本があるような。生活

読んだ本の感想です、ジャンルは主に小説

嫌われ松子の一生

2006-04-16 23:00:49 | 本の感想
『嫌われ松子の一生』  山田宗樹

5月27日に公開される映画の原作です。
主演の中谷美紀が「本気で女優をやめようかなと思いました」
とか言って話題になってましたね、

題名どおり、松子の一生。

物語は、過去の松子の視点と
今の笙(松子の甥で、謎の死を遂げた、
伯母の人生に興味をもち、彼女の事を調べていく人です)
の視点で進んでいきます。

初めはこの女、すきになれませんでした。
なんだか自分勝手で、子供ぽいし
どんどんしょーもない道に進んでく
そのむちゃくちゃさに、思わず胸が悪くなったり。

でも、最後には傍聴席で叫ぶ主人公の
気持ちが手に取るように分かって、
なんだか、すんとした気分に。。

彼女はしょーもない人だけど、でもなんだか
嫌いになれないような気がします。

人一人生きてることのバックグラウンドの広さ…
って言うんでしょうか、
人生の大きさや量、そーゆーものそれぞれの重さ
それは簡単なものじゃないんだな、って思いました、

だからこそ彼女の人生の最後の裏切られ方には、
切なくなってしまいました。


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映画が気になって、読み始めたのだけどのだけれど
でも今は逆に
「あんなポップに作って良いのかな~~」
なんて思ってます。


妖怪による、妖怪バスター?

2006-04-10 00:31:47 | 本の感想
『しゃばけ』  畠中 恵

第13回ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作
今はシリーズが四冊まででているものの、第一巻、みたいです。

プロフィール欄を見ていて、おどろいたんですけど
この人、もともと漫画家だったんですね
そこから作家を目指したよう。

それにつけても和菓子が美味しそう
時代は江戸で、
主人公は大店の超病弱なうら若き、若旦那
いつもお供についてる二人の兄やは実は妖怪
家の中にも、店の周りにも妖怪がもりだくさん
そのうち事件に巻き込まれ、大立ち回りを演じて
無事解決。

さらっと書いたらこんな感じになってしまって
なんだか申し訳ないのだけれど、大筋はこんな感じ。

時代設定のせいか、岡引が出張ってるせいか
なんとなーく宮部みゆきに似ている?ような
(気のせいかしら)

こーゆう妖怪物とかって大抵
『強い!』ってポジショニングがされてる妖怪は
大体なんでもできて、すげー強くて。
人間なんか、はしにもひっかからない!
みたいな事が多い気がするんだけど、
この本は、妖怪がなんだかおもしろい。

そもそも強いはずのお供の二人の妖怪も
殴られて意識根絶して、逆に守られたり
適当だったり、過保護だったり
(なんとなく、弱い。ような)
なでられて嬉しがる子鬼の妖怪は
猫の子みたいで可愛らしい。

キャラクターがキラッと光る、そんな本な気がします。

でも若旦那を「役者なら千両稼げる男前」とか
そのほかなんやらかんやら
なんか褒めすぎ~な感じがしたり、
江戸時代の割にはなんやら世の中豊かで
若旦那の甘やかされっぷりが、
現代のボンのようじゃぁ、ありませんか、なんて
ちょっぴり、居心地が悪くなったり。

でも物語の後の方以外な展開があって、
思わぬ感じで面白い。

主人公の親友の栄吉は
菓子作りの下手な、和菓子の跡取り。
そこに出てくる、和菓子の様子が
なんだーか美味しそうなんですよねぇ。

夜中にむしょうに大福が食べたくなった、そんな本でした。



迷路のような

2006-03-19 11:12:00 | 本の感想
ここ1週間ほど、
借りて来てから、頑張ってはいるのですが。
ちょっと無理っぽいです。

『琥珀捕り』 キアラン・カーソン

結構前から好きなブログの中で紹介されていたのを
気になっていくつか借りてきた物の一つなのですが、
難解なのです。
文自体は読みやすい。読みやすいのだけれど、
ストーリーになってないというか…
(脈絡が見えない?)
寓話的な雰囲気やモチーフがなんとなく面白く、
読んでみたいなぁ~と思わせる
興味深い本ではあるのですが
読み通す忍耐力が…
いつかまた成長した頃に、読んでみたいと思います


うーんカモノハシ。


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ドリームバスターの3巻が出たんですね
おー本屋に行きたい。



続編-それは難しい-

2006-03-10 09:04:29 | 本の感想
『宇宙の果てのレストラン』を読みました。

以前読んだSFコメディ小説
「銀河ヒッチハイクガイド」の二巻です
うーん。
この手のコメディにはオチはない、ないんだよね。

ぶっとんだギャグは相変わらず健在なんだけど、
なんでしょう、ちょっとグダグダしちゃってます。
前作にあったユーモアの新鮮さも薄れ…マンネリ、という事?

私なりに一番的確に表現するなら
『続編は作らない方が良かったのに作っちゃた映画』
のパート2みたいな本、でしょうか。

別にそれ自体が死ぬほど詰まらない訳ではないんですけどね

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でも地球人がアホの子孫だってのは可笑しかったです。

はじめての金田一耕介

2006-01-14 15:52:27 | 本の感想
『八つ墓村』  横溝 正史

金田一シリーズは初めて読みました。
読みやすくて、引き込まれるようにドンドン読み進む
探偵小説というよりは
おどろおどろしい雰囲気が怪奇小説みたいで
苦手な人は怖くなってくるかもしれません。
(とゆうか私が怖かったです)
登場人物が、また、気持ち悪いなぁ~
気のふれた尼さんや、妖怪みたいな双子の老婆
でも主人公の過去形の語り口が
怖さを緩和させてくれます。

田舎の泥臭い人間関係が
「八つ墓村の祟り」をモチーフにした
殺人事件に妙な雰囲気を醸し出して、
いい味だしてます。

でもこの本だけなんでしょうか?
あまり金田一耕介が活躍してません
事件は解決の兆しをみせないまま
より血なまぐさい方向に…

近年のミステリーになはない殺人の血なまぐささ
っていうんでしょうか、登場人物の人間くさい性格とか
和風の怪談みたいな雰囲気がよかったです。
ちょっと予定調和ぎみなところもまた。
広い年代で楽しめそうな本じゃないでしょうか。


でもあんだけ殺しちゃうわりに犯人の動機にちょっと疑問を抱いたけど
いや、でもだからこそ怖い犯人って事?

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それにしても人が死にすぎじゃないか
過去の既述も含めたら、この本だけで
47人?死んでます。

今日は、「青の炎」

2005-12-30 01:23:25 | 本の感想
を斜めに読みました。
「ISOLA」とかゆうサイコホラー(?)を書いた、
貴志祐介とかゆう人の本のようです。
(ごめんなさいISOLAは読んでません)
でもそんな事いわないでも、コレ自体結構有名ですよね、
映画にもなったし。

アイドル主演の映画だったので、
原作にも「あまりなぁ~」と思って期待してなかったんですけど
中々悪くなかったです。
でもなんか理系の人っぽい本でした、
(物理の公式いっぱい出てくるし)
完全犯罪に挑む高校生。
これがカッコよく描かれていて
ちょっとリアリティーがないほどでしたけど
でも、読後感が悪くなさそうでいい。
(ちゃんと読んでないからね)
ちょっと軽いけど、映画向きの本だと思います。

うぅーん、なんか本望をとげた最後。
主人公が高校生だからでしょうか、
殺意のあたりがどろどろ描かれていずに、
家族を守りたい気持ちが細かく描写されているあたりが
切ないとゆうか甘酸っぱいとゆうか…きゅんとしました
それがこの本の良い所…?


話題性のある本だったかな…と思ったんですけど。
うーんうーん、でも正直いって暇で手近にあったら読む。
ぐらいかもしれません。

今度ちゃんと読んでみよう。

ふんわり王女

2005-12-05 18:34:11 | 本の感想
『軽いお姫様』  ジョージ・マクドナルド
を読みました。
前にどこかで勧められていたもの
なんとなく覚えていました。

「重さ」がなくてふんわりただよってしまうお姫様の話

お祝いによばれなかった魔女がその仕返しに
生まれたばかりのお姫様に呪いをかけて…
とゆうセオリーどおりの方法で、
呪いがただの呪いとゆうだけじゃなく
「重さ」よりもっと大切なものを王女さまから奪ってしまう
それって何?
とちょっとセオリーと違うのが、ちょっと興味深かったです。

なんだろうか…この話のよさは、なんか良いんですが
なんかよくわかんないなぁ。

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この本は「軽いお姫様」の他に「ふんわり王女」とも訳されているようです
個人的にはふんわり王女。
のほうがなんとなく雰囲気でていて好きだな。

感想と今日の

2005-12-03 20:25:39 | 本の感想
「しょっぱいドライブ」 大道珠貴
を読んでいます
2001年宇宙の旅を読み終わったからでは、ありません。
実はグットラックららばいも、読み終わってません。

『グットラックららばい』には驚きました。
私的に、今までに無い、です。
これほどまでにキャラクターの性格がめちゃくちゃというか…
いや、そーゆうはちゃめちゃなのは珍しくないんですけど
「卒業式から家に帰ったら母が家出していた」
と今風な軽い淡々とした文体で、始まるから
「あぁハートフルコメディなのかな…」「このまま淡々と感動していくのかな…」
なんて思ったんですけど、
全然ハートフルじゃないです、
破綻しています。(でも軽やかです)
それぞれのキャラクターの性格づけとか悪くないんです、
特徴があってリアルでアンリアルで、
その行動に頷きつつ、馬鹿にしたりしながら読めたりして
悪くないんです、
悪くない。
でも長い。
いい加減、長い
基本的に発展しない話を十年単位で続けられると、
いい加減飽きる。
「もう、分かったよ」なんて思いつつ、
あと50ページ睨んでます。

あと基本的に良い人がいなくて、読後感が悪そうなのも、
読み進めてない原因かも。
すでになんか消化不良ぎみです。
(でもいい加減出てきたお母さんまで全然「良い人」じゃなかったのにもびっくりしたなぁ…だって期待するじゃん。)

でも、皆逞しすぎるほどに逞しいので全然暗くない所と
お姉ちゃんの笑いながら、止めない
「我関せず」の態度は痛快だし
この学習しない妹、素晴らしい。

下町時代小説

2005-11-22 19:21:58 | 本の感想
夜消える   藤沢周平

短編集
・夜消える
・にがい再会
・永代橋
・踊る手
・消 息
・初つばめ
・遠ざかる声

宮部みゆきからミステリーをひいたら、藤沢周平になる気がする。
(藤沢周平のほうが先ですが)
とゆうことで宮部みゆきが好きな人は藤沢周平も好きだと思われます。
私の中で日本の時代小説は二つに分けれるんですが、
「時代の流れに重心をおいたもの」

「人の動きに目を向けたもの」
藤沢周平は後者だと思います。
読んでると登場人物の生活の匂いを感じる気が…
長屋、下町、汚い路地裏に、着物の裾を翻して走る子供の声
細やかな人情の機微。

印象に残ったのは
「夜消える」
しっかりもので働き者のおのぶ、
料理屋で働いてる娘のおきみ、
もとは腕の良い職人だったのに、
もうもどれない、酒を飲むしかできない
常人ではなくなってしまった兼七が最後にまとも、というか
父親で夫で人間らしい決断をもって消えてしまう様子
それがなにげない一升瓶だけで描写されてるところがしんみりと。
しんみりした後やっぱり明るい「踊る手」が好きです、
下町の人情ーって感じがします。
おいてかれちゃったおばぁちゃんの面倒をみんなでみるとか、
現代でもありそうな、下町感。
最後、おばあちゃんがなんともかわいい。
そしてちょっと異色なのが「遠ざかる声」、
「居酒屋幽霊」みたく死んだ女房が亭主の再婚にちゃちゃいれます。
小市民といった感じのちっちゃい夫が
いがいに賢い亡き妻にからかわれるところが面白い。






今日の読んだ本。

2005-11-07 20:48:51 | 本の感想
ナイルの庭   アガサ・クリスティー

猛スピードで母は   長島 有

うちゅうでいちばんあかるい屋根   野中ともそ






*「猛スピードで母は」は芥川賞受賞作のよう。
読みやすかった、けど単調でした。

新着読書・「象の消滅」

2005-10-31 00:41:46 | 本の感想
アメリカの大手文芸誌「ニューヨーカー」に掲載された
村上春樹初期短編選集
日本語版に訳されたものらしいですね(逆輸入?)
冒頭にアメリカの編集者のえーとなんだろあとがきのような(冒頭だよ)
エッセイ?当時の感想のようなものがついてます、
あと村上春樹本人のも。
村上春樹は雑誌「ニューヨーカー」についてとか
アメリカの出版界についてとか書いてて
向こうの本の周りの状況がわかって「へ~!」
とゆう感じで面白いです、大分、違うのですね。

  ◆目次◆
  ねじまき鳥と火曜日の女達
  パン屋再襲撃
  カンガルー通信
  四月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて
  眠り
  ローマ帝国の崩壊・一八八一年のインディアン蜂起・ヒットラーのポーランド侵入・そして強風世界
  レーダーホーゼン
  納屋を焼く
  緑色の獣
  ファミリー・アフェア
  窓
  テレビピープル
  中国行きのスロウ・ボート
  踊る小人
  午後の最後の芝生
  沈黙
  象の消滅


先日読んだ「レキシントンの幽霊」にも出てくる、沈黙、緑色の獣、なんかも出てますね、もちろん面白いです。
新しく読んで特に面白かったのは「納屋を焼く」です。
でもなんかこの本は全体的になんか怖い感じがします…
もちらん「村上春樹的」な怖さなんですけど、
「納屋を焼く」なんかも「分かった時」にヒュッとしました。
思ったんですけど一番初めの「ねじまき鳥と~」って「ねじまき鳥とクロニクル」のどっかの一部分ですよね、
あれだけ読んでもすっきりしない気がするんだけど…
なぜ短編?


夜のぴくにっく

2005-06-25 19:21:40 | 本の感想
恩田陸の「夜のピクニック」を読みました
面白かったけど、まぁ普通。
本屋大賞だけど、まぁ普通。
キャラクターの性格は好きなんだけど
なんだかなー?
なんか違和感とゆーか
もやもやしながら読みました。
前、恩田陸さんのなんかの本で
あとがきのなかに書いてあったけど
高校生男子を爽やかに書きすぎだよ!
ってトコが原因だと気づく。
あとパーフェクトな女の子ってゆーけど(作中に出てくる)
「異性に人気あってミーハーなんだけど性格が良くて同性にも好かれる美人」
ってい…るのかぁ?
うぅーん高校生達が性格良すぎて
頭良すぎて。なんだかなー。

「さよなら、スナフキン」について。オススメな本。

2005-04-07 21:43:11 | 本の感想
好きな本が、いくつかあるわけですが。
その中でも特に思い入れがあるのがこの本

人生全体的にうまくいってない、主に人間関係。
偉そうな事なんか望んでない、人から必要とされたいだけ。
人間が怖い、傷つくのが怖いから。
愛情乞食で居場所がほしい、
人から愛されるまっとうな人になりたいのに
いつもトンチンカンで痛い。淋しい。

そんな四浪の大学生の「私」が成長をもとめてとびこんだ社会(編集プロダクション)での物語

あんま体育会系じゃなくて、小心者の人ならわかるんじゃないかなぁ。
別にこの主人公は家が超貧乏で虐待されてきたわけでも
ディープな状況にはまってドロドロしてるわけでもないです。
そんな苦労者のサクセスストーリーじゃないです。
むしろ「普通」に近い、
もっといえば「私たち」に近いと思うのです。

この話は主人公の視点から書かれているのですが「主人公=作者」?
作者の体験を下敷きにして書かれたんでしょうか、リアルです。
こんな風に書いてくると暗ーい・だるーい感じに聞こえちゃいますが(文才なくて)
悲しみに呆気にとられている様子とか
友達とのユーモアのある会話とか
テンポが軽くて、笑える所も多々ある面白い話です。

なんとなくシンパシーを感じるこの本
おもしろいなぁ、と思ってくれる人がいたらなんか嬉しいです