あそこに誰かが生きている。 How goes it with you?

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旅の記憶。

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今後の話。

小さな旅(4)

2017-01-19 06:22:48 | Travel (Okinawa)




目覚めは清々しく、

窓を開けて広がる青空は

普段より、一層開放感を

感じるさせる。



食堂で焼き魚の

朝食を食べ終わると、

一通り帰り支度を済ませて

民宿を出た。



民宿からレンタルのママチャリを

借りることができたので、

今日は島の反対側に

行くことにする。


船着き場から多少進むと、

阿嘉大橋の向こうに慶良間島を

望むことができ、

その奥には外地島があるのだか

僕の位置からは見ることは

叶わなかった。



遠くから見る慶良間島は、

急な山裾に道路が外周を

囲うようにして伸びており、

山々は緑で覆われている。



それを横に見ながら、

昨日来た岩場を通り過ぎると、

左には大岳と中岳の全貌が

見えて来る。


こちらも深い緑で覆われているが、

本州の山の緑とは

似ても似つかぬ様子を

醸し出している。



道は一車線で、

周りは赤や黄色の花々が

咲き乱れていたが、

花に疎い僕は

その美しさだけで

充分満足できた。





道は途中から小高い坂に

差し掛かり、

息を切らせながら登り切ると、

真下に群青色と瑠璃色に別れた

西浜ビーチを望むことができた。


坂を降りながら吹き抜ける風が

汗を拭い切ってくれる。


降りきり、

平坦な道を進むと

左側にダイビング用の

レンタル店があり、

そこでシュノーケルとゴーグル、

フィンを1500円で借りる。



そのままビーチへの

階段を降りながら、

横にあったパラソルとサマーベッド

もレンタルして、

真っ白なビーチに突き立てる。





観光シーズンではないので、

ビーチに人はあまりいなく、

プライベートビーチの様なものだった。



空には若干の雲が揺らいでいる。




早速、ゴーグルなどの装備をして

海に入ると、

海中は純白の世界が広がっていた。


所々に珊瑚礁の岩場があり、

周りにはカラフルな魚達が群がっている。


珊瑚礁も多種多様な姿をしていて、

見ていて飽きがこない。


海中散歩を

1時間ほどしていると、

さすがに疲れを感じ、

浜に上がり、

サマーベッドに横たわった。





爽やかな風が心地よく、

自分でも贅沢しているな〜と、

思ってしまうほどの

時間とロケーションを満喫する。



30分程休み、

最後にもう一度海に潜り直して、

西浜ビーチを後にした。




再び自転車にまたがり、

来る途中に見つけた

小高い丘を登ると、

遠くを展望できる

場所に着くことができた。





海を眺めながら

タバコを薫せ、

下り坂を降りると

右に島の小学校があり、

ごく平凡な作りなのだけど、

雰囲気からか、

それまでも違った景観を

作り出している。



その先は民宿近くに道が

抜けており、

そのまま民宿でシャワーを浴びて、

帰りのフェリーを待つことにした。







つづく

小さな旅(3.5)

2017-01-17 06:25:51 | Travel (Okinawa)



釣り人は50代ぐらいの

男性で、地元は東京だと言い、

度々時間ができるとこの島に

遊びに来るらしい。


その後、男性とは

たわいもない話を

してから別れた。


7月初旬にも関わらず、

日差しは強く、暑さと開放感から

上着を脱ぎ捨て

上半身裸になっている。


近場の浜辺で

腰を落ち着かせながら、

青々とした海と空を

眺めていると、

自分が今どこにいるのか

忘れてしまいそうになる。


いや、

忘れた方がいいのかも知れない。


いろいろな思考が現れては

消えていく。


どれぐらいの時が過ぎたのか、

気がつくと空がオレンジ色に

変わり始めている。


遠くの地平線で太陽が

沈もうとしている。


その光景に、

再び思考の海に浸かりそうに

なったのだけれど、

なんとか抑えて

来た道を戻り始めた。


道端の雑草が太陽の光を

反射して黄金色に靡いている。



風は身体を心地よく

通り過ぎて行く。



民宿に着くと、

すぐに夕食となり、

名前は忘れたけど地魚の煮付けを

中心とした料理がテーブルに並んだ。






初めての味だったけれど、

僕の舌に合っていて美味かったし、

一緒に飲んだオリオンビールが

格別だった。



ほろ酔い気分でシャワーを

浴びて部屋に戻り、

畳に寝転びながら板目の

天井をボーと眺め、

暫しの間無の状態に入る。



再び起き上がり

携帯で時間を確認すると、

午後8時を過ぎていた。



若干酔いに足りなさを感じ、

食堂でオリオンビールの缶を

二本購入してから暗い夜道に繰り出した。



建物の明かりが少ないことと、

空気が澄んでいることによって、

空には幾万もの星が広がっている。


前浜ビーチに着くと、

さらに月光が海に反射していて

辺りを優しく照らしていた。



僕は砂浜に寝転ぶ。



波の音と風の音が

混じりあう神秘的な時間を

過ごしていると、

頭上の方から砂を踏む音が

聞こえてきた。


人が来たかなと、

思ったのだけれど

足音が妙に軽やかだったので

振り向いて見ると、

10m程先に鹿が二頭歩いている。


鹿も僕に気がついたのか

足を止め、暗闇に光る眼光が

四つこちらを向く。


向いたといっても一瞬で、

すぐに首の向きを変えて

遠くに行ってしまった。


後で民宿の方に聞くと、

鹿はケラマジカと言い、

この島特有の鹿と言うことだった。


暗くて毛色などは

確認出来なかったが、

あの眼光は

生命を感じさせるには十分な

迫力があった。



ケラマジカが去ってから、

オリオンビールを飲み干し、

若干の肌寒さを覚えたので

民宿に戻り、

そのまま良く乾いた

布団に潜り込むようにして、

深い眠りに落ちて行った。






つづく