有田芳生の『酔醒漫録』

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「カフェーパウリスタ」で「銀ブラ」

2006-09-27 07:43:14 | 単行本『X』

 9月26日(火)いろいろなことのある一日だった。都はるみさんを育てた市川昭介さんが73歳で亡くなった。中村一好さんに病状の悪いことを知らされていたのは、『歌屋 都はるみ』を増補・改訂するとき、市川先生とはるみさんのことを深く書く必要があったからだ。そのための聞き取りを病院でできるかと依頼されたのはつい先日のこと。もちろんできると答えたものの、残念なことにそうした時間はすでに残されていなかった。先週末に東京堂書店で行われたトークショーで、市川先生との想い出を語ってもらったのも病状を意識していたからでもあった。はるみさんも中村さんも事前の打ち合わせでもちろん病状の話など何もしなかった。黙していてもそれぞれの思いがあることはよくわかっていた。来年発売となる「蛍の宿」が市川昭介さんの遺作となってしまった。この作品は病室で完成させたと聞いている。合掌。安倍晋三政権が発足した。自らの経験なき強固な保守思想で共通する「仲良しクラブ」。論功行賞的な色合いが濃いという印象だ。知人が入閣したので花を贈る。朝は満員電車で原宿へ。地下鉄のホームで新聞を読んでいた。電車が来てドアが開いたので、乗り込もうとしたところ、駅員が顔色を変えて走ってきた。「すみませーん」と慌てているので何だと思っていたら「ここは女性専用車です」という。たしかに満員の車両には女性しか乗っていなかった。あのまま乗り込んでいたらどうなっていたのだろうか。面倒な社会になったものだ。電車のなかで気を遣う男性は多い。ならば通勤時間帯はすべて男性車両と女性車両とに分けてしまえばいいとさえ思う。

 乃木坂で降りて国会議員のための青山宿舎へ。民主党の河村たかし議員に1時間半ほどインタビュー。いったん日本テレビに寄って、京橋の映画美学校で「敬愛するヴェートーベン」の試写を見る。「第九」の演奏を支えた女性アンナとヴェートーベンとの激しい軋轢と愛情の交錯する物語だ。雨のなかを銀座8丁目まで歩く。「カフェーパウリスタ」で珈琲を飲みながら単行本『X』のためのメモを取る。この喫茶店は明治43年に開店している。当時の店は銀座6丁目。そこに佐藤春夫、堀口大学、小泉信三などの慶応義塾大学生が集まってはブラジル珈琲を飲んだ。銀座でブラジル珈琲だから「銀ブラ」。これが語源だという。「銀座をブラブラ歩く」から「銀ブラ」だと思っていたが、そうではなかったようだ。タクシーで国会図書館へ。昭和23年の新聞を読み、ある記事を探す。検索でも出てこず、小さな文字をたどるのだが、結局探し当てることはできなかった。昭和24年の朝日新聞に関連記事を見つけたが、木村久夫さんを「京大卒」としたり、戦没学生の手記が3000編を数えたなど、基礎的情報に間違いが多い。当時の新聞はたった2ページ。東京裁判の記事も小さなものだ。「連合軍要員緊急募集」「警察官大増員募集」などの広告が連日のように掲載されていた。閉館時間の7時になったので退館し、強い雨のなかを永田町に向って歩く。


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1 コメント

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新内閣のメンバーのダーティなこと。 (田中やま)
2006-09-27 10:50:45
新内閣のメンバーのダーティなこと。
有田氏のところにも、さまざまな情報が来てるでしょう。
拉致問題という印籠を出せば、国民が黙ると思っているのかね。
拉致解決には優れた内閣だけど、それをとってしまえば、森内閣と同じような気がしますね。

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