おきらくごきらく

社会人大学院(早稲田大学大学院商学研究科プロフェショナルコース)へ通う、のんきなサラリーウーマン実録

英語のコミュニケーション能力

2005年09月25日 | お遊び


最近テレビでよく紹介されている福島孝徳という脳外科医をご存知でしょうか。

米国デューク大学の脳神経外科医を勤める福島氏は、48歳のとき、手術より論文で医師を評価する日本の医学界を嫌って渡米した世界的に有名な医師です。

患者の負担を最小限にする鍵穴手術という手法を用いて、自ら開発した500を超える手術器具を駆使し、あらゆる医師がさじを投げた患者の命を救ってきたスーパードクターです。

ミリ単位の操作をする彼は、神の手を持つと言われ、世界中を飛び回り超人的なハードスケジュールをこなしています。もし脳腫瘍にかかったら、ぜひこの人にオペをしてもらいたい、とひそかに思っている私です。

医学的なことは全然分からないので触れませんが、いろいろな番組を見る度に、私は彼の抜きん出た「コミュニケーション能力」にため息がでます。

この先生、決して英語の発音がうまくありません。ワン・ツー・スリーみたいな思いっきりジャパニーズ・イングリッシュの連発なんですが、相手に伝える能力がすごいんです。発音なんて、どうでも良い。正しく情報と熱意が伝われば。そう思わせてくれる人です。

日本では英検だのTOEICだの検定試験で英語のレベルを判断しますが、大切なところを見落としています。コミュニケーション能力です。いくら紙の試験が出来たって、相手は生身の人間なんですから、伝える力、聞く力に欠けていては会話が成り立たないのです。

以前、英検を受けた時の面接をよく覚えています。いくつかお題を渡されて、それに対してしゃべるんですが、そのお題が「女性の社会進出について」とか「高齢化社会について」とか「教育問題について」とかですよ。日本語でも難しいんですけど!長い間アメリカに住んでいた帰国子女の友達が、英検1級受けて落ちたという話もあったなぁ。

話しは戻って福島氏。彼は緊迫する手術中も、一人で「あー、こりゃ驚いたなー」とか「皆さーん、腫瘍が見つかりましたよー」とかベラベラしゃべりながらオペしてます。神経を尖らしている手術中に、ですよ。

イメージ的には「・・・メス」「はい」とか言うくらいで、しーんとした手術室を想像していたのですが、そりゃもう賑やかです。日本語だろうが英語だろうが、一人でしゃべっています。他は誰もしゃべってません。

さらに彼は、5-6時間立ちっぱなしの手術を終えると、彼のオペを見学に来た大勢の医師を相手に手術の解説をし、患者への説明もきっちり行います。日本へは年に4-5回来日するらしいのですが、2週間の滞在中、約50件の手術をこなします。・・・ありえない。

いつもパワフルでストレート。最良の結果を出すために、前例にも縛られない。こんな名医を逃してしまった日本の医学界は、論文の数でしか医師を評価できない残念な業界です。

世界の名医は、コミュニケーションの達人でもありました。