処遊楽

人生は泣き笑い。山あり谷あり海もある。愛して憎んで会って別れて我が人生。
力一杯生きよう。
衆生所遊楽。

ハゲタカ

2009-06-14 23:28:03 | 

真山 仁 著、 講談社文庫 全2巻

 

             

 

NHKの番組宣伝に刺激を受けて読んでみた。

かなり分厚い分量だが、面白く一気に読めた。

 

現実のニュースにおけるこうした経済・金融報道は、実にわかりにくい。とりわけ、新聞は、果たして書いてる記者は、自身が本当に判っているのか、と思わざるを得ない記事が多い。

 

ところが、この本は、実によく判る。それだけ著者の力量が群を抜いている。こう断定すると記者らは、「長い文章なら、俺だって判り易く書ける」と反論するか知らん。「だったら、あなたが小説書いてみて」と言おう。出来ッこないのだ。

例えば、預金保険法102条の適用の一号措置と三号措置の違い。「再生」と「破綻」、規模とケースと影響などが素人でもスッと理解できる。

 

登場人物一人ひとりの造形と配置が巧み。彼らの心では、明と暗、善と悪が交錯する。その人間臭さが、最後まで飽きさせない要素でもあろう。

 

私のキャステイング。鷲津は田宮二郎をおいて他に無し。飯島は中村伸朗、松平は十朱幸代、芝野は加藤剛。ちょっと昔過ぎるか。まあいいや。