のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

閉鎖病棟/帚木 蓬生

2008年09月21日 22時22分51秒 | 読書歴
73.閉鎖病棟/帚木 蓬生
■ストーリ
 九州地方のとある精神病棟。患者たちは、それぞれに退院できない
 理由を抱えながらも、互いに助け合い、日々の瑣末な出来事に希望を
 見出しながら、明るく暮らそうとしていた。しかし、皆で回復を
 あたたかく見守ってきた通院患者の女学生に起きたある事件が、
 やがては殺人に発展してしまう。殺人を犯した者、それを知っていた者、
 彼らが守ろうとしたものは何だったのか。

■感想 ☆☆☆*
 現役の精神科医が、精神科の病院を舞台に書いた群像ドラマ。
 精神科の病棟で暮らす患者たちの日常を、患者目線で淡々と描いている。
 「精神科」に対する偏見や、偏見を出発点とした家族間の
 いざこざを丁寧に描いていて、胸に迫る。
 けれど、ラストの温かさ、爽やかさは見事で、
 読み終えて主人公たちの今後を「心配」や「不穏」とは無縁で
 想像することができた。

 ただ、ミステリや物語としては、あまり捻りはなく
 物語の流れが中盤でつかめてしまう。
 その点だけがちょっぴり残念だった。


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