有田芳生の『酔醒漫録』

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坂崎重盛さんの『東京煮込み横丁評判記』を読む

2010-12-23 12:45:57 | 読書

 333 12月23日(木)温かい昼下がり。夜は「アリとキリギリス」の忘年会。発起人は伊藤淳夫、藤本順一、上杉隆、森功、そして私。マスコミ人の年に1回の大集合。楽しみだ。坂崎重盛さんの『東京煮込み横丁評判記』(光文社文庫)が送られてきた。あれは2008年10月7日のことだ。吉田類さんから電話があった。手帳を見れば午後5時のところに「浅草 吉田」と書いてある。立ち飲み「安兵衛」に行くから来ないかという誘いだった。浅草で降りて六区のあたりで店を探した。「安兵衛」には坂崎さんもいた。初対面。そのときのことが年末に刊行された単行本に書かれていた。その文庫本だ。単行本にはなかった写真も掲載されている。こんなキャプションがついていた。〈類さんとの飲み対談にフワーッと「安兵衛」に来店!合流したノンフィクション作家にして国会議員の有田芳生さん〉。写真を見ると黒い顔。そう、このころは街頭での訴えに明け暮れる日々だった。すでに板橋から総選挙に出ることが決まっていたときだ。手帳を見ると翌朝は蓮根駅での行動が予定されていた。朝のことを気にしながらも自由な精神が息づいていた。あれから2年。あの年の「アリとキリギリス」は選挙優先で欠席だった。


『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』の薦め

2010-09-27 10:11:26 | 読書

 9月26日(日)一気に秋が来たかのような爽やかな一日。石神井公園でも歩くかなと思ったものの、時間切れ。石川知裕議員が主催し佐藤優さんを講師に月1回議員会館で行われる勉強会の準備。テキストはマルクスの『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』(平凡社ライブラリー)。20代に読んだのは大月文庫版で「第2版」。平凡社版(もともとは太田出版刊)は「初版」で、マルクスの辛辣で巧みな形容詞や風刺が削除されず残されている。とはいえ1848年前後のフランスの歴史を知らないから理解するにはなかなか難解だ。2月革命で第2共和制が生まれ、ルイ・ボナパルトが選挙で74%の支持を得て大統領に就任。さらに2年後にクーデターを起し、議会を解散、戒厳令を敷いた。それでもクーデターの是非を問う国民投票では92%もの支持を獲得する。「大衆の熱狂」の源泉はどこにあるのか。これは現代日本政治を理解するうえでも必要な普遍的テーマだ。マルクスがいまでも有効なのは、偏狭なイデオロギーではなく、そこに歴史政治哲学があるからだ。インドの旅は調査が目的ゆえに自由に街を歩くことができなかった。その「不満」を解消すべく「スラムドッグ$ミリオネア」を見る。公開時に見たかったものの、選挙準備で叶わなかった。スラムで育った子供たちの「夢の行方」がどこにあるのかが見事に描かれている。過酷な現実をテーマとしたゆえにラストシーンはこれでよし。


『私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか』

2010-04-25 10:37:53 | 読書

 4月25日(土)『闘争記』の序章。第1稿を完成。泳ぎに行こうと渋谷に着いたところで、約束の時間に間に合わなくなると判断。Uターンして池袋。リブロで松本聡香さんの『私はなぜ麻原彰晃の娘に生まれてしまったのか』(徳間書店)を購入。4女の証言だ。08年に接見したとき「寒いですね」と言うと「今日、結構寒いね」と語ったという。本当なら麻原彰晃は詐病ということになる。上祐史浩の「脱麻原」のウソ、教団内部の見聞、後見人との軋轢など、「さもありなん」と理解できるリアリティあふれる逸話に驚くばかり。大山の「あおい珈琲店」で読書、事務所へ。民主党本部のNさんと懇談。参議院選挙までのイメージを修正、構想。


『新編 濱口國雄詩集』を読む

2010-04-13 10:44:08 | 読書

 4月12日(月)暑くなったり寒くなったり。冷たい雨の降る一日。大山の事務所でスタッフと打ち合わせ。定年退職した小幡利夫さんと「あおい珈琲店」で雑談。金沢のAさんが送ってくれた『新編 濱口國雄詩集』(土曜美術社出版販売)を持ってジムへ。濱口の詩は「便所掃除」がよく知られている。

 朝風が壺から顔をなぜ上げます 
 心も糞になれて来ます
 水を流します
 心に しみた臭みを流すほど 流します
 雑巾でふきます
 キンカクシのうらまで丁寧にふきます
 社会悪をふきとる思いで力いっぱいふきます
         (中略)
 便所を美しくする娘は 
 美しい子供をうむ といった母を思い出します
 僕は男です 
 美しい妻に会えるかも知れません

 電車のなかで読んでいて「闘争」と題した詩が気に入った。その一節。

 君らよ
 ゆがんだ顔で  この言葉を  なんと分析したか
 俺らは  君らの冷笑に  固い  俺の決意をなげつける

 久々に泳ぐ。体重は少し増えたが、昨年末に比べて4キロ以上減量確保を確認。落合で降りて今月末で閉店する「多幸兵衞」。明石焼におでんで「明石鯛」を飲む。


『サリンとおはぎ』を読む

2010-03-10 09:27:58 | 読書

 3月9日(火)紀尾井町の草野事務所で草野仁、裕さんと懇談。テレビ界の厳しい現状を伺う。都市センターホテルでツイッター活用の拉致問題キャンペーンの実務打ち合わせ。水道橋の教育史料出版会で単行本の打ち合わせ。長女と待ち合わせて日比谷シアタークリエで田中健さんのケーナ演奏を聴く。何と5000年前と同じ音色だそうだ。さかはらあつしさんの『サリンとおはぎ』(講談社)を読み終える。「扉は開くまで叩き続けろ」とサブタイトルにある。人生の難問に立ちどまり、戸惑う方々にお薦めの本。友人の自殺、ドライブ時に自分と同じ誕生日の女性が事故死。さらに誕生日に遭遇した交通事故、地下鉄サリン事件で被害を受け、のちに偶然出会い結婚したオウム信者……。4年浪人ののちに京都大学に合格、電通に入るもすぐに退職、映画「おはぎ」にも関わる波瀾万丈の人生に驚くばかりだ。さかららさんからは京都の乙訓高校の後輩だと連絡をいただいた。


『明治維新 1858ー1881』を読む

2010-02-16 10:59:29 | 読書

 2月15日(月)新しいリーフレット用原稿を書く。内容と方向性ははっきりしているが、それを凝縮してスローガン化するのが難しい。総選挙時には「とことん現場主義」と訴えてきた。その精神に何も変わりはないものの、言葉を変更したい。新宿で名刺の変更原稿を渡し、某銀行支店長と相談。銀座「壹眞珈琲店」で雑務。教文館で同世代としてもっとも注目している外岡秀俊さんの『アジアへ 傍観者からの手紙2』(みすず書房)と坂野潤治・大野健一さんの『明治維新 1858ー1881』(講談社現代新書)を購入。電車のなかで後者を読みはじめる。面白いのは史実としての明治維新をなぞるのではなく、各藩の「柔構造」を分析、指導者がなぜそのとき、そのような行動を取ったのかを分析、しかも台湾や韓国などの「開発独裁」ではなかったことなど現代との比較も刺激的かつユニーク。大井町で舟木稔さんと待ち合わせ、没後15年になるテレサ?テンの企画について相談。


埴谷雄高の鋭い人間観察

2010-02-15 09:48:19 | 読書
 

100214_192001 2月14日(日)知人の娘さんの結婚式への祝電を吟味して書き、リーフレット原稿に取りかかる。かつての言葉をなるべく使いたくないのは、少しでも「進化」したいから。とはいえ「亀の歩み」でなかなか進まず。麹町の都市センターホテルで山口県の酒蔵「獺祭 新酒の会」に出席。櫻井博志社長は、このご時世に新蔵を3月末に完成、6000石に増産と公表。このブログも見てくださっている。勝谷誠彦さん、吉田類さんたちと懇談。参議院選挙の支援体制を吉田さんと相談。銀座「はら田」夫妻も出席。会が終り、類さんと4人で食事。最近は医療や韓国問題などの「仕事」の読書ばかりだった。世界を広げるべく読み出したのは『埴谷雄高 政治論集1』(講談社文芸文庫)。政治的文学者の人間観察は鋭い。たとえばこんな記述だ。「彼は不安につつまれれば、なお威圧する声で話す。しかも、彼の不安は消えることもない。何故なら、支配者とはそれ自身だけでは、殆ど無だからである」「無表情な顔の背後にすら、触れれば不意に飛びあがるほどの凄まじい精神の緊張が秘められている」。この評論文の背景にも必ず具体的人物がいるはずだ。埴谷さんにとっての「支配者」とは、いったい誰だったんだろうか。


「ナルシズムからの脱却」

2010-02-09 10:09:07 | 読書

 2月8日(月)現代が「大衆的規模における自我の時代」と藤田省三さんが書いたのは、1983年(「ナルシズムからの脱却」、『全体主義の時代精神』収録)。そこでいう「自我」とは疑いの対象ではなく、あるがままの自分を肯定するものである。この論文が書かれてから四半世紀が過ぎた。いまなお「虚偽を含んだ自我を否定していく自我」はあるのか。対話的自我でもある。相模大野で雑用を終えて、新宿。階段を上がっていたら、男性から声をかけられた。30代にフリーランスになったとき面識を得たIさんだった。20年以上隔てた偶然の遭遇。代々木「馬鹿牛」のカウンターで「虚偽を含んだ自我」を否定していく試み。3月19日は足利市で集会、28日には金沢でミニ集会に参加することが新たに決まった。


『趙紫陽極秘回想録』はすごい!

2010-01-22 08:22:32 | 読書

 1月21日(木)午後まで異変のなかった机上のMac。いきなり画面にピンクと白の横線が入っている異常事態。寿命が来たのかもしれない。減量が進んでいるため、ときどき立ちどまってベルトを引き上げる日々。夕方に文藝春秋。有楽町から銀座まで歩き「伊東屋」。カップ麺が出来上がるまでにめくり上がるフタを押さえる「Cupmen」とコーネル大学で開発されたノートを購入。教文館で新刊を物色。『作家の酒』(平凡社・コロナブックス)と堤未果著、松枝尚嗣画の『コミック貧困大国アメリカ』(PHP研究所)を買うのに迷いはなかった。しばし悩んだのは中国共産党の趙紫陽総書記の『極秘回想録』(光文社)だった。安い本ではない(2600円)。天安門事件で失脚、16年間も幽閉され、2005年に亡くなった「不思議なほどに静かな男」趙紫陽は、2年間にわたって1時間テープを約30本収録、孫のおもちゃ箱などに残していた。私にとってはテレサ・テンの思いにつらなる人物だ。趙紫陽の歴史への責任感に共感して購入、地下鉄で読み出す。歴史の証言として第1級資料のリアリティに驚かされるばかり。学生たちを弾圧することを決めた小平の自宅会議室の写真は公表された唯一のもの。歴史に隠された事実もいずれ明らかにされるものと信じたい。


『小沢主義』の面白さ

2010-01-05 09:10:59 | 読書

 1月5日(火)小沢一郎さんの4年前の書き下ろし著作が文庫本になった。『小沢主義』(集英社文庫)。サブタイトルには「志を持て、日本人」とある。「どぶいた選挙」がなぜ大切なのか、農業の戸別補償問題など、小沢イズムがよくわかる。この1年ほどに4回ほどお会いしただけだが、そこでアドバイスされたことを詳しく説明されているようで、あまりほかの候補者には読ませたくないほどセコイ気持ちにさせる内容だ。昨日は永田町で民主党本部のKさんと打ち合わせ。参議院選挙をいかに闘うのか。そのイメージが鮮明になってきた。思いつきではない「ホンモノ」のプロの蓄積は貴重なもの。情勢の変化や候補者はそれぞれでも、一般的な選挙ノウハウはいくらでもこれからに応用できる。銀座の伊東屋、教文館。プレスセンターへ。坂上遼さんの『消えた警官 ドキュメント菅生事件』(講談社)出版を記念してのシンポジウム開催の打ち合わせ。「朝日ジャーナル」の先輩だった藤森研さん、二木啓孝さん、山下一行さん、坂上さんと相談、雑談あれこれ。開催は1月30日午後1時半から文京区民センター。二木さんと神保町「家康」で政界四方山話。再びブログをしばらく休ませていただく。