トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

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劣化した東京金融取引所株価指数CFD

2017-10-26 12:06:16 | 投資

 「保育園落ちた、日本死ね」という絶叫に近い言葉が本年の流行語大賞にもなりそうな雰囲気だが、これと似た状況が金融界にも起こっている。投資家にとって、「くりっく株落ちた、金融取死ね」といった現状があるのだ。

 東京金融取引所は2010年10月に日経225、FTSE、DE30等の株価指数CFDを上場、その後2016年6月、懸案のNYダウを追加上場して現在に至っている。取引口座も12万口座を有し順調にも見えるが、「金融取死ね!」と云わせる状況は、そのプライシングを見れば一目瞭然だ。本日(2016/10/26)午前10時過ぎのプライスボードであるが、上が東京金融取引所、下がG社のものだ。

金融取 日経225のスプレッドは 21、G社のスプレッドは 2

金融取 NYダウのスプレッドは 53、G社のスプレッドは 2

とても同じ商品とは考えられない差異がある。金融取のレートでは、まともな投資家はとても取引できないのが実情である。

 2010年に日経225が上場された当時、東京金融取引所は次のような説明をしていた。「マーケットメーカー数社の提供するプライスのBid、Askの中から最良のレートを選択して顧客に提供するので、マイナスのスプレッドとなる場合もあるが、平均では4程度となる」と。記憶によれば、当初1年近くは、スプレッドも4程度で安定していたが、その後は徐々に改悪されて現状のような惨状に至っている。

  東京金融取引所には、改善されるべき課題が山積している。

1)取引所としてのガバナンスの欠如

 金融取は金融庁の後押し(悪く云えば天下り先の確保目的)で設立された経緯のせいか、取引所としての実質がない。むしろ半公設のブローカーと理解した方が分かり易い。値決めは次に述べるマーケットメーカー任せであり、金融取は取次をしているにすぎない。もし、マーケットメーカーの出してくるプライスが市場にそぐわない異常なものであれば、自ら、国内外市場でカバーできる体制を整えるべきだが、お役所仕事の延長か、その意志も能力もなさそうだ。

2)マーケットメーカーの組成

 値決めの公正さを担保するためには、少なくとも4~5社の有力証券会社を起用すべきである。上場前には数社としていたが、ふたを開けて見ればドイツ証券と大和証券の2社体制であった。これでは談合もやり放題ではないかと市場では懸念されていたが、談合はなくとも値決めは2社の都合でどうにでもなる不透明な環境となっていた。また、ドイツ証券と云えば、グループ会社が世界各地で資金洗浄や不公正取引を繰り返し、各国当局から多額のペナルティを課せられてきた経緯がある。

 そんな中、日本でも2015年12月、金融庁は当のドイツ証券を不公正取引で行政処分するに至った。「何をかいわんや」である。ドイツ証券はいつの間にか、マーケットメーカーから外されていた。値決めという重大事項に係る変更であるにも拘らず、お知らせの広報さえしていない。現在のマーケットメーカーはというと、大和証券と日産センチュリー証券の2社と相変わらずである。曲がりなりにも、金融技術に長けたドイツ証券なしには、2社ではマーケットメークなどそもそも無理なのである。

  「死ね!」と言われたくなかったら、大胆な自己改革と実質的な民営化をするしかないだろう。

----- そのⅡに続く-----