足立 真一のTriton Blog

株式投資の実践、グローバルな視点での投資戦略。
銘柄選択は、成長株、中・小型株、新興市場株にバイアスを置く。

非現実に過剰反応する相場心理

2006-11-25 17:19:36 | 株式

有名なヘッジファンドのジョージ・ソロスは「科学とは対照的に、金融に関する仮説は真理でなくても利益をもたらすことができる。それが一般にうけいれられるようになるだけで十分である」(ジョージ・ソロス著「グローバル資本主義の危機」日本経済新聞社刊)。

ソロスが唱える有名な相互作用性(再回帰論)を論じたくだりである。最近の東京市場の下げをみていると、この論述で説明ができる。

今回の下げの要因として景気の失速、企業業績の鈍化、金利政策の不透明さ、米国景気の鈍化、安倍内閣の政策への期待はずれ、新興市場の暴落・・などが指摘されているが、いずれもが相場の下落要因としては正しい。ソロスのいう相互作用性が働き、真実でない仮説までが正当化された。それは「株価の下げが下げを呼ぶ」という形で相互作用性がきわめて効率的に働いたからである。しかし個々の銘柄でみるとソフトバンクや一部の新興市場株には仮説が正しくないという見方も有力になりつつある。それが先週来の相場であった。

相互作用性の間違いに気がつく投資家がどれだけ出てくるかの勝負になってきた。

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第2の中国株投資になる

2006-11-24 18:26:16 | 株式

ベトナム株の上昇に拍車がかかってきた。

今月上旬にWTOがベトナムの加盟を正式に承認した。これをきっかけに世界の資金が一斉に同国に目を向け始めた。

かつてのシンガポール、台湾、中国のように米国のハイテク企業も勤勉な国民性に注目し、インテルは南部ホーチミン市のサイゴンハイテクパークで半導体組み立て工場に10億ドル(1170億円)を追加投資(これまでは3億ドル)する。労働力のコストは中国の2分の1である。

ソフトバンク・グループも先月には同国のベンチャー・ファンドに2000万ドル(23億円)の投資を決めた。さすがに「機をみるに敏」な動きである。ベトナムへ投資する場合の問題点は公開株式の銘柄数が少ないことである。そのために、いままで欧米の投資家も積極的に投資することに2の足を踏んできた。ソフトバンク・グループはみずから市場の育成に手を差しのべようというわけか。

以前にも注目した投資手段のひとつにロンドン市場に上場しているビナキャピタル・ファンド(VinaCapital Fund:チッカー・シンボルはVOF)がある。これまで動きは活発でなかったが、最近、大きく動き始めた。今年の安値$1.641月)が時価$2.93とほぼ2倍の上昇である。

中国や香港で活躍したヘッジファンドもこれから、投資に本腰を入れるだろう。

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ナスダック6年ぶりの高値・・・相場のリード役

2006-11-23 17:55:31 | 株式

今日は日本と同じようにウォール街も感謝祭で休日。金曜日の立会いは時間短縮なので機関投資家、ヘッジファンド、トレーダーなど相場に影響力をもつ人たちの中には休みを取り4連休を楽しむ人が多い。

昨日のNY株は小動きであったがナスダック指数は20012月以来、6年ぶりの高値をつけた。成長株ファンにとっては、これまでの不振を取り戻すべく前向きの戦略を立てているだろう。インターネットやハイテクが休日前は強かった。なかでも注目されるのはグーグル(GOOG)の動きである。$500台乗せ後も高値圏で頑強である。

グーグルといえば頭に浮かぶのは20世紀が生んだ偉大な投資家のひとりといわれるビル・ミラー(レッグ・メイソン)である。20048月の公開時に大量に投資して話題になった。グーグルは$85~$95の価格帯を明示して、公開日に売り物を出し$85以上の注文は全部売買が成立するように配慮した。

ビル・ミラーは同年5月からプロジェクト・チームを組んでいくらで初日に投資するかの検討にはいった。外部からはアマゾン・コム、Eベイ、ネットワーク・ソリューションズの元CFO、カーネギー・メロン大学のエコノミスト兼数学者、元ゴールドマン・ザックスの裁定取引のプロなどを外部から招請し、研究の結果を自社のストラテキジストにまとめさせた。40ページにおよぶ報告書。そして当日には$116130万株、$100100万株、$89561000株の注文を出した。ビル・ミラーの注文は$85で全株できた。

この話を聞いて改めてウォール街の合理性のある株価形成につて考えさせられた。

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ウォール街の値上がりベスト3から読む

2006-11-22 17:50:33 | 株式

今週のウォール街は休暇ムードだ。

23日(木)は日本と同じように休日。感謝祭である。そして金曜日の株式取引は短縮。

影響力のあるヘッジファンド、トレーダーは4連休を楽しむ。それにしてもウォール街の目先のムードは明るい。NYダウ平均は史上最高値を更新中だし、S&P500は過去12日間の立会いのうち、10日間がプラスであった。

S&P500の採用銘柄のこれまでの値上がりベスト3はアルゲニー・テックの+112%、Nビディア+98%、オフイス・マックス+93%で,S&P500+12%を大きくアウトパフォームした。アルゲニーは鉄鋼関連であるが、特に特殊鋼や金属チタニウム関連として人気があり、ここ4年間で45倍になった。昨日は$82と、これまでの高値である$87に再び挑戦している。ボーイングが韓国の大韓航空から55億ドル(6500億円)の受注をとったことが材料のひとつになった。

きょうの東京市場でもスポンジチタンの住友チタニウム(5726)と東邦チタニウム(5727)が大幅高になった。今月上旬に両社は9月中間決算の説明会を開き、住友チタニウムは「金属チタニウムの展伸材メーカーは来年の価格について顧客に30%以上の値上げ要求している」と語り、東邦チタニウムは「当社の第2の創業期が来た」と先行きの明るさを強調した。

株価は反応しなかったが、ようやく本日は本来の強さを回復した。来年も市場の人気株と位置付けしている。

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取引所株を考える

2006-11-21 19:35:36 | 株式

大阪証券取引所(8697HC)がストップ高をつけた。日経新聞夕刊が「米取引所と提携交渉」と伝えたことが材料だ。世界最大の個別株オプション市場の米インターナショナル・セキュリティーズ取引所と提携にはいったというニュースである。

先週、ウォール街でNymexNMX)がIPO(新規公開)され、公開価格$59が一時は高値$152をつけ、取引所株に人気が出ていたときだけに、買い物が殺到した。Nymexはニューヨーク・マーカンタイル取引所の親会社である。

これまで会員組織であったのが株式会社化し、会員に9万株ずつ割り当てた。先週末の評価では1200万ドル。会員権は1ヵ月前の市場価格が500万ドル、2005年初めには175万ドル、2001年には75万ドルであったので、5年間で16倍に値上がりしたことになる。

Nymexはエネルギー先物取引では63%の市場シエアーを占める。

PER72倍だ。この人気に刺激されてほかの取引所株も動き始めた。PERではNY取引所(NYX)のPER57倍、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME46倍、インターコンチネンタル取引所(ICE52倍である。

本日の大阪証券取引所のPER43倍。世界の取引所の中でも、かつての割高感がなくなってきた。日本株の投資価値を示す一つの指標でもある。東京市場がいつの間にか、投資価値に大きな魅力が出てきたような気を強くする。

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