集英社文庫 全4巻+読本1巻
著 者 浅田 次郎
浅田次郎は稀代のエンターティナーだ。よくもここまで練り上げて虚構の世界を作り上げたものだ。その力量にただ々々打ちのめされる。その彼自らが、この著作を「我が全作品の長男」と明言している。
安吉一家の六人は勿論のこと、登場人物たちが行間から立ち上がってくる。登場人物の造形のたくみなこと、多少のデフォルメで、さらに本物らしくなる。
荷風、鴎外、夢二などの文人から山形有朋、東郷平八郎の軍人、さらには愛新覚羅溥傑までもが入れ替わりに登場しては、話して泣いて笑って怒ってと、もう無茶苦茶。
松蔵や一家の、歯切れの良い江戸弁によって、テンポよい展開となって実に気持ちがいい。
中村勘三郎が松蔵役を演じたTV作品は、残念ながら見損なってしまった。多彩な人物たちのキャスティングを想像しながら読むのも、もう一つの楽しみになろうか。
著 者 浅田 次郎
浅田次郎は稀代のエンターティナーだ。よくもここまで練り上げて虚構の世界を作り上げたものだ。その力量にただ々々打ちのめされる。その彼自らが、この著作を「我が全作品の長男」と明言している。
親分の安吉(目細の安)、寅弥(説教寅)、おこん(振袖おこん)栄治(黄不動の栄治)、常次郎(書生常)、最後に主人公の松蔵(天切り松)。
安吉一家の六人は勿論のこと、登場人物たちが行間から立ち上がってくる。登場人物の造形のたくみなこと、多少のデフォルメで、さらに本物らしくなる。
荷風、鴎外、夢二などの文人から山形有朋、東郷平八郎の軍人、さらには愛新覚羅溥傑までもが入れ替わりに登場しては、話して泣いて笑って怒ってと、もう無茶苦茶。
松蔵や一家の、歯切れの良い江戸弁によって、テンポよい展開となって実に気持ちがいい。
中村勘三郎が松蔵役を演じたTV作品は、残念ながら見損なってしまった。多彩な人物たちのキャスティングを想像しながら読むのも、もう一つの楽しみになろうか。