有名なヘッジファンドのジョージ・ソロスは「科学とは対照的に、金融に関する仮説は真理でなくても利益をもたらすことができる。それが一般にうけいれられるようになるだけで十分である」(ジョージ・ソロス著「グローバル資本主義の危機」日本経済新聞社刊)。
ソロスが唱える有名な相互作用性(再回帰論)を論じたくだりである。最近の東京市場の下げをみていると、この論述で説明ができる。
今回の下げの要因として景気の失速、企業業績の鈍化、金利政策の不透明さ、米国景気の鈍化、安倍内閣の政策への期待はずれ、新興市場の暴落・・などが指摘されているが、いずれもが相場の下落要因としては正しい。ソロスのいう相互作用性が働き、真実でない仮説までが正当化された。それは「株価の下げが下げを呼ぶ」という形で相互作用性がきわめて効率的に働いたからである。しかし個々の銘柄でみるとソフトバンクや一部の新興市場株には仮説が正しくないという見方も有力になりつつある。それが先週来の相場であった。
相互作用性の間違いに気がつく投資家がどれだけ出てくるかの勝負になってきた。