリ癖は治らず、生真面目なフレーザーやロジャースは「新しく始めたプロジェクト放棄して再編したのに・・・」と落胆(まぁ、そっちも上手く行ってなかったらしいが)。

フリーというバンドは再度、空中分解したそうな・・・(フレイザーなんて、後で組んだバンド“シャークス”で「他のメンバーがステージ上でフザけた振る舞いしたのが許せん」・・・ってんで辞めちゃったなんつう人だからなぁ)。

例によって曲は悪くない。
でも、アルバム全体から醸し出される倦怠感というか・・・ダラダラ感がシンドイのよね。



ロックチューン「キャッチ・ア・トレイン」、 行進曲風の出だしから続くロジャース先生の歌唱が光る「ソルジャー・ボーイ」。
サビが美しい「マジック・シップ」「セイル・オン」。

90年代のロジャース・ソロ公演で、ギターのJ・ホワイトホーン(元IF)が熱演し、後半のロジャース先生のシャウトも壮絶な「トラヴェリン・マン」。

シングルカットされてスマッシュヒットとなった佳曲「リトル・ビット・オブ・ラヴ」(印象的なベースがオープニングを飾るフリーらしい曲。サビで聴こえるメロトロンも良い!)。

成熟したバラード「ガーディアン・オブ・ザ・ユニヴァース」。アコーステック風味の「チャイルド」。

バラードから始まり後半ロジャースの熱唱で盛り上がる「グッドバイ」・・・。
好曲が並んでますよ。イイ曲多いですよ。

ただ、やっぱり終盤に大人しい曲があつまってダラダラ終わる印象あり・・・。
何と言っても音の構築バランスが悪過ぎる。中低域がスッカスカ。

フレット全体を自在に使うアンディ・フレーザーの天才的なベースだが、個性的な反面「バンドサウンドの土台を支える役割を放棄している」面もあり。

ギターのコゾフが「それを補うのがオレの役割だった」って語るのも納得の勝手フレーズの連発。

「自由に弾けない」「全体の中低域を押さえる為に弦も太めに張り替えた(コゾフの特徴となった太いビブラートも、実際は苦肉の策だったそうな・・・)」。

あと「ベースとヴォーカルに較べれば曲が書けない」コゾフ、発言権も失われていったのは容易に想像できる。
そんで、「ここは抑えるトコロだから、ギター弾きまくるな」みたいな抑圧があったに違いない。

――で、ストレスから走った薬を生真面目なメンバーに咎められ、ますます迷走。

「彼を救おう!」と言った当人が、以前のまんまのプレイして、フォローする気力の失せたコゾフは「縁の下」の仕事を放棄(つ~か、心身ともに疲れて不可能だったか)。

フリー・アット・ラストは、中低域がスカスカで、その辺を押える気力を失ったギターの悲鳴みたいな音色が鳴り響く、奇妙なアルバムになってしまった。

一回、ヴォーカルとベースを掴まえて「お前等、その辺の自覚あるのか!?!?」と問い詰めてみたい・・・(まぁ、A級戦犯のフレイザーは潔く認めて後悔してるらしいが)。

未完の大器の片鱗が垣間見え、失った物の大きさを知る・・・そんなアルバムですなぁ。

最初に紹介した商品番号は、オリジナル・トラック9曲にボーナス・トラック6曲を加えてレギュラー商品化した「フリー・アット・ラスト+6」の物。

――以下、収録曲。

1.キャッチ・ア・トレイン
2.ソルジャー・ボーイ
3.マジック・シップ
4.セイル・オン
5.トラヴェリン・マン
6.リトル・ビット・オブ・ラヴ
7.ガーディアン・オブ・ザ・ユニヴァース
8.チャイルド
9.グッドバイ
~ボーナス・トラック~
10.バーニン’=モルテン・ゴールド(オルタナティヴ・テイク)
11.ホンキー・トンク・ウィメン
12.マジック・シップ (オルタナティヴ・ミックス)
13.リトル・ビット・オブ・ラヴ (オルタナティヴ・ミックス)
14.ガーデン・オブ・ザ・ユニヴァース (ポール・ロジャース・ソロ・ヴァージョン)
15.チャイルド(アーリー・ミックス)



――ハートブレイカー・フリー時代にステージで披露されていたストーンズ・カヴァーの「ホンキートンク・・・」、この後に再度解散したオリジナル・フリーのメンバーがコゾフのソロアルバムに参加した名曲「モルテン・ゴールド」の原型「バーニン’」。

その辺が、注目のボートラか。
まぁ、「ホンキー・・・」は、お遊び半分のセッションで、ロジャースの投げやりにも聴こえる歌唱は感心できませんが。

ただし、「モルテン・・・」は、その素晴らしさに、失われた物の大きさを感じるばかり・・・(結局、後の同窓会セッションで、元フリーのメンバーがコゾフに曲をくれてやったって感じか)。

後年、バッド・カンパニーの控室を訪れたコゾフ、当然ゲストとしてステージに上がると思いきや、ロジャースが絶対に許さなかったとか。年齢的には弟分だったコゾフがクスリから足を洗っていないと聴いたロジャースは「そんなヤツはステージに上げられない」と思っていたのか・・・(皆、フレイザーの事ばっか「まだ10代の天才少年」と言うが、コゾフも大成功収めた時は10代だったんだよなぁ・・・)。

これまた古本屋で高値で買ったニュー・ミュージック・マガジンのバックナンバー「マチ・ロジャースが語る夫ポール」のページ。

大半が亭主の「おのろけ」ばっかりで「なんでぇ、もっと音楽的なコト知りたいのに、カネの無駄じゃねぇかよ」・・・とも思ったが。まぁ、その辺が聞けただけOKか・・・。

ちなみに日本人のマチさん、今はミュージシャンとなった子供達を育て上げ、ロジャースとは離婚。
今回の来日、ロジャース先生は新しい嫁を連れて来ていたとか・・・。

――余談でしたなぁ。

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(9)

2005年11月24日 | CD・書籍紹介(FREE)
――で、フリーのサードアルバム。

「フリー/ハイウェイ+6 HIGHWAY」 UICY-2398 \1748(税抜)
オリジナル:1970年作品

しかし、凄いペースでアルバム作ってんなぁ・・・。
「年に2枚は当り前」ってか。

「オール・ライト・ナウ」大ヒット余韻醒めやらぬ内に後続打カッ飛ばそうって腹だったんだろうが(特にレーベルオーナーのクリス・ブラックウェル)。

シングルカットの「スティーラー」がイマイチ売れず。
慌てて続けたアコースティック調の「マイブラザー・ジェイク」がスマッシュ・ヒットしたりして迷走の様相・・。



――で。グループ充実期の4thアルバム「ハイウェイ」だが。
1stから3rdで一気に成熟したバンドの老成が始まっている印象・・・。

メンバー皆、若いのに・・・。静かな曲が多いかなぁ・・・。
以前のような「取って付けた感」は減ったが、バラードやアコースティック物が、これまた全体の印象を地味にしている感じ。
「ビー・マイ・フレンド」みたいな“フリーのバラード”の代表作もあるけどね。

上記商品ナンバーは、オリジナル・トラック9曲にボーナス・トラック6曲を加えてレギュラー商品化されたもの。

――以下、収録曲。
1.ザ・ハイウェイ・ソング
2.ザ・スティーラー
3.オン・マイ・ウェイ
4.ビー・マイ・フレンド
5.サニー・デイ
6.ライド・オン・ポニー
7.ラヴ・ユー・ソー
8.ボディ
9.スーン・アイ・ウィル・ビー・ゴーン
~ボーナス・トラック~
10.マイ・ブラザー・ジェイク(シングル)
11.オンリー・マイ・ソウル(シングルB面)
12.ライド・オン・ポニー(BBCセッション)
13.ビー・マイ・フレンド(BBCセッション)
14.レイン(オルタナティヴ・ヴァージョン)
15.ザ・スティーラー(シングル・ヴァージョン)



――当時、未収録だった「マイ・ブラザー・ジェイク」がボートラで入ってるのが注目点か(もっとも、ハイウェイのセッションとは別日に録られた曲らしいですがね)。

これが聴きたくて、廃盤だった「フリー・ストーリー(バドカンが売れたのに便乗して作った?フリーの2枚組ベスト」探しまわったんだよなぁ・・・。

で、中古盤屋でプレミア付9800円の古いアルバム買ったんだよなぁ・・・。
そしたら数ヶ月で「フリー・ストーリー」CD化されたんだよなぁ・・・。
レコ-ドの価値ガタ落ちだよなぁ・・・。

まぁ、CDの方には「ハートブレイカー」のライヴ・ヴァージョンは入ってなかったけど。
でも、音のバランス悪くて、途中でキーボードが大音響で乱入してくる不完全ライヴ、無くても問題ないかなぁ・・。

――で、シングルで結構売れたっていう「マイ・ブラザー・・・」、どんな凄いHRかと思ったら、爪弾くピアノに続いてロジャース先生がしっとり歌う、ミディアム・バラード(?)。

個人的には「スティーラー」のリフやベースラインが大好きなので、「なんで、スティーラーより売れたの?」と当時は不思議でしょうがなかった曲ですが。
聴き慣れたら「これはこれで良いな」って感じです。
歌詞は、バドカン路線に繋がるアウトロー哀歌・・だし(勝手に決め付けておりますが)。

あとは例によってBBCセッション。
まぁ、悪いワケないですよ。
ロジャース先生本人だって「オリジナル・フリーのライヴに不発は無かった。コゾフの状態が悪くなった後期でもだ」と言ってますからなぁ・・・。
このアルバム発売後に来日するも、極東ツアーの途中(オーストラリアへの移動中、大ゲンカ?)でグループは空中分解し、解散・・・。

フリーの短い全盛期は「熱情の1st~進化の2nd~充実の3rd~老成の4th」と、あっと言う間に過ぎ去ってしまったのでした。

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(8)

2005年11月22日 | CD・書籍紹介(FREE)
「フリー/ファイアー・アンド・ウォーター FIRE AND WATER」
UICY-2397 \1748(税抜)
オリジナル:1970年作品

「大ヒット曲『オール・ライト・ナウ』を収録したグループ最高傑作!」と言われるアルバムだが。
やっぱ音が良くない。
ギターの音色なんて「ベロ~ン」とした三味線の出来損ないみたいで。ベース音も途中で上行ったりして、それをカヴァーするバスドラの音も淡白。

演奏も、やっぱ練りすぎて鮮度落ちてる感は拭えない。
曲はイイんですよね、例によって。

1曲目は「ファイアー・アンド・ウォーター」だし。
ロジャース先生が朗々と歌い上げる「オウ・アイ・ウェプト」も好曲だし。
「リメンバー」も個人的には大好きなミディアム・ナンバーだし(出だしのギターが最高だが、後で鳴ってるオーバーダブが三味線の出来損ない・・・)。

「ミスター・ビッグ」も、この後のライヴでハイライトとなる盛り上がりソングだし。
ストイックなスロー曲「ヘヴィ・ロード」も良いし。
ややベタなバラード「ドント・セイ・ユー・ラヴ・ミー」も、次の「オールライト・ナウ」への布石だと考えれば許容範囲。



――でも、やっぱ鮮度に物足りなさが。
スタジオで弄くり回すより、ライヴで勢い増したがOKなバンドの筈だが、どうも初のセルフ・プロデュースで経験不足を露わにした感じ・・・。

まぁ、パープルで言えば「マシンヘッド」みたいなアルバムか。
代表曲てんこ盛りなれど、後続で出たライヴ・アルバムの方が、同じ曲でも出来がイイ・・・と。
ちょっと前に英国の放送局だったが行ったアンケートで「最も過大評価されたアルバム」なんてのがあったが。
ある意味、フリーの最高傑作と言われる「ファイアー・アンド・ウォーター」もそうなのかも知れませんなぁ・・・。
たまに「リメンバー」や「オールライト・ナウ」聴きたくて引っ張り出す一枚なんですが・・・。



上記の商品ナンバーは、オリジナル・トラック7曲にボーナス・トラック6曲を加えてレギュラー商品化されたもの。
レコードジャケット・サイズのスリーブにCDがパッケージされた「でかジャケCD」ヴァージョンもあり。

――以下、収録曲。
1.ファイアー・アンド・ウォーター
2.オウ・アイ・ウェプト
3.リメンバー
4.ヘヴィ・ロード
5.ミスター・ビッグ
6.ドント・セイ・ユー・ラヴ・ミー
7.オール・ライト・ナウ
~ボーナストラック~
8.オウ・アイ・ウェプト(オルタネイト・ヴォーカル・テイク)
9.ファイアー・アンド・ウォーター(ニュー・ステレオ・ミックス)
10.ファイアー・アンド・ウォーター(BBCセッション)
11.オール・ライト・ナウ(BBCセッション)
12.オール・ライト・ナウ(シングル・ヴァージョン)
13.オール・ライト・ナウ(ファースト・ヴァージョン)

――元々が短い収録時間のアルバムだから、ボートラ収録されても長くは無い(笑)。
10曲目(ファイアー・アンド・ウォーター/BBCセッション)と11曲目(オール・ライト・ナウ/BBCセッション)を聴けば、「やっぱりフリーはライヴ・バンドだったんだなぁ」と再認識する事になるでしょう・・・。

まぁ、コゾフが「ブルースロックのファンからは『売れ線の曲を出しやがって』って叩かれたよ」とボヤいた「らしくない明るい曲=オールライト・ナウ」は、スタジオ・ヴァージョンで充分に感激できるが・・・。

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(7)

2005年11月22日 | CD・書籍紹介(FREE)
【フリー+10 FREE】UICY-2396 \1748(税抜)
オリジナル:1969年作品

・・・で、セカンドアルバム。
セカンドなのに、セルフタイトル。
普通、1stで「Same」なら分かるが、セカンドにグループ名と同名タイトルを付ける・・・と。
ま、レーベル同じのトラフィックが、そうだったし。
スプーキー・トゥースも、それに近かったし。

・・・で、良く言われるのが「ブルース・ロックから脱却し彼等独自のサウンドを確立した記念作」って言い方。
確かに、リズムセクションに変化あり。
カークのドラムは後ノリになってるし。
1stでは、ギターとユニゾンみたいな無難な音が大半だったフレーザーのベースも、リズムにウネリが出て来て、音階にも独自性あり。
「低いトコロ押えときゃいい」ってなベースでは、明らかになくなっている。そして、無音の美学ともいえる「抜き」も・・・。
師匠のアレクシス・コーナーに教わったという「なんでも詰め込みゃイイってワケじゃ無い」って美学。オーバーダブも減ってる感じだし、かなり練って作られた印象あり。

反面、楽曲が「こねくり回されて新鮮度が落ちてる」印象も拭えない。
音質も、ドラムのアタック音は後退してるし。
全体的にくぐもった上に、一音一音が細くなってると言うか。瑞々しさが失われたように感じられる。

曲は悪くない。ヘヴィロックの傑作「ウォーマン」「ブロ-ド・デイライト」「トラブル・オン・ダブルタイム」、早足リズムの「ソング・オブ・イエスタディ」、フレイザーのベースラインが独自性を発揮した「アイル・ビー・クリーピン」
・・・と、ライヴでは盛り上がったであろう好曲が多いのよ。

ただ、取って付けたようなバラードが・・・。
アルペジオのギターに、呟くようなヴォーカル、ただ大人しいドラム・・・。
音の鮮度の無さと、このベタなバラード群が、同アルバムを地味にしている印象は拭えず。

あまり、聴き始めの人には勧められないアルバムですなぁ・・・。

上記の商品番号は、オリジナル・トラック9曲にボーナス・トラック10曲を加えてレギュラー商品化されたもの。



――以下、曲目

1.アイル・ビー・クリーピン
2.ソングス・オブ・イエスタデイ
3.ライイング・イン・ザ・サンシャイン
4.トラブル・オン・ダブル・タイム
5.マウスフル・オブ・グラス
6.ウーマン
7.フリー・ミー
8.ブロード・デイライト
9.モーニング・サッド・モーニング
~ボーナストラック~
10.ブロード・デイライト (シングル・ヴァージョン/モノ・ミックス)
11.ザ・ワーム(シングル・ヴァージョン/モノ・ミックス)
12.アイル・ビー・クリーピン (シングル・ヴァージョン/モノ・ミックス)
13.シュガー・フォー・ミスター・モリソン (シングル・ヴァージョン/モノ・ミックス)
14.ブロード・デイライト(BBCセッション)
15.ソングス・オブ・イエスタデイ(BBCセッション)
16.マウスフル・オブ・グラス (アンディ・フレイザーによるソロ・アコースティック・ヴァージョン)
17.ウーマン(オルタナティヴ・ヴァージョン)
18.トラブル・オン・ダブル・タイム(アーリー・ヴァージョン)
19.モーニング・サッド・モーニング (オルタナティヴ・ヴァージョン)

――ビッグネームが次々とボートラ入りの紙ジャケ出す中、半ば諦めてたのがウソのような、ボートラの曲数よ(涙)。
注目は、14曲目&15曲目・・・か。
「ブロード・デイライト(BBCセッション)」「ソングス・オブ・イエスタデイ(BBCセッション)」
ま、英国国営ラジオでのスタジオ・ライヴなのだが。

これが・・・良いのよ!!(涙)
「ブロード・・・」ではカークのドラム、いい音(低音)のタム叩いてるし。

ドラム連打で始まる「ソング・・・」に至っちゃ、ノリの良さに「これくらいの勢いでスタジオ・アルバムも録っててよ!!」と泣きが入る程のカッコ良さ!!

ファンは、これだけでも「買い」ですよ。
なんつっても「ソング・・・」はBOXセットのタイトル名になった曲ですからねぇ・・・。

ちなみに、青空を背景に羽ばたくように闊歩する女性のシルエットを撮ったジャケットは、グループのジャケ史上で最高の物で。

下からアオりで撮ったアングルは、普通に現像したらトンでもない事になるのだが(笑)。
そこはアーティスティックに加工・編集され、女性のシルエットは宇宙の切り抜きとなり(マグリット的とも言えるなぁ・・・)、まさに「FREE」なジャケット・フォトとなったのでした。

アイランド・レーベルの設立ウン十周年記念に発売されたビデオで、同レーベルのイメージ・デザインの「i」と「椰子の木イラスト」がCGアニメで右に左に飛び交う中・・・。
この「女性」が、青空を軽やかに駆けていく姿が「動くCGアニメ映像」として見れた時は、なんか無性に感激したんだよなぁ・・・・。

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(6)

2005年11月18日 | CD・書籍紹介(FREE)
ここらから「オススメ」というより、発表順にアルバムを並べてレビューして行きましょう。僭越な行為ではありますが。

【トンズ・オブ・ソブス+8 TONS OF SOBS】 UICY-2395 \1748(税抜) 
オリジナル:1969年作品

忘れじのへヴィ・ロック・バンド「フリー」のデビュー・アルバム。
上記の商品番号は、オリジナル・トラック10曲にボーナス・トラック8曲を加えてのレギュラー商品のもの。

ぶっちゃけ、当時はブルース・ロックのブームも下火っつ~か、「アート・ロック」に移行した時代だと思うのだが(あと「サイケデリック」「フラワー」路線)。

そんな時代に偉大な若年寄たち(10代のメンバーもあり)は、勢いに満ちたブルース・ロック・アルバムを作り上げたのでした。

売上も良くはなかったらしいが、フリーの魅力の片鱗とロックらしい初期衝動が詰まった瑞々しい好盤で。
私は大好きなアルバムです。



以下、曲目。
1.オーヴァー・ザ・グリーン・ヒルズ~パートI
2.ウォリー
3.ウォーク・イン・マイ・シャドウ
4.ワイルド・インディアン・ウーマン
5.ゴーイン・ダウン・スロウ
6.アイム・ア・ムーヴァー
7.ザ・ハンター
8.ムーンシャイン
9.スウィート・トゥース
10.オーヴァー・ザ・グリーン・ヒルズ~パートII
~ボーナストラック~
11.アイム・ア・ムーヴァー(BBCセッション)
12.ウェイティン・オン・ユー(BBCセッション)
13.ガイ・スティーヴンス・ブルース(ブルース・ジャム)
14.ムーンシャイン(オルタナティヴ・ヴォーカル)
15.スウィート・トゥース(アーリー・テイク&オルタナティヴ・リリックス)
16.ヴィジョンズ・オブ・ヘル(未発表マスター・ミックス)
17.ウーマン・バイ・ザ・シー(オルタナティヴ・ヴァージョン)
18.オーバー・ザ・グリーン・ヒルズ(BBCセッション)    

1曲目はアコギ弾き語り風の「オーヴァー・ザ・グリーン・ヒルズ~パートI」。
クリムゾンのセカンドで言えば「平和」に当たるオープニングの小品。

2曲目の「ウォリー」は、アップテンポでアグレッシヴなブルース・ロック・チューン。とにかくヴォーカルも演奏も勢いあるねぇ。

ギターのフィードバック音から始まる3曲目が、「ウォーク・イン・マイ・シャドウ」。リフも最高な、「これぞ、フリー!」ってな“ヘヴィ・ブルース・ロック”だが、ロジャース先生は「自分が前のバンドで作ってた曲で、そう言われるのは不思議だなぁ」と素っ気ない。

4曲目の「ワイルド・インディアン・ウーマン」は、ミディアム・テンポのブルース・ロック。
この辺、ピーター・バラカン氏の「フリーはハードロック・バンドと言われてるが、自分はブルース・ロックのバンドだと思う」って意見も分かる。

5曲目はブルース・カヴァーの「ゴーイン・ダウン・スロウ」。
ブルース・フォームに則ったフレーズとリズムが聴ける曲。
ピアノも、まんまブルース調。

ドラムの導入から始まる6曲目の「アイム・ア・ムーヴァー」は、ライヴよりテンポ速め。
サイモン・カークの手数も多い。

7曲目はアルバート・キングの曲「ザ・ハンター」。
ブルース・カヴァーなれど、前ノリのシャッフルにアレンジ、当時ライヴのオープニングに使われてたと聴いて納得の演奏。
コゾフのギターが楽しげに宙を舞っている。
このアルバムでのコゾフのプレイは、本当にイキイキとしているんだよなぁ。

8曲目の「ムーンシャイン」は、スローな曲調で。
抑揚効いたロジャースの歌唱は、20才そこそこの若者と思えない。

9曲目の「スウィート・トゥース」も、後年なら後ノリで演奏される曲調だが、ここは性急に叩くカークに若さを感じますな。
ギターソロのバックで聴かせるフレーザーのベース・フレーズには、将来性を感じさせる自在さの片鱗あり。

10曲目は「オーヴァー・ザ・グリーン・ヒルズ~パートII」。
1曲目と同じ展開に戻って終焉。
エンドレス効果あり・・・か?

とにかく、後年の「これぞ、フリー!!」っていう後ノリ感も無く、ベースも無難なフレーズ弾いてる「いかにも青い」ブルース・ロック・アルバムだが。

それだけに、当時のライヴの熱気をパッケージしたアルバムとも言え。
若い勢いで一気に作り上げた、後年のフリーのスタジオ盤に無い瑞々しさが眩しい。

なぜか、後年のアルバムより音質も良い事も特筆しときたい。

プロデューサーは、ガイ・スティーブンス。
アイランド・レーベルの社長クリス・ブラックウェルは、バンドがセルフ・プロデュースした後年のサウンド(「ファイアー&ウォーター」など)を聴いて「しまった、まだ早かったか!」と嘆いたという。

――だめだ、やっぱり結局「お奨めアルバム」のノリでレビューしてしまった(笑)。

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(5)

2005年11月18日 | CD・書籍紹介(FREE)
FREE【ハートブレイカー+6 HEARTBREAKER】 UICY-2401 \1748(税抜)

*オリジナルは1973年作品これまたボーナストラック付きのお徳盤。
アンディ・フレイザー(b)が脱退し。そこにラビット(kb)、元ミッキー・カーチス&ザ・サムライの山内テツ(b)を加え、ポール・コゾフ(g)をゲスト扱いにして制作された、フリーのラスト・チャレンジ・アルバム。

クスリで状態悪くなったコゾフ抜きで来日、ロジャース先生がギター兼任で行ったステージの評判は悪く。
「やっぱフリーはオリジナル・メンバー」と言われながらのアルバム発売だけに、当時は風向きが悪かった一枚。

・・・とは言え、色々なミュージシャンにカヴァーされた一曲目は不滅で。
キーボード加入で、中低域が安定したため、全体に座り良い印象あり。

曲によっちゃロジャース先生がオリジナル・フリー空中分解時に組んでたバンドでリハ演ってたモノもあり。
その辺、権利がややこしくなるからとクレジットは競作扱いが大半だとか。

オリジナル・フリーが成し掛けた世界制覇の「夢よ、もう一度」とばかりに炸裂するヘヴィ・ロックが眩しい。

当然、ロジャース先生の歌唱も全曲素晴らしい。



――以下、収録曲。

1.ウィッシング・ウェル 
2.カム・トゥゲザー・イン・ザ・モーニング
3.トラヴェリン・イン・スタイル
4.ハートブレイカー
5.マディ・ウォーター
6.コモン・モータル・マン
7.イージー・オン・マイ・ソウル
8.セヴン・エンジェルス
~ボーナストラック~
9.ウィッシング・ウェル(USミックス)
10.レット・ミー・ショウ・ユー(シングルB面)
11.マディ・ウォーター(オルタナティヴ・ヴォーカル)
12.ハンド・ミー・ダウン/ターン・ミー・ラウンド(プロスペクティヴ・アルバム・トラック)
13.ハートブレイカー(リハーサル・ヴァージョン)
14.イージー・オン・マイ・ソウル(リハーサル・ヴァージョン)

2曲目の「カム・トゥゲザー・イン・ザ・モーニング」も壮絶曲で。
とにかく、P・コゾフの断末魔ギターが凄い。
やや遅目のミディアム曲、中間部のソロで泣き叫ぶようなビブラート効いたロングトーン連発。
個人的には「1st」や「Live!」でのイキの良いギター・ソロも好きだから、「コゾフと言えば泣きのギター!」と決めつけられるのに抵抗あるのだが。
クラプトンも驚いたという、こんな泣きのソロ聴かされちゃイメージも定着しちまうわなぁ・・・。

3曲目は、アコースティック風味の「トラヴェリン・イン・スタイル」。
後半のホンキートンク調のピアノも味があって良い。

4曲目がタイトルチューンの「ハートブレイカー」。
1曲目と対を成すような腰の据わったヘヴィ・ロック。
リフも見事、ロジャース先生も絶叫・・・の佳曲ですわ。

5曲目が自身のルーツを表明したような「マディ・ウォーター」。
そうそうロジャース先生が歌う「♪アイ・ワズ・ボーン・・・」の後には「マディ・ウォーター♪」もありましたよ。
「オレは泥水から生まれた」ですよ!地に足ついた楽曲、これまたGOOD。

6曲目がラビットのキーボードが光る「コモン・モータル・マン」。
やっぱり歌メロが良いです。

7曲目が、後にバドカンのライヴでも演奏されたアコースティック風の「イージー・オン・マイ・ソウル」。
「♪イ~ゼィ・・・」と合唱するのが当時のパターンだったようで。

8曲目は、オリジナル盤のラストを飾る「セヴン・エンジェルス」。
これまた1曲目や4曲目と相通じるヘヴィ・ロック。
フリーらしからぬ壮大な曲だが、ちょっと大仰で、お腹一杯・・・。

個人的には、かなり好きなアルバム。
フレイザーのウネウネ・ベースが無いのは寂しいが、テツの硬質なベースも屋台骨を支えるって意味じゃ本来の仕事してるし。

このメンツでのグループ続行もありだったろうが、コゾフもラリパッパが進行、専任ギターの不在などもあってか長続きせず。

結局、フリーはこれで完全に終わり。

テツはフェイセズへ、ロジャースとカークはバドカンへ、コゾフはソロへ、ラビットはセッションへ(The Whoのツアーにも参加)・・・。

コゾフ亡き後、ロジャース先生が「コゾフ抜きでのフリー再編は絶対にない」と明言している以上、これが正真正銘の「フリー、ラスト・アルバム」であり。

その名に恥じない力作であるのは間違いない・・・と感じるワケなのです。

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(2)

2005年11月11日 | CD・書籍紹介(FREE)
個人的に、フリーの魅力が最も詰った名ライヴ盤だと思うのが「FREE LIVE!」。

現在は、ボーナストラック7曲を加え、1470円の廉価盤“Super Live 1470”として発売中。
私は紙ジャケで買いましたが。とりあえず。

以下、収録曲。
【フリー・ライヴ(FREE LIVE!)+7】UICY-2399 \1748(税抜)
オリジナル:1971年作品)

1.オール・ライト・ナウ
2.アイム・ア・ムーヴァー
3.ビー・マイ・フレンド
4.ファイアー・アンド・ウォーター
5.ライド・オン・ポニー
6.ミスター・ビッグ
7.ザ・ハンター
8.ゲット・ホエア・アイ・ビロング
~ボーナス・トラック~
9.ウーマン(ライヴ)
10.ウォーク・イン・マイ・シャドウ(ライヴ)
11.ムーンシャイン(ライヴ)
12.トラブル・オン・ダブル・タイム(ライヴ)
13.ミスター・ビッグ(ライヴ)
14.オール・ライト・ナウ(ライヴ)
15.ゲット・ホエア・アイ・ビロング(オルタナティヴ・テイク)



――紹介文によっては「じっくりと熱くレイドバックした演奏を聴かせる」なんて書いてあるが。
73年のバドカンの来日公演の感想で「レイドバック!」なんて言ってる人も居たが。

「レイドバック」ってのは、アメリカ南部的なダラダラ感を言うのでは無いのですか?

バドカンのは勿論、テンポは落しているが、むしろフリーのライヴには凄い緊張感がありますぞ!!!

簡単なMCの後、メンバーが現れた時の歓声。
ベースやドラムの音出し、「ハロウ!」と声掛ける若きロジャースの甲高くツヤのあるダミ声。

おなじみの「オールライト・ナウ」リフでの盛りあがり、いきなり最高潮!
ここではテンポも上げて、ノリ良く演奏。
2曲目の「アイム・ア・ムーヴァー」は、グッとミディアム・テンポ。
3曲目の「ビー・マイ・フレンド」ではバラードの名唱が聴け(もちろんコゾフが爪弾くギターソロも絶品!)。
4曲目の「ファイアー・アンド・ウォーター」は、まさに“名演!”“名唱!”と呼べるヘヴィさ、ディープさで。

ワタシャ「全ての楽曲で何が最高に好きか?」と訪ねられたら、この曲を挙げるでしょうな・・・って位に凄い曲、凄い演奏だと思います。

いまでも出だしを飾るコゾフの「獅子の雄叫びのような」ギター・サウンドで鳥肌が立つんですよねぇ・・・。

5曲目も得意のミディアム・ナンバー「ライド・オン・ポニー」。
ベースのウネリが素晴らしい。

6曲目は、後半アンディ・フレイザー(ある意味天才!)のベース・ソロで盛りあがる「ミスター・ビッグ」。リフも最高です。

7曲目はブルース・カヴァーの「ザ・ハンター」。
ただし、初期はオープニングで演奏していた曲だから、シャッフル風のテンポで盛り上げる演奏陣。
歌い出しは、ツェッペリンも「ハウメニィ・モアタイムス」の終盤で使ってたが。
R・プラントとロジャースの歌唱を聞き較べるのも一興か?(ワタシャ文句なくロジャース先生に一票!!)

8曲目「ゲット・ホエア・アイ・ビロング」は、前曲の歓声(女の子の嬌声とかも聞えるのな!フレイザーとか男前でオシャレだったからモテてたろうな!)に被さるように始まるスタジオ曲。
当時は「ライヴ曲に唐突に表れる違和感ありの曲」と言われたが。
すでに同ライヴ盤が発表された時には、フリーは解散していたワケで(後に「アット・ラースト」「ハートブレイカー」で再編)。
そういった面では「無きバンドを偲ぶ」って雰囲気あって。
私は、このエンディングは嫌いでは無かった。

――で。当時は、そんな声と共に「2枚組にして欲しかった」とも言われたワケだが。
演奏の充実ぶりからすれば、他の代表曲「スティーラー」「ソング・オブ・イエスタディ(2ndアルバムのボーナストラックで最高な演奏あり)」「アイル・ビー・クリーピン」なども聴きたかったトコロ。

来日公演で「クロスロード演った」なんて聴いて、堪らん気持ちになった事が懐かしい。その後、コゾフのキャリアをまとめた編集盤「ブルーソウル」で、同曲をライヴ演奏するフリーを聴いて、感動・感動・また感動したのも懐かしい・・・。

――で。ボーナストラックです。
「ウーマン」はBBS(英国国営ラジオ)のライヴ音源から。
迫力はスタジオ盤の3倍増し?

そして、1stアルバムで“その後のフリーを暗示した”とも言える「ウォーク・イン・マイ・シャドウ」。
これはスタジオ・ヴァージョンよりグッとテンポを落としてウネリ・後ノリ面の“進化”を呈示しております。
この辺は、BOXセットや「ブルーソウル」に収録された物で、むしろ音質は「ライヴ!」より良かったりする。

11曲目「ムーンシャイン」これまた1stアルバムの曲をライヴ演奏。
ジックリ始まって、後半のシャウトで最高潮に達し。元曲の良さを再確認・・・。

12曲目が「トラブル・オン・ダブル・タイム」。
2ndの曲を荒々しくライヴ演奏。オープニングのバスドラから気合いが入ってます、サイモン・カーク先生!1音1音のアタックを決死の覚悟で叩くドラマー、サイモン!ドラムは手数だけではありませんぞ!(←オマエ、前に逆のコト言ってなかったか?)これまた最後はロジャースのシャウトでエンディング。

この頃の「後先かんがえない」ロジャース先生のヴォーカル、最高です・・・(涙)。

13曲目「ミスター・ビッグ」。これまた別のライヴ・ヴァージョン。
個人的にはワイト島の演奏か、「アット・ラースト」発表時の全米ツアーの演奏が白媚と考えてる同曲ですが、この演奏も素晴らしい!!
フレイザーの「ファズ・ベース全弦鳴らし」に感涙!!



14曲目が、これまた「オール・ライト・ナウ」。
本編「LIVE!」での「ギタ・シールド接触不良(?)での音途切れをフォローするロジャースの掛け声&フレイザーの唸るベース」もライヴの1発勝負感が出てて素晴らしいが。
原曲アレンジを、そう崩さずに迫力3割増しで演奏する、こっちのヴァージョンもグレイト!!
音もイイしね!

15曲目「ゲット・ホエア・アイ・ビロング(オルタナティヴ・テイク)」。
・・・・やられた。
これまた、前曲「オールライト・ナウ」のエンディング歓声に被って始まりましたよ、この曲が。
泣かせてくれます。
これによって、「ボーナス・トラック」の“とって付け感”が最後で かなり解消され、妙な統一感さえ感じさせてくれております。

さすが、トラフィックやスプーキー・トゥースを擁したアイランドレーベル。
やってくれます。
もうね、愛聴盤はなはだしいですよ。
個人的には、フリーってのは「The Whoと並んで“ライヴの迫力をスタジオ盤で再現できないバンド”(あと、ジェイムズ・ギャング等もか?)」と思うのですよね。

スタジオ盤、勢いで作った1st除けばダルダル感が漂い過ぎだし。音スカスカだし(“抜きの美学”あったとは言え)。

このアルバムなかったらフリーの評価は違っていたかも知れない(まぁ、D・パープルだって「メイド・イン・ジャパン」が無かったら評価違ったろうし)。

・・・そんなコトを考えてしまう充実したライヴ盤なのでありました。

音が篭ってる?そんなのロックのライヴ盤に何の関係があるってんだ!(The Whoのライヴなんて音悪い方が迫力あってイイぞ!)個人的にはイチ押しのアルバムです。

――以下、つづく

ポール・ロジャース・ネタで引っ張る!フリー、バッドカンパニーのアルバム・レビュー(1)

2005年11月10日 | CD・書籍紹介(FREE)
最初に挙げるのが無難な「ベスト」ってのが気が引けるが。

価格も安いし、代表曲も詰まってるしで、ユニバーサル盤をオススメして悪い事はありますまい。
他のミュージシャンのも一挙に発売された「洋楽ベストCD」。
100タイトルが1200円で発売ってんで音楽サイトでは話題になったようで・・・。




2005年06月25日に発売されたフリーのベスト盤(ユニバーサル/品番UICY-9917 価格:税込\1200)、収録曲は以下の通り。

01オール・ライト・ナウ
02ウィッシング・ウェル
03カム・トゥゲザー・イン・ザ・モーニング
04マイ・ブラザー・ジェイク
05ファイアー・アンド・ウォーター
06ビー・マイ・フレンド
07ザ・スティーラー
08ザ・ハンター
09リトル・ビット・オブ・ラヴ
10ザ・ハイウェイ・ソング
11ハートブレイカー
12ゲット・ホエア・アイ・ビロング
13ヘヴィ・ロード
14ウォーク・イン・マイ・シャドウ
15アイム・ア・ムーヴァー
16ミスター・ビッグ

・・・と、曲目の多さも特筆モノで。
曲も1stからラストまでのアルバムから満遍なくチョイスされております。

ロッククラシックになっている「オールライト・ナウ」、
色んなアーティストにカヴァーされてるHRの古典「ウィッシング・ウェル」、
これまた不滅のブルース・ロック・ソング「ファイアー・アンド・ウォーター」、
バンド結成以前にロジャース先生が作った曲なれど「フリーそのもの」と言われた「ウォーク・イン・マイ・シャドウ」などなど、

代表作が詰まったお徳盤で言えるでしょうな。――以下、次回