有田芳生の『酔醒漫録』

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普天間飛行場はグアムへ移転せよ

2010-04-26 11:19:37 | 政談

  「琉球新報」4月18日「論壇」に掲載された原稿は次のとおりです。

  嘉数高台公園から普天間飛行場を遠望する。視界の左には東シナ海の波頭が踊っている。飛び立つヘリの低音が耳に響く。たまたま隣にいた男子小学生が「あれ、コブラなんだよ」と飛行場に駐機するAHー1攻撃用ヘリコプターを指さして教えてくれた。「世界一危険な基地」とは活字で読んでいた。まさに市街地のど真ん中に位置することに驚いた。

 普天間基地移転問題。本土で報道を見ていても実感として捉えられないもどかしさがあった。現場に立ち、この眼で確かめ、考えよう。そう思った私は沖縄に向った。いきなりの発見。本土では「国外・県外」とワンパターンで報じられている沖縄の「意思」。ところが四月二五日に読谷で行われる県民大会の名称を見て、眼からうろこが落ちた。

 「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民集会」。文字通り「早期閉鎖・返還」を求め「県内移設に反対」することが出発点である。その結果としての「国外・県外」だ。騒音被害などアメリカ国内でも認められない運用が行われている普天間飛行場。沖縄県民の決意の根拠は、どこまで日本全体の認識になっているのか。

 沖縄県民多数の固い意思を受けて「国外・県外」を決断し、交渉することこそが政府の重い責任だ。本土マスコミではなぜかほとんど報じられていないが、二〇一四年までのグアム移転は国防総省の既定路線だとも知った。伊波洋一・宜野湾市長に聞くと「沖縄海兵隊の定員は一万八千人だが、実数は一万一千人程度。グアムに八千人移るから、残りは三千人ほど。おそらく米本土に行くでしょう」という。

 ジェイムズ・コーンウェイ米海兵隊総司令官も昨年六月四日の上院軍事委員会で「普天間代替施設は完全な能力を備えるべきだが、沖縄では得られそうもない。グアムや周辺の島々、他のアジア太平洋地域で訓練にふさわしい場所を検討している」と語っている。政府は「グアム統合軍事開発計画」などアメリカ軍事戦略の内在的論理を前提に毅然とした交渉をするべきだ。

「沖縄よ/傷はひどく深いときいているのだが/元気になって帰ってくることだ」ーー「沖縄よどこへ行く」とかつて謳った山之口貘の思いはいまにつらなる。普天間をはじめとする基地の「早期閉鎖・返還」こそ現実的かつ緊急の課題なのである。沖縄の歴史と意思を本土に暮らす私たちも共有しなければならない。「砥石としての沖縄」(井上ひさし)である。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
正論だと思います。しかしながら、この国では記者... (一夢庵)
2010-04-26 11:45:28
正論だと思います。しかしながら、この国では記者クラブメディアによる、まるで安保マフィアの代理人かのごとくの恣意的報道により、ご指摘の正論が多くの日本人に理解されていないような気がします。25日の沖縄県民大会、北マリアナ諸島議会の決議を受け、普天間問題が一気にグァム、テニアン移転で決着するよう期待しています。がんばってください。応援しています。
こんにちは。お久しぶりです。 (滝本太郎)
2010-04-26 15:40:56
こんにちは。お久しぶりです。
自分の不勉強とお忙しいところを申し訳ないのですが、下記の出典をお教えいただければ、ありがたいのですが。
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ジェイムズ・コーンウェイ米海兵隊総司令官も昨年六月四日の上院軍事委員会で「普天間代替施設は完全な能力を備えるべきだが、沖縄では得られそうもない。グアムや周辺の島々、他のアジア太平洋地域で訓練にふさわしい場所を検討している」と語っている
********
>二〇一四年までのグアム移転は国防総省の既定路線 (☆)
2010-04-26 16:45:22
>二〇一四年までのグアム移転は国防総省の既定路線

アメリカも、いつまでも海兵隊を日本においておけないことは承知している。
要するに、アメリカは日本に移転費用を出させようという魂胆なのだろう。
鳩山首相の言動ばかりが取り沙汰されるが、実は岡田外相等の閣僚が、結局、アメリカ追従路線であるのも大いに問題だ。
日本は、アメリカの自治領でもなんでもないのだから、アメリカがいかにムチャクチャなことをいおうと取り合う必要はない。
私はテニアンに住んでいる日本人13人のうちの1人で... (テニアン在住)
2010-05-11 21:51:17
私はテニアンに住んでいる日本人13人のうちの1人です。
みなさんは、「テニアン」というものを知らなさすぎます。
ここ、テニアンは広島、長崎に原爆を落としたB29の飛び立った島であり、その昔は今よりはるかに多い日本人(2万人)が住んでいたところです。
その多くが沖縄出身の人で、そしてその多くが戦争の犠牲になり、今でも、すぐ裏の山の洞窟に入ると、逃げ込んで隠れていたときの、食料の瓶や、洋服、そして遺骨までもが残っています。
そんなところに、またアメリカ軍を呼んでいいのですか?
美しい海も沖縄と同じです。
そもそも、日本の報道が偏りすぎている。
現実を誰も知らずして、自分のところさえよければ的な考え方でみんな同じ方向へ行ってしまうから。。
有田さんなら、わかってもらえますよね?
もう一度、調べてから発言して下さい。
ここは、まだアメリカではありませんよ。
しかも悲しい過去のある土地ですよ。
あなたなら、マスコミに発言できますよね?期待しております。
よろしくお願いします。

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