ちくわブログ

ちくわの夜明け

広島・山口旅行記<3> 反権力の眼

2008-01-27 00:54:26 | 映画制作
<1>
<2> 続き。


前日の夜。
リュックの中の『ガス弾の谷間からの報告』を読んでみる。手に入れた当時の衝撃をたどるように読み「本当に聴きたいこととは何か」を自分に問うてみた。

翌日。8時起床。
柳井市へ向かう山陽本線の車中は、途中から乗っている車両にわたし一人になってしまうほど空いていた。
ただ、10月末だというのに快晴を照らす太陽が、窓越しにじりじりと暑かった。
しばらくすると車窓から海が見える。綺麗だな、と思うのも束の間、その向こうに、そしてやがては眼前に、コンビナートがそびえる。

約1時間で柳井市に到着。
柳井市は「白壁の街」として有名らしいが全国的ではないと思う。取材後日、地元の人に「ここらへんで、柳井市の特徴がつかめるような場所ってどこですか?」と聞くと、ある通りを教えてくれたが、その後「でも、人工的ですよ」と付け足すほどだ。
確かに、必死さが伝わってくる箱庭のように管理された通りだった。厚化粧のように施された白壁がお寒い。こういう「田舎くさいかっこうつけ」は、どこにだってある。なので「ここに来て」まで見たいとは誰も思わないんじゃないだろうか。
ただ、少し外れると昔ながらの白壁も現存しており、そこからは確かに歴史とか、情緒といったものが感じられた。

そういった化粧を施していない、タクシーから見る街並みは、ごく普通の田舎町という印象だった。

やがて福島先生のご自宅に到着。
部屋には同居人の愛犬ロクがワンとも鳴かず、こちらを興味しんしんに見ている。隅には数年前に自作した棺桶が。
もう年だということで「僕はそもそも君のことが思い出せないんだけどなぁ。ちょっとまた、自己紹介してくれるかい」と言われたので、6月、東京での講演会でのことをお話しする。そして現在何で食ってるかということや、この映画の製作意図という根本的なこともお話しする。


やがて、わたしが勝手に緊張する中、インタビューは始まった。
そこでお聞きしたことは、やがて完成するわたしの映画の中でお伝えしたいと思う。
ご自身の生い立ちから始まり、人生観や本題である学生運動についてなど。
持参した写真集で、特に気になった写真など、その舞台裏などもお聞きしたりした。

福島先生は、筋金入りの反権力者だ。
今まで二度、国側から命の危険を脅かされている。一度は放火による自宅全焼、一度は実際の鉄拳行使での重傷。
これらについて「いったい、誰がやったんですかね」と聞くとこう帰ってきた。
「国家なんてものは、邪魔な人間は簡単に殺すよ。僕は、殺されなかった。その程度だったってことだよ」

こういう言葉はなかなか信じられない人もいるかもしれない。しかし、先生自身、戦時中は他と同じく、ばりばりの軍国主義者で、国に逆らうことなど考えたこともなかったそう。そして、敵を殺すことこそ、正義と信じて疑わなかった。「陛下に命をお返しする」という言葉が、当たり前のように血肉化していたのだ。

ここからして、今のわれわれには実感が伴わない。何しろ自由とは、勝ち取るべきものではなく、「当たり前であるという、一種異常な環境の中」に生を受け、それを享受してきたからだ。

だからこそ、先生の言葉には迫力があった。むろん、防衛庁をだまして自衛隊内部に潜入、それらの写真を一般紙に売りつけるといった、普通では考えられないことを実際にやってのけた、という事実も手伝っている。そりゃ何らかの報復は受けるだろう。


最後に、今の人たちに期待するものは何ですか、と聞いてみた。
「こんな時代を作り上げたわれわれも悪い。しかし、そんなことは自分達で考えるべきだろう。突き放すようだが、86年生きてきたこの僕の、君は何がわかったのか?たった3時間ほどのインタビューで僕のことなど理解できやしないだろう」


先生は一時期、青酸カリ入りのペンダントを持ち歩いていた。
いつでも死ねるように。
そういう覚悟、孤独の中で生きてきた人間の、わたしは何を分かったフリをしようとしていたんだろう。
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あてのない予告

2008-01-21 00:25:15 | Weblog
なんか、このブログどんどん更新が少なくなってきてますが、決していやになったとか、そういうんではありません。むしろネタならたくさんある。ただ、なかなかじっくり書ける時間が持てなくなってる。

去年末からのドタバタがずっと続いてて、週末は事務所にお泊りの日々。
でもちょっと待ってて下さい。もうちっとでキリがつきそうですから。そうしたら以下の記事を書く。

■広島・山口旅行記<3>
■大阪行ってきた
■温泉巡ってきた
■必殺!!まんがレビュー


つうわけで、誰にも期待されてないけど頑張るよ。
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キャピキャピ。

2008-01-13 02:29:20 | Weblog
ある女の子、仮に某子さんとしときましょう、が就職前の女の子たちを集めて、そういう女の子たちのためのグループというか、なんかそういったコミュニティめいたものを作ったんですね。ちゃんと企業から協賛もらったりして。

で、その人たちと接したりする機会もあって、思ったんです。なんかその女の子たちが妙に「年寄りくさい」雰囲気だなぁ、と。当の某子さんはそんなことなく、非常にはつらつとした女の子なんすが、会全体の印象から受ける雰囲気たるや色に例えるならば茶色。
なんでなんで。女子大生が複数いればそこはもうほんのり桃の香りとかするピンク色の楽園なんじゃないのか。

言い過ぎた。が、茶色は、ない。
ピンク色に少しでも近づくべきだと、僕は思う。

そういった思いのたけを、僕はそういう女の子たちとお友達とかになりたいんだ、という下心をよいしょと隠して某子さんに伝えてみたんです。
「なんていうかさぁ・・・つまりその、キャピキャピ感が足らないとおもうんだなァ」なぞと。
キャピキャピというのは・・・もう死語なのだろうか?という恥ずかしさもあったが、ここは率直に伝えた。したら「キャふぃキャピ感?」と、噛んでいた。やはり、死語なのでしょう。

ではどうすればいいですかと聞かれたので、なぜかわたしは偉そうに「キャピキャピというのはだね・・・」と講釈たれていた。
・・・・はは。なんか自分がすごい痛い人に思えてきた。

彼女いない30前のおっさんが!
女の子について!
女の子に!!



さておき、とりあえず若い女性の社会進出について考えてみた。
いわゆる3K職場と呼ばれる仕事に近づけば近づくほど、女性の割合は比例して少ないような気がする。若い女性が社会進出する場合、それが彼女の人生の中で大きな割合を占めるものであればあるほど、知的労働である場合が多い。こういう見地に昔フェミニストが使っていた「男女同権」の間違った意識を乗っけるとすごい矛盾が生まれてくる。だって、男女同権なら、女も男と肉体労働に従事すべきとなる。ヨイトマケみたいに。
でも実際、女性はか弱い。それに、将来、誰かさんの子供を産むかもしれない大事な身体。そりゃ、大事にしないと、されないと。
なので、社会において、仕事において、女性は女性のやるべきことがあると思う。それは男にはできないことで、女性ならではのしなやかさ、気配りのみがなしえることだと思う。「男女同権」という意識は、こういう考えの上になされるべきものですよな、たぶん。若い女性の社会進出が顕著になればなるほど、そうあるべきではないかと。
「そうでない女性」が男に嫌われる理由は、結局、女が男と同じようなものを持っていることでそこに男は違和感というか、嫌悪を感じるんだと思います。

実際、ある女の子と大きなお仕事をやったとき、その「女性ならではの気配り」でギスギスしていた現場を円滑にしてもらったことがあるんです。ものすごい、助かりました。そしてそれは、男にはできないことだなぁ、と。

ちなみに今、わたしは真夜中に事務所で一人きり、編集をさぼりながら、しかし休日出勤のお泊り、という状況でこのブログを書いているんですが、夕方までいた女子社員が帰り際「ご苦労様です!がんばって下さいね」とお菓子をくれました。
その子はどうしたわけか、わたしのことが苦手らしく、いつも笑顔の彼女も、僕の前でだけは作り笑いといういかんともしがたいふんぬふんなのですが、それでもこうやって気を配ることを忘れないのは、無意識の段階で「私のやるべきこと」をわきまえてるからなんじゃないかなぁと思います。えらいね。

だって男にお菓子もらったって満たされるのは腹ばかりでしょ。だいたいそんなん「おゴメン」と一言、勝手に食べちゃえばいいわけだし。


こういったものすごく簡単なことだってそうじゃないでしょうか。
わたしが言うキャピキャピ感って、そういうことで、それは男ばかりの直線の世界に、女性という円形が気持ちよくなじむ感覚なのだと思います。
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ふとり賀正

2008-01-08 07:33:07 | Weblog
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

みなさんはよきお正月を過ごされましたでしょうか?そうですか。それはよかった。わたしはぶくぶくと太りました。
親がさあ食えやれ食えとばかりに、食いたくないものから食いたいものまでじゃんじゃん出すので、出されるがままに食ってたらお腹がすごい出て、4日の仕事はじめから、今日まで、2回も違う人に「あれ太ったね」とか言われました。

だからと言ってダイエットする気は起きないので、気休めに黒烏龍茶をごくごくと飲んでいます。本当に効くのかな、これ。

さて、ただ食べてるだけではこうもぶくぶくと太らないですよね。ではなぜこうなってしまったかというと、ほんと、ただひたすらに実家帰ったら食って寝てTV見て寝て食って寝る。といった塩梅の年末年始を送っていたからです。
例年ならば、もっとアグレッシブな新年の迎え方をしたりするのですが、それまで忙しかったからゆえの反動か、まったく何もする気が起きず、ただただひたすらお笑い番組とか見てました。もちろんK-1も見たよ。

そういうことで、正月実家に帰ったことを書こうにも、墓参り以外はほとんど何もやってないので残念、書くことがありません。


でもそうやってTVを見てて気になった番組がひとつ。
兄が見てたのを横から見てて「オモチロイ!(水木しげる)」となったのですが、地元CBC(TBS系)の深夜番組『ノブナガ』の人気コーナー、『ごはんリレー』スペシャル。
これが、すっごい面白かったんです。ルールはこんなん

何がいいって、わたしは、本当に、心の底から、女の子がおいしそうにごはんを食べるのを見るのが、大大大好きなんですね。
なんでか知らないんですが、そうだったらそうなんです。

過去作った映画3作品にしても、なぜか女の子が「ごはんを食べる」「電車で移動する」というシーンがもれなくあるという共通点が存在します。出そうと思って出すんじゃなく、脚本書いてると毎回そうなっちゃうんです。

つうわけから、もぐもぐ、もしゃもしゃと女の子がもの食ってるの見てると、非常に心地よいです。また、彼女がアイドルみたいに可愛すぎない、「リアルな可愛さ」である点も重要であります。


新年早々気持ち悪いですな。しかし好きなものは好き。
賀正。
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