足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

ベァーが強気に転換

2008-04-10 17:16:09 | 株式

“相場に元気がない”という声が強い。3月中旬を基点にしてNY株をはじめ、東京市場も反発にはいったが、「その後もエネルギーが続くのかどうか?」と、ときとして首を傾げたくなるような日が多い。

今週の米バロンズ誌には、同誌に時々、登場するドゥ・カスが強気に転換した記事が掲載された。

ヘッジファンドの運用者で、ショート(空売り)を得意とすることで有名。筋金いりのベァー(弱気)である。そのカスがこれまでの弱気から、一転、強気に転向した。「年末までにNYダウは26%上昇する」(先週末のNYダウは12609ドル)と予想する。その見通しどおりにいけばNYダウは15880ドルになる。史上最高値を抜き、大きく跳ね上がる。

石油価格は半値になり、ドル安が続いて、企業業績は大きく上昇を始める。海外からの資金が流入し、信用市場の危機は終焉。消費は反転し、リセッションは来ないとみる。

これまで実践で大きな成果を上げてきた運用者だけに注目する向きも多い。

「トリトンスクエア通信」でも42日号、同9日号と2週連続して、相場は大底いれしたという見方を紹介してきた。

最近の相場の動きをみても、われわれの見方にはいささかも変化はない。

相場の底入れは、時間が経って証明されるものである。


意外性のあった米連銀の議事録

2008-04-09 16:29:36 | 株式

昨日の米連銀のFOMC318日)の議事録の公開を材料にNY株が売られたが、本日は東京市場にもその人気が波及した。

“厳しく、長引く景気の鈍化”に対応してという文言に注目した。

0.75%の利下げが行われたときの議事録である。

その直前にベアースターンズの救済が行われたが、バーナンキ議長は信用市場の不振が実態経済に影響を与えはじめたことを認めた。

FFレートは2.25%になったが、市場はそのときの連銀の景気認識にびっくりした。

それの証明は金利先物市場での反応である。

次のFOMC42930日であるが、議事録の発表までは0.25%下げが大勢の見方であったが、その後、0.5%下げの確率が44%まで上がった。バーナンキ議長がリセッションいりの可能性を確認したと市場はみた。

仮に0.5%下げられるとFFレートは1.75%になる。

さらに624~25日のFOMC0.25%の引き下げという予想も出てきた。先月の利下げのあとは、しばらく利下げは打ち止めという可能性も出ていたが、景気の鈍化のスピードが速くなった。

連銀はどの調査機関よりも豊かな景気判断のためのデータを持っている。現在のデータでは景気の反転の兆しが読めないということか?

これはわれわれにも意外であった。

先月のベアースターンズの救済劇のような財務省との連携プレーによる景気対策が出るかどうか、市場は手探りをこれから始めるだろう。


ヤフー買収の効果・・・東京市場にも影響

2008-04-08 18:05:57 | 株式

マイクロソフト(MFST)のヤフー(YHOO)の買収提案は最終段階に入ってきたようだ。

1株$32での買収であるが、株価はその水準に到達せず、市場は明らかに、今回の買収は成立しないと読んでいる。

ヤフー側はマイクロソフトの買収価格の引き上げを待っている。

2月の検索エンジンの米国でのシェアーはグーグル59.2%(+0.7)、ヤフー21.6%(▲0.6)、

マイクロソフト9.6%(▲0.2%)と、グーグルのシェアーの上昇に歯止めが、かからなかった。

マイクロソフトとヤフーが合併すれば相乗効果が出て、グーグル追撃の軌道に乗ることが出来るのだろうか?

なぜグーグルが後発でありながら、先輩を追い越して躍進をしてきたのか?

それはグーグルには、なんとなく新しい技術革新があるような感じを、ユーザに与え、それが口コミで利用者の輪を広げていった。

有名な運用者であるレッグメイソンのビル・ミラーは「ロックイン効果」に注目する。ハイテク製品は利用者がいったん馴れてしまうと、使い勝手の良さの魅力にひきつけられ、新しい操作や利用方法を身につけようとは思わない。このことを「ロックイン効果」という。グーグルのシェアー拡大の原動力にはあきらかに、この効果が働いている。

われわれはヤフーの買収が成功すれば、ネット業界に合併という視点での見直し効果が出る可能性のほうに注目したい。東京市場でもこの人気が出てくるだろう。


ダウ1万8000~2万ドルへ備える

2008-04-07 18:30:01 | 株式

「相場の底をつかむのは、天井をつかむよりやさしい」というのはシカゴのスティ・ニコラス(株式コンサルタント)である。

彼はさきごろ米バロンズ誌に登場し「ダウ平均18000ドル~2万ドルへの備えはできたか?」と強調した。

彼は長年、証券会社で実践に携わり、現在は機関投資家向けにアドバイスをする。

「現在の相場は1987年のブラック・マンディの暴落時よりも、もっと異常な時期だ。

連銀が前例のない流動性の供給を行い、典型的な底値形成のパターンにはいった。

金融市場がパニック状況になれば、過去の例にもあるように投資のチャンスである。

MMFの残高は34500億ドル(345兆円)と、20033月の底値のときの22000億ドル(220兆円)超えた。

また個人投資家の弱気比率は1990年以来の高水準になった」(先週末は1万2600ドル)。

ニコラスは市場での流動性の高水準に注目する。

流動性といえばヘッジファンドの現金比率も高水準である。株式で運用する伝統的なヘッジファンドの現金は900億ドルになった。この数字もこれまで見られない高水準である。

2004年にもヘッジファンドの資金が大きく積みあがったときがあったが、当時は相場環境の不透明なときで、その後、相場は大きく上昇した。

最近の相場の動きはニコラスの予測どおりの展開になっている。

新興市場が出遅れてきた。携帯電話関連のアクロディア(3823・マ)に注目。


有名なソロスが動く

2008-04-04 23:36:22 | 株式

ヘッジファンドの事実上の創始者であるジョージ・ソロスが久しぶりにメディアの前に出て、“相場は短期的には底入れした。6週間から3ヵ月の上昇相場が展開される”と語った。彼は2000年に運用の第1線から手を引き、カンタム・ファンドをカンタム・エンドウメント・ファンドに衣替えした。運用資産は170億ドル(17000億円)で、大半が自己資金である。

運用は外部のヘッジファンドの運用者に委ね、自らはごく一部の資金の運用を行っている。

資産運用の最高の戦略はヘッジファンドにあるという信念を持ち、資金運用はヘッジファンドに固執しているのは見事なものである。

今回のウォール街が直面している問題は1929年の大恐慌以来の深刻な状況であるとみる。

しかし先の連銀によるベアースターンズの救済で株価もドル相場も反転するとみる。

昨年はサブプライム関連の商品をショート(空売り)し、カンタム・エンドウメント・ファンドは+30%の成果を上げた。

これまではドル、欧米株を空売りして成果をあげた。

現在、中国、インド株が大きく下落したが、これからは米国株と同じように反騰トレンドにはいるとみて、押し目買いに出ているようである。

今回、メディアの前に出たのは、彼にとっては10冊目である新著「金融市場の新パラダイム」を出版したからだ。

しばらく沈黙していた偉大な投資家が動き始めたことには注目したい。