日本人はpolite

帰国しました。パリに1週間行ってました。最終日にプチ・ギックリを味わうまでは、なかなか充実した旅でした（涙）。
今日から現実と向き合わなければ・・・。

今回は、成田に着いた時間が朝7時半だったので、まだ道が空いているだろうと思い、空港から新宿方面へ向かうリムジンバスに乗って帰ってきました。だいたい、いつも西新宿のどこかのホテルで降りて、そこからタクシーというのが私の帰路パターン。今回もヒルトン東京で降りるつもりでした。

バスはまず新宿駅で止まり、そこで下車するお客さんを下ろしてから次にワシントンホテルへと向かいました。ヒルトンはいつも最後に泊まるので、私はイスでボーッとしていると、2つ前の席に座っていた外国人の男性（30代？）が血相変えて自分のイスの周りや通路を覗いているではありませんか。

しばらくして、彼は居合わせた他の外国人客に英語で「落し物をしたみたいだ」と言って、さらに探しつづけます。ま、そんな大したモノじゃないだろう、と思って見ていると最後に彼は「パスポートを失くした」と言うのです。

パ・パスポート！そりゃ、てーへんでぃ！

そうこうしているうちに、ワシントンホテルにバスが到着。彼が降りるはずだったホテルでした。でも、降りれませんよ、なんてったってバスの中にパスポートが落ちているはずなんですから。

車内でうろたえて探す男性に気付いた運転手さんが「何、どうかしたかい？」と近づいて来ますが、英語の出来ない運転手さんと、日本語の出来ない外国人男性が意思疎通をはかれる訳はなく・・・プチ・ギックリの重たい腰をあげて、私が間に入ったのでした。こういうとき、私は便利な日本人デス。

パスポートを紛失し涙目の男性は「バスの中にあるはずだ」との一点張り。どういう色？何かケースに入れていたの？と聞くと「茶色の革の書類入れに入っている」と言うではありませんか。そんなん、バスに落ちていたら、とっくのとうに見つかっているよ・・・。

ヒルトンまで他のお客さんを送り届けなければいけない運転手さんは、とりあえずヒルトンへ向かうから、その間もう一度探しておいてくれ、と言って運転席へ戻りました。
到着早々パスポートを失くすなんて、ホントに彼、ついてません。

でもね、そういえば、その男性、私が空港でバスを待っている時、列の前に立っていて、白髪交じりの日本人男性と仲良くお話してました。バスの中でも隣同士に座ってダベっていて、その日本人は新宿駅で降りたけど、その人が手がかりを知っている可能性が高いのでは？

そう思って「あなた、バスに乗っていたとき日本人と話していたでしょ。彼はあなたの知り合いじゃないの？何か覚えているかもしれないから聞いてみたら？」と聞くと「実は飛行機の中で出会った人で、どこの誰かも知らない」ですと。おいおい。

あぁ、もうじゃあ成田空港の遺失物係りへ問い合わせるしかないね、と思った瞬間、閃いたのです。「ねぇ、成田で何かした？両替とか？」

すると「した、銀行で両替をした」と言うではありませんか。「レシートは？何か紙をもらわなかった？」と言うと胸のポケットから両替した際の明細が出てきました。千葉銀行成田空港支店・・・おぉ、ご丁寧にちゃんと電話番号まで書いてあります。

もしかして？！

早速携帯で電話して聞いてい見ると、なんと「パスポートの落し物ですか。もしかしてブラジル国籍の？」と一筋の希望の光。狼狽する彼に「あなた、ブラジル人？」と聞くと、彼は見つかったことを察したらしく「そうだよ、あぁ、見つかったの？信じられない！」と天を仰いだのでした。

結局、千葉銀行からリムジンバスの事務所経由で外国人男性に届けてもらうことにして一件落着。彼曰く「ブラジルでは、パスポートを落としたら、絶対に出てこない。日本人はなんてpoliteなんだ」。

本当にそう。外国でこんなこと、なかなかありえないと思う。
彼は遠いブラジルから何しに来たんだか知らないけれど、日本のこういう良い所を感じて、それを周りの人達に伝えて欲しい。日本人も捨てたもんじゃないぞ、と。