長島 潤 Sing a mindscape

jun nagashima singer-songwriter

椎名麟三「永遠なる序章」

2023-09-21 10:15:00 | 

再読のための覚え書き


永遠なる序章

椎名麟三(1911-1973


兵役で片足を失った身寄りのない青年、砂川安太は、肺と心臓を患い、余命宣告を受けた。


しかし、その死が定まったことによって、生の激情が生まれ、安太はすべてのことに微笑を持って接するようになる。


安太にとって残り少ない生は、永遠なる序章とも言うべきものだった。


「生活、それは一切の可能性の根拠です。それだから生活するということは、革命的なものを含んでいると思うのです。今日は、僕は、顔を洗い、食堂で飯を食い、夫婦喧嘩の仲裁をし、そして洗濯しました。判りますか。 何故これらのことが、すべて革命的であるか。 そして革命と云われるすべてのものに通ずるものであるか。」



2023.9.18読了


永遠なる序章

新潮文庫

昭和3285日初版発行

昭和33712


# #読書 #文学 #文庫 #椎名麟三 #永遠なる序章









石川達三「三代の矜持」

2023-09-21 10:13:00 | 

再読のための覚え書き


三代の矜持

石川達三(1905-1985


表題作「三代の矜持」の他、「深海魚」「少年記」「流離」「交通機関に就いての私見」「使徒行伝」を収めた短編集。


どれも読み応えがあるけれど、「使徒行伝」における、家族それぞれの信仰感の違いがおもしろかった。


「彼はむしろ神を忘れるということは有り得ないと思っていた。人間はどんな生活をしようと、やはり神と共に在り、神のふところの中で邪悪を弄んでいるという風に考えていた。彼の考えに従えば良子が信仰を離れたとは言っても、それは神への無駄な反抗にすぎなくて、神は世界とともに彼女をとり巻いていると解釈されるのであった。」



2023.9.13読了


三代の矜持

角川文庫

昭和36320日初版発行


# #読書 #文学 #文庫 #石川達三 #三代の矜持






中村武志「小説 目白三平」

2023-09-21 10:12:00 | 

再読のための覚え書き


小説 目白三平

中村武志(1909-1992


国鉄職員目白三平の、10のエピソード。

サラリーマンの地味な庶民生活を淡々と描いているのだけれど、登場人物それぞれの独白を交えたスタイルの文章がおもしろい。


小説を基にした映画が何作も作られ、目白三平役を笠智衆が演じていたそうで、これはいつかぜひ見てみたい。



2023.9.6読了


小説 目白三平 

角川文庫

昭和32530日初版発行

昭和357205

旧字新仮名遣い


# #読書 #文学 #文庫 #中村武志 #小説 目白三平