トレード備忘録 & MT4/MT5インディケータ及びEAの開発

日々のトレード備忘録及びMT4/MT5に関する事項

FXはランダムウォークか

2017-10-12 10:20:59 | 投資

 中学生のころ、理科の授業でブラウン運動とかチンダル現象のことを習った記憶がある。分子や原子の世界では微粒子が互いに衝突を繰り返して、その都度不規則(ランダム)な運動を延々と継続しているのだそうだ。相場の世界でも、値動きは全く不規則で予測不可能という考えがあり、ランダムウォーク理論として知られる。 

 もし、FXがランダムウォークであれば、相場の先行きを測る理論や数式の構築は不可能であり、そもそも自動売買システムなど機能するはずはない。日本におけるメタトレ研究の草分け、神奈川大学工学部教授・豊嶋久道先生の分析によると、「FXは限りなくランダムウォークに近い動きを示すが、ランダムウォークそのものではない」とのことである。結論としては、「相場はランダムウォークじゃないから、儲かるシステムが絶対にできるという意気込みも大事でしょうが、相場はランダムウォークだという最悪のケースを想定してシステムを考えることもまた必要ではないかと思います」とされている。

http://system-trading.jp/toyoshima/index.php?ID=13 

 思い当たる節は多々ある。MT4上の自動売買プログラムは数多く手がけてきたし、ネット上でもあまたのEAが紹介されてはいるが、そのどの一つをとっても一定期間が過ぎると機能しなくなるという事実である。つまり、FXがランダムウォークに近い動きをしているときは、自動売買プログラムは機能しないが、そうでないときには有効に機能するということになろうか。 

 換言すると、自動売買が機能するときは、「相場が明らかなトレンド相場であるか、明らかなレンジ相場」であるときと結論付けてもよさそうだ。トレンド相場とレンジ相場に合致した自動売買プログラムを用意して両相場に備えることと、相場付がトレンドともレンジとも明らかに判断でないときには、相場を休むことも重要となる。

 このことは、なにもシステムトレードに限ったことではない。裁量取引にも全く同じことが言えるのである。ブログ筆者もこのことを認識して以来、トレードの成績が向上した。ただチャートを眺めているだけでは、相場付を本能的に感じ取ることは難しい。単眼よりも複眼でチャートを眺める癖をつけたい。 

 同一通貨ペア、同一時間軸のチャートを2枚横に並べて観察する。一方には、トレンド相場対応のチャートをもう一方にはレンジ相場対応のチャートを用意しておく。USDJPY、日足のチャートを2枚並べると次のようになる。MT4では何枚のチャート表示も可能であるので、未だMT4をお使いでない方は、この万能無料ソフトをぜひダウンロードしていただきたい。

2枚のチャートは先のブロブで紹介した西山孝四郎氏の提唱する順張り・逆張りの構えになっている。全く同じチャートでも少し違って見えてくるのが不思議だ。 

 もう一つの帰結であるが、自動売買とは裁量取引を自動で行う道具以上の何者でもないということである。エントリーやエグジットを自動的に行ってくれるツールにすぎないのであるから、一日中チャートを見続けることができれば、理論的には手動・自動で取引結果に差が出るものではない。人力には限界があるから、コンピュータに頼るだけの話である。

 ブログ筆者はEAの公開はほとんどしていない。勝ち続ける魔法のようなEAは存在しないからである。わずかに、ランダムウオークにも対応できそうなトラリピEA他一つを紹介しているのみである。それとて、売りか買いかの判断程度はトレーダー自身が行ってほしい。