有田芳生の『酔醒漫録』

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「参院選わが敗戦記」

2007-08-31 11:21:12 | 政談

 8月30日(木)「週刊新潮」や「週刊文春」のデスクから電話あり。話題はもっぱら「さくらパパ」のスキャンダル。まだまだ破廉恥写真があるのだそうだ。鳩山由紀夫幹事長が党として問題に対応するなら、K弁護士であるはずなのに、そうでもない。そこにポイントがあるという。「さくらパパ」に選挙出馬を持ちかけたのは、じつは1年も前からのこと。何ごとかを恐れているのだというのがもっぱらの観測だ。新党日本の役員会。田中康夫代表から国会報告。秋に向けてテロ特措法延長に反対の主張をしていくことを確認。日米関係の今後の方向性や「国際救援隊」創設提案などが私たちの積極的提案となるだろう。衆議院選挙対策なども議論して、最後にウェブラジオの収録。地下鉄で京橋。ホテル西洋銀座の「プレリュード」で読書。澤地久枝さんは『指揮官たちの特攻』の解説のなかで、伊勢湾台風のときにはじまった自衛隊の災害派遣などに触れた城山三郎さんの文章を引用している。

 
自衛隊の本義は「人を救うこと」にあるのだと考えるようになった。自衛隊は軍隊とははっきり違います。軍隊組織に似ているが、性質は全く違う。軍隊は人を殺す組織です。それに対し人を殺すのではなく、人を救う使命を持つ組織というユニークさにおいて、日本の自衛隊はおそらく世界でも例をみない存在です。私はこれを自衛隊の誇るべきとてもいい伝統だと思っています。

 私たちの主張の根拠にも通底する思想だ。映画美学校で「めがね」の試写を見る。小林聡美ともたいまさこの不思議な存在感のある作品だ。「かもめ食堂」のキャストとスタッフが再び集い、新しい映画を創造した。慌ただしい生活を振り返るのにいい映画だ。ただし「たそがれる」というキーワードが耳障りなほど頻発されるシーンには疑問を感じた。大切な言葉はここぞというシーンで効果的に使うことで余韻が残り、心深くに届く。日本橋に出て丸善。城山三郎さんの『対談集「気骨」について』(新潮文庫)を買う。品川に向う電車のなかで吉村昭さんとの対談から再読。舟木稔さんとテレサ・テンの企画について打ち合わせ。上海では9月からミュージカルが行われる。北京オリンピックに合わせた催しは、マカオになるかもしれない。共同通信配信で中国新聞、四国新聞、河北新報などに掲載された「参院選わが敗戦記」(
   )を紹介する。


「酔いどれ詩人になるまえに」

2007-08-30 09:39:18 | 映画

8月29日(水)京橋の銀座テアトルシネマで「酔いどれ詩人になるまえに」を見た。せっかく安売りチケットを1500円で買っていたのに、サービスデーで1000円だった。無理してチケットを買いに行くんじゃなかったといささか後悔。特別の日だったので午後2時10分からの回もほぼ満席。前から2列目に座る。隣の中年女性は予告編がはじまるとカバンから財布を出して小銭を数え出した。そして本編。しばらくするとまた財布を出して、こんどはお札を数えている。それからは最後まで眠っていた。もしかしたら1000円を出しての昼寝タイムだったのだろうか。『町でいちばんの美女』(新潮文庫)を書いたチャールズ・ブコウスキーを描いた作品なので、とても興味深かった。映画を見終えてこの作品は「酔いどれ」が「詩人になるまえに」というタイトルだと理解できた。作家になりたいものの、その機会に恵まれず、ただただ酒と女性に耽溺している主人公。投稿原稿がはじめて採用されるまでの日々が、この作品のテーマだ。文庫のなかに「政治ほどくだらないことはない」という文章がある。そこには「いい政府などというものはない。あるのは悪い政府と、もっと悪い政府だけだ」と書かれていることを思い出した。銀座を歩き、今日もまた教文館へ。新党日本としてこれから何をすべきなのか。ある構想を抱きつつ、いくつかのテーマの書籍を立ち読み。表参道に出てジムで泳ぐ。


『指揮官たちの特攻』を読む

2007-08-29 09:35:54 | 読書

 8月28日(火)昨日見た戦犯処刑フィルムと特攻隊の映像が記憶にこびりついている。城山三郎さんの『指揮官たちの特攻』(新潮文庫)の表紙には、特攻隊の最初の隊長となった関行男大尉の写真が使われている。その関大尉はフィルムのなかにしっかりと記録されているのだった。きりっとした面立ちで精悍さが伝わってくる。昭和19年。そこに生きていた23歳の関大尉である。新婚半年後に特攻を命じられたとき、本当は次のような感想を同盟通信特派員の小野田政に語ったという記録が残っている。

 
ぼくは天皇陛下とか、日本帝国のためとかで行くんじゃない。最愛のKA(家内)のために行くんだ。命令とあれば止むを得ない。ぼくは彼女を護るために死ぬんだ。最愛の者のために死ぬ。どうだすばらしいだろう!

 このあと関大尉は「どうして自分が選ばれたのか、よくわからない」とぼやくようにつぶやいていたそうだ。これほど愚劣な戦闘手段はないだろう。そんな時代がつい63年前の日本なのだ。安倍改造内閣報道の喧騒を見るにつけ、日本に戦場を経験した政治家がいなくなってしまったことの重い意味を改めて思う。

070828_23140001  城山さんの文庫を手に外出。茗荷谷クリニックで定期検診。「王将」で焼きそばと餃子。銀座に出て伊東屋、教文館を歩く。松屋の浅野屋でパンを、山野楽器ではデンマークのジャズ・クインテット60を購入。安藤七宝店のショーウィンドウがふと眼に入る。引き込まれるように店内に入り、きれいなフクロウを衝動買い。壹眞珈琲店で角川SCCコミュニケーションズの女性編集者Aさんと打ち合わせ。朝日新聞の談話室で論説副主幹の臼井敏男さんと待ち合わせて食事。臼井さんは、記者として多くの政治家を見てきたが、二世、三世や官僚出身の政治家と比べて、地方政治家出身や戦争経験のある国会議員の方がずっと深みがあるという。「どこか底知れないものを感じる」のだという。


戦争時代の衝撃的記録を見た

2007-08-28 10:16:29 | 仰天

 8月27日(月)安倍改造内閣。朝のテレビを見ていたら入閣予測ばかり。そこで行われているのはまるで競馬や競輪の予想のようで、政策の中身はほとんど語られない。滑稽だったのは自信満々に予測をしているところで速報が流れ、いま語られた内容が否定された場面だった。評論はあくまでも評論。「予想」(よそう)は反転すれば「うそよ」なのだ。旧態依然とした「新体制」は、安倍政権の終わりを充分に感じさせる。与謝野馨官房長官は積極的に消費税を上げる立場を取っているから、首相の政策的曖昧路線は修正を計られることだろう。「切り札」内閣と評する向きもあるが、「切り札」を出せば、もはやあとはないということを意味している。新党日本の田中康夫代表は「国民が問うているのは、一体、誰を向いた政治を行うのか、誰の為の改革を行うのか、ではないか」という内容のコメントを発表した。

103  意を決して記録を見ることにした。木村久夫さんがシンガポールのチャンギー刑務所で処刑されたのは1946年。一連の「BC級裁判」をイギリス軍は映像で記録していたのだ。そしてまた処刑のシーンまで。どうやら129人すべての処刑をである。何人の絞首刑シーンを見たことだろう。やり切れない思いになるが、入手できたものはすべて見ることにした。人生には優先順位がある。いずれ衆議院選挙もあるだろう。新書『X』よりも先に単行本『X』を書かなくてはならないと覚悟する。渋谷に出て「TOKKO 特攻」を見る。ああここにもリアルな映像が残っていたんだと驚くばかり。出撃する若い兵士たちに「陛下は……」と命令する上官の芝居がかった声のいやらしさ。見終えてブックファーストで『手塚治虫「戦争漫画」傑作選』(祥伝社新書)を買う。「すきっ腹のブルース」「紙の砦」が悲しい。ジムのプールで1時間過ごす。神保町へ。


『官邸崩壊』が面白い

2007-08-27 09:54:20 | 読書

 8月26日(日)新潟の街を歩いていると何度も幻想が襲ってきた。すれ違う女子中学生や若い女性を見るたびに、横田めぐみさんの姿と重なるのだ。拉致問題をしっかり交渉するはずだった安倍政権も、いまや自己保存の論理のみでその気力もないのだろう。単純なスローガンを繰り返すだけでは問題は進まない。木村屋で笹団子を買って新幹線で東京へ。車内で上杉隆さんから献本された『官邸崩壊』(新潮社)を読む。内部情報と的確な評価に基づくとても面白いドキュメンタリーだ。「チーム安倍」が内閣改造で壊れる時期にこうした内幕物が出版される意味は大きい。高い支持率で出発した安倍内閣はどうして衰退したのか。それは安倍首相を支える人材に問題ありというのが上杉さんの結論だ。参議院選挙でどうして「わたしを選ぶか、それとも小沢代表を選ぶのか」と語ったのか。それは悪材料ばかりの独自調査のなかで、党首の好感度だけが勝っていたところにあった。「チーム安倍」はそこに賭けたという。こうした興味深いエピソードが満載だ。

101  事実を伝えない側近とそれを信じる安倍首相の認識に問題の本質があるのだろう。ただし一つだけ疑問がある。安倍政権のふがいなさが強調されることと対比して、小泉純一郎前首相と飯島勲前秘書官が高く評価されていることだ。政治家の素顔を描くのが目的のドキュメンタリーだからこれでいいのかも知れないが、政治の内実を見たとき、はたして小泉政治をどう評価するのか。その構造改革路線がこの日本を破壊してこなかったか。そこに触れて欲しかった。東京駅から川崎へ。家人と待ち合わせて教育文化会館へ。二女のヒップホップを見る。銀座で食事をして帰宅。その途上で上杉さんと電話で会話。内閣改造でいろいろなテレビに呼ばれているという。近く10人ほどで選挙の残念会をしてくれるという。


新潟の裁判勝利集会へ

2007-08-26 11:27:06 | カルト

070825_15200002  8月25日(土)ホテルの部屋で桑田佳祐さん、都はるみさんを聴きながら講演準備。テーマは統一教会の現状。午後3時にホテルを出て万代橋を渡る。お祭りをしていたので、しばらく子供たちの催しを見学。ふと見ればその向こうに選挙のとき宿泊したホテルがあった。午後4時からグランドホテルで「新潟青春を返せ裁判勝利集会」が行われた。原告は3次にわたり58人。3人の元信者が統一教会を被告に損害賠償訴訟を提起したのは平成元年8月だった。あれから18年。新潟地裁、東京高裁、最高裁を通じて合計9回の勝利判決、決定を勝ち取ったのだ。統一教会からは遅延損害金をふくめ、合計2億944万円あまりを賠償させた。第一陣のある元信者は提訴当時29歳。いまでは46歳だ。懐しい顔と久々に会う。ある支援者の裁判を通じて家族の絆が強まったという挨拶に感動。原告や支援者、そして家族などに何度も逡巡が生れたことだろう。そんな話を何度も聞いてきた。それを乗り越えた18年でもあった。講演では統一教会と政治家や北朝鮮との関係、信者に自己破産が増えていることなどを、内部資料を使って報告。懇親会では中村周而弁護士、松永堡智牧師などと話し込む。最終の新幹線で帰る予定だったが、Sさんなどに引き止められる。こういうときにしかなかなか会えないと判断し、もう1泊することにした。駅前のマジックバー「トライアンフ」で驚きの連続。元信者の女性たちと居酒屋へ。深夜1時に店を出る。みなさんと別れて気になっていたラーメン屋に入る。


映画に心騒ぎ、テレビにがっかり

2007-08-25 10:25:25 | 随感

 8月24日(金)新潟。古町の「港すし」で夕食。店を出て銀座の「ル・ヴェール」に電話。どこかいいバーはないかと佐藤謙一さんに聞いたところ、すでにマスターが亡くなっていることがわかる。仕方なくホテルに戻って日本テレビ系で放送されている「私は貝になりたい」を見た。「BC級戦犯」を取材している者からすれば歴史的事実と違うところがいっぱいでがっかり。その細かいことをいま言いたいのではない。見終えてまったく感動がないのはなぜかと考えている。昼間に見た映画「君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956」の試写で予想外の感動を覚え、その余韻が持続していたからだろう。テレビや映画の作品は、それが事実であろうとフィクションであろうと、結果として人間の感性に訴えることが目的ではないか。作家にして詩人の辻井喬さんが新刊『新祖国論』(集英社)のなかで、「革新」と言われていた勢力が衰退していった原因として、感性に訴える言葉を失ったことをあげていた。事実の発見や理論があることと、それを伝える方法とは違うのだ。赤松大麓さんは、『落日燃ゆ』(新潮文庫)の解説で、城山三郎さんの「資料の収集、綿密な調査と取材、問題意識の鋭さ、記述方法の工夫」などを高く評価している。おそらく芸術や政治などをふくめ、評価されるにふさわしい表現とはそういうことの総合なのだろう。


さあ動き出そう!

2007-08-24 11:23:06 | 随感

070823_11050001 8月23日(木) 満員電車を乗り継いで、代官山のカフェ・ミケランジェロ・リストランテASOへ。黒田知永子さんが「STORY」で連載している「一期一会」という対談に呼ばれた。原稿をまとめてくれるのは品川裕香さん。いつのまにかはじまった対談が進むうちに編集長の山本由樹さんが現れる。対談といっても話の内容は何だか井戸端会議のようで楽しかった。初対面の黒田さんはまったく飾らない女性だ。誌面でお気に入りを3つ紹介してくれるというので、カランダッシュのボールペン、池袋「おもろ」、そして都はるみさんにいただいたお守りにした。タクシーで麹町へ。新党日本の役員会。国会での活動方向や衆議院選挙への対応などを議論。この小さな政党の役割についていろいろと思うところがあった。終ったところで田中康夫代表とホームページで公開されるウェブラジオの収録。東京第一支部に移動して雑務。文藝春秋に行き、小池百合子さんについてコメント。「朝日ジャーナル」の編集長だった故・伊藤正孝さんは日本新党が結成されるとき、さまざまな協力を行っている。細川護煕さんに小池さんを紹介したのも伊藤さんだった。いま存命ならば相談したいことが多々あるなあと昔を思い出す。新宿へ行き、竹村文近さんに鍼を打ってもらう。山下洋輔さんにご挨拶。紀伊国屋書店を歩く。


まるで祝祭のような一日

2007-08-23 07:46:21 | 随感

 8月22日(水)銀座の壹眞珈琲店で新潮社のKさんと打ち合わせ。山野楽器で桑田佳祐さんの「風の詩を聴かせて」と小田和正さんの「こころ」を入手。歩いて朝日新聞社。「AERA」のN記者と企画の打ち合わせ。時間があったので論説副主幹の臼井敏男さんと雑談。選挙の公示日に築地で第一声を行ったとき、「少し怖い顔をしていましたね」という葉書をいただいていた。「緊張していたんですよ」と説明。大江戸線で新宿。焼肉の長春館で「月刊タイムズ」の香村啓文さん、一水会の鈴木邦男さん、フリージャーナリストの大川啓一さんと会食。店を出て留守電を見れば森まゆみさんから。電話をすればわたしも知っている新橋の店にいるという。「きなさいよ」と言われるがこちらの飲み会もある。朝日新書の岩田一平さん、酒飲みライターの吉田類さんと電話でつかの間の雑談。歌舞伎町「ぱらんせ」。今月で店仕舞いだという。さて帰るかというときに毎日新聞の鈴木琢磨さん。何だか今夜は祝祭だなと思いつつ新宿駅。鈴木さんに喫茶店に誘われるが「明日がありますから」と池袋へ。あのカリスマモデルの黒田知永子さんとの対談があるのだ。そういいながら池袋に着くと「おもろ」へ足が向うのだった。「ふくろに行ったんだって」と店主のヒデキさんとクマさんに言われる。泡盛を飲んで退散。前畑博さんからいただいた酒を飲まない日を作れとのメールを思い出す。忙しい一日だった。鈴木さんが別れ際に言っていた「困難とたわむれる」という言葉が心に残っている。


大竹しのぶの「ロマンス」

2007-08-22 10:27:24 | 人物

 8月21日(火)世田谷パブリックシアターの客席に座っていると、遠く20代の日々が思い出された。あれは渋谷のロシア料理店のロゴスキー。約束の時間に大竹しのぶさんは一人でやってきた。食事をしながら話を伺ったのだが、何とも不思議な時間だった。撮影者も記録者もわたしだけ。二人で数時間を過ごし、路上でわかれたときのシーンもよく覚えている。それが二度目の出会いだった。初対面は山本薩夫監督や原田美枝子さんたちとの座談会でのこと。まさかインタビューに一人でやってくるとは思いもしなかった。それから四半世紀。井上ひさしさんの「ロマンス」でチェーホフの妻などを演じる大竹さんを観ていて「すごいな」と思った。あのころの大竹さんはただただ真っすぐに進むだけだった。それがいまや変幻自在。女優の成熟を見たようでとてもうれしくなるのだった。映画の試写会で簡単な会話を交わしたこともあるけれど、舞台を観ていると、いつかちゃんとしたインタビューをしたいと思うのだった。井上ユリさんから「いいですよ」と言われていた舞台は本当によかった。2時間45分の舞台。そこにチェーホフの人生と文学論がまるまる描かれている。松たか子さんの輝き。段田安則さん、木場勝巳さんの安定。そして何よりも生瀬勝久さんの演技が光っていた。地下鉄とJRを乗り継いで家人とともに御徒町。さかえ寿司で中村美彦さんと一献。電車のなかで「ロマンス」のパンフレットを読む。かつてチェーホフの書斎を訪れた井上さんは、机のへっこみをなでたとき、こんな声が聞こえてきたような気がしたという。「どんなときでも希望を持つこと」。チェーホフは44歳で亡くなっている。