のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

冷たい誘惑/乃南アサ

2008年09月15日 11時54分53秒 | 読書歴
69.冷たい誘惑/乃南アサ
■ストーリ
 「私は拳銃を構える。恐怖にひきつった顔を思い描くだけで、胸の
 もやもやが晴れていく」。久しぶりの同窓会で、歌舞伎町に流れ、
 家出少女から受け取った包みの中身はなんと拳銃。なぜか主婦は
 警察に届けない。日常に倦んだ市井の人々を狂気に変えていく
 コルトの魔力を巡る連作短篇集。

■感想 ☆☆☆
 最初の3作品、後半の2作品は、それぞれ時間を前後しながら
 話がつながり、リンクしあっている。連作短編集をつなぐのは
 小さな20口径のコルトオートマチックという拳銃。

 ふとしたきっかけで銃を手に入れてしまったごく普通の人たちが
 銃の持つ力、その力のかもし出す万能感に魅了され、つい拳銃を
 隠し持ってしまう。 心が弱っているときに手に入れてしまった拳銃。
 弱っているからこそ、拳銃を持っているだけで力を得たような
 気持ちになってしまう人たちの気持ちは、ほんのちょっぴり
 理解できてしまう。理解できてしまうからこそ、ごく普通の主婦や
 女子高生、会社員たちが拳銃を隠し持ってしまうという設定が
 決して突拍子もないことではないような気にさせられてしまう。

 どの作品も拳銃の持つダークなイメージとは裏腹に、希望が
 見える終わり方、未来に明るい光がともっているような終わり方で
 読み終わった後にさわやかな気持ちになった。


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