ソロスの上海の復旦大学での講演に注目したい。
中国が閉鎖された金融市場であっただけに、金融危機の圏外にあった。銀行には被害がなく、政府の指導もあって企業には自由に貸付を行う。個人的な見方と断りながら、中国の近い将来の成長率は一般に予想されているよりも力強いものになるという。中国への投資はよし悪しの問題を通り越して、「何に投資するか?」にあるとする。
ソロスが日本にやってきたのは1971年のニクション・ショックのときであった。ドルが金とのリンクを離脱して、それまで固定制であった円相場が上昇するとみた。
そのとき以上の興奮を中国にいま抱いている感じだ。
これまでソロスの口から中国株のことは、あまり聞いたことがなかった。
年初来の相場のパフォーマンスをみると1~5月にはハンセン+26.3%、香港H株+32.1%、上海A株+44.6%、台湾+50.1%、韓国+24.1%、シンガポール+32.2%であった。
この間のNY株は-3.2%、東京市場は+7.5%だ。
この2系列の数字を比較して、ソロスの中国論は、中国を中心とするアジア株論とも置き換えられる(残念ながら日本を除いたアジア)。
かねて「トリトンスクエア通信」でもアジアを中心にした新興国投資に、そのチャンスがきたことを論じてきたが、改めてわれわれの周辺国への投資のチャンスの大きいことに注目される。
この流れはこれからも続く。
一服している海運株に注目したい。乾汽船(9113)。海運株はアジア関連である。
昨日のウォール街ではテキサス・インスツルメンツ(TXN)が第2四半期の業績を増額修正した。利益予想を1~15セント→上限22セントと大幅な修正。世界最大の携帯電話向け半導体メーカーだが、半導体の需給の先行指標的な存在だ。世界のハイテク株へ好影響をもたらせるだろう。