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人間の証明/森村誠一

2008年09月28日 23時16分19秒 | 読書歴
74.人間の証明/森村誠一
■ストーリ
 東京・赤坂の高層ホテル最上階の展望レストランに到着した
 エレベーター内で、腹部を刺されたまま乗り込んできた
 黒人青年が死亡した。事件は殺人事件と断定され、麹町署に
 捜査本部が設置される。
 捜査を担当することになった麹町署の棟居弘一良刑事らは、
 被害者の名前がジョニー・ヘイワードであり、彼をホテルまで
 乗せたタクシー運転手の証言から、車中でジョニーが「ストウハ」
 と謎の言葉を発していたことを突き止める。さらにタクシーの
 車内からは、ジョニーが忘れたと思われるボロボロになった
 『西條八十詩集』が発見される。

■感想 ☆☆
 小さい頃から本が好きでしたが、児童小説からオトナの小説への
 架け橋は推理小説でした。ルパン、ホームズの児童向け版から入り
 「黄色い部屋の謎」や「モルグ街の殺人」の児童向け版へ移り
 アガサ・クリスティ、エラリー・クイーンに移行しました。
 そこからなぜか日本版の推理小説へ移行し、赤川次郎、山村美紗を
 読み進めた後に、竹村健治、宮部みゆきに職種を伸ばし、
 そこから推理小説以外の文庫本へ派生していきました。

 その過程で、なぜか森村誠一を飛ばしてしまったワタクシ。
 山村美紗といえば、流れ的に西村京太郎、森村誠一なのに。
 松本清張もしっかり読んだのに、西村さん、森村さんは
 「堅いなー。」と敬遠してしまったのです。
 というわけで、初の森村作品です。

 「母さん、あの麦わら帽子はどうなったでしょうね。」
 で有名なこの作品。時代の流れをひしひしと感じることができる作品です。
 なんせ、文庫本の奥付を見ると、「昭和52年3月初版発行」。
 なんと解説は横溝正史という豪華さ。すごい・・・とひたすら感嘆。
 未だに本を解説から読み始めてしまうワタクシは、解説の名前を
 見ただけで、大満足でした。

 そして、「昭和52年」の人たちにとって、戦争はまだ「昔」ではなく
 まだ自分たちに関係がある「少し前」なのだと感じさせられる
 お話でした。戦争が与えた影響が読者たちにとって無関係ではなく
 「もしかして自分たちもこうなったていたかもしれない。」と
 思わず共感させられるぐらい、身近な出来事だったのだろう、
 と実感した結末でした。

 時代を感じさせられる作品です。
 かなり古さも感じさせられる作品です。
 大きなトリックも、あっと驚く仕掛けもありません。
 けれど、西条八十の詩を効果的に使い、しみじみとした余韻を
 与えてくれる作品でした。読み終わって、実に多くの映画化や
 ドラマ化が行われた理由が分かった気がします。


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