有田芳生の『酔醒漫録』

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敗戦記(最終回)

2009-12-03 11:27:55 | 政談

                        敗戦記
       小沢一郎流「どぶいた選挙」を闘って(最終回)  
                                                           有田芳生

 出発点は09年衆議院選挙での比例区での得票だった。新党日本が結成された2005年の総選挙の比例区では、全国5ブロックから立候補、得票は約164万票。私が立候補した07年参議院選挙では177万707票をいただいた。ところが09年衆議院選挙の比例区では、全国6ブロックで立候補、次のような得票を得た。東京選挙区10万381票、北関東選挙区6万8191票、南関東選挙区7万9792票、北陸信越選挙区7万3614票、東海選挙区7万2485票、近畿選挙区13万3708票。合計は52万8171票。

 明確な得票目標があったわけではない。しかし予想外の苦戦は、惨敗と言われても仕方ないほどの結果である。どの政党よりも先駆的な政策ーたとえばベーシックインカム(最低生存保障)の導入ーなどに期待を寄せてくださる有権者が約52万人いたことはありがたいことだ。とはいえ来夏までの10か月で再生できるかどうか。私の責任は新党日本が田中康夫代表ひとりの国会議席から政治勢力になることであった。少なくとも板橋で議席を獲得しなければならなかった。新党日本を「第三勢力」に育てる課題を果たせなかった自責の念は強い。

 どうするべきか。ノーベル物理学賞の益川敏英さんの『のりしろ思考』(扶桑社)を読んでいると、こんなことが書いてあった。「目標は、苦しくてもけっして下ろしてはいけない」。そうだと思った。シュテファン・ツヴァイクの『ジョゼフ・フーシェ』(みすず書房)の「一生の経歴にとって、一時的空白が生じることほど、幸運なことはありえないのだ」というフレーズにも考えさせられた。「失敗してはじめて、芸術家は自己と作品との真の関係を学び、敗北してはじめて、将軍は自分の誤りを知り、失脚してはじめて、政治家は真の政治的展望を授かるのだ」ともツヴァイクは書いている。

 信頼できる知人たちにも相談を続けた。民主党幹部からも電話をいただいていた。まずは「土俵」に登らなければテーマを有効に実行できないこともわかっていた。思いは固まっていった。ならばどこに所属するのか。ほかのミニ政党でも、テレビなどで同席し、じかに見てきた自意識過剰な政治家などといっしょに行動するつもりはなかった。田中康夫代表から民主党の石井一参議院議員に相談するように言われた。石井さんは総選挙のとき何度も電話をくれて、気を配ってくださっていた。話し合った結果は新党日本からの離脱であった。

 11月18日、国会内の民主党幹事長室で、小沢一郎幹事長、石井一選対委員長、田中康夫代表とともに会談、来夏の参議院選挙で民主党の比例代表候補として立候補することが内定した。翌19日には新党日本の副代表を辞任、離党をすることが役員会で了承された。「それがいちばんいい」と田中康夫さんからも言われ、握手をして2年5か月ほどお世話になった平河町のヘッドオフィスをあとにした。

 2007年の参議院選挙では15万9814人から「有田」と書いていただいた。それを気持ちの上ではリセットした。「1からの出発」だ。来夏も16万の有権者に「有田」と書いていただける保証は何もない。労組や宗教団体の支援(信仰などなくとも票のために「信仰」する場合が多い)を受ける候補者は、組織内を挨拶して歩き、そこを固めていけばいい。しかし私には何の組織もない。田中康夫さんと共通の思いは、組織に属してはいても「無所属の時間」(城山三郎)に自己判断をすることのできる方々に訴え、支持していただくことだ。

 そんな支援者のなかから、北海道でも大阪でも応援体制を取っていいという声が寄せられていることはありがたい。総選挙で現場に立ってくれた湯川れい子さんや市川森一さんなどからも「まだまだやるよ」と電話をいただいている。「時代の課題」にいかに接近していくのか。2年前に自分の判断で新党日本の理念を選択し、ここまで歩いてきた。現場で獲得した視野はさらに広がり、手触りもはっきりしている。これからの日本と「日本の未来である子どもたち」のための「最後の闘い」はすでにはじまっている。この国への思いを持続しながらさらに進む。(終り)


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1 コメント

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民主党にも問題が全くないわけではありませんが、5... (psw_yokohama)
2009-12-04 18:11:46
民主党にも問題が全くないわけではありませんが、55年体制成立以降では自民党以外で初めて第1党となって、歴史的にも非常に重い責任を負っていることは言うまでもありません。

政権交代が本当の意味で国民の利益になるために、有田さんが民主党に参画される意義は大きいと考えています。

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