ぜじろぐ

SAMBATOWN・ゼジの書くブラジル音楽やその他あれこれ

しまった!

2008-10-06 15:33:18 | CD

10/1にこの記事を上げなければいけなかったのに、10月セールの準備やら何やらですっかり失念しておりました。しかし負け惜しみを言わせていただければ、本日で不惑のトシを迎えるワタシにおきましては、自らのアニベルサリオを祝う上でも、この記事は今日この日にこそふさわしいんであります。何かっちゅうと、ピカイア・パンデイロ・スペシャル(以下pps)の話。

ppsにつきましてはこれまでも何度か記事を書かせていただきましたが、正直申しまして国内で活躍するブラジル音楽系ミュージシャンの中では個人的に最も熱視線をビビビーッと送っているグループなのです。彼らがブレイクするか否かが、ここ日本において「ボサノヴァ以外のブラジル音楽の魅力」がどれだけ浸透しているかを知る上でのバロメータになるであろう、とこの際明確に申し上げておきましょう。

ppsは2年前にグループ処女作「SANGUE」を発表しました。皆さんご承知のように、日本ではボサノヴァあるいはボサ系サンバといった「心地良さ」のベクトルにある音楽が一般的にはウケが良く、ラヂオなどのメディアでも好んで採り上げられる傾向にありますが、同時に「おいおいおい電波に乗って流れて来るんはこんなんばっかしかい」とお思いの方もいらっしゃることかと思います(すみません、はっきり失礼を申しますけど名古屋ってそんなんばっかしなんスよ)。このppsの表現する音楽は、そういった「上澄みすくい取り系ブラジルチック音楽」路線とは対極をなす、まさに理屈抜きの肉体派ミュージック、血沸き肉躍る快楽追求型音楽なんであります。そりゃモチーフになっているのがブラジル北東部直系の強烈無比なアフロブラジリアンビートですからもう必然的不可避的にそうなっちゃうわけでして、えーと、結局何が言いたいんだっけな、そうそう、そのファーストアルバム「SANGUE」もそういう魅力に溢れた衝撃作だったわけでありまして、これは今にして思えば「案ずるより産むが易し」、やったモン勝ちの境地で製作された作品であった(と思われる)と店主は位置づけております。ヤケドしそうにアツい彼らの音楽をあえてじっくり聴き込みつつ「ここがこうなればもっと凄いぞ」みたいな、そういった無理な要望というか、欲が出てきたのもまた事実でした。

ところがこの、10/1に満を持して登場した2ndアルバム「TOKYO VOLCANO」はもうとてつもなく凄い!僭越ながらワタシが感じた「ここがこうなれば」に対する全ての回答が新作に詰め込まれておりました。それも予想を遥かに上回るカッコ良さで。

前作よりも一段と開放感に満ちたメロディが冴え渡る渡辺隆雄のトランペット。
この男の引き出しの多さは一体いかほどかと驚嘆する中西文彦のファンキーかつアグレッシヴなギタープレイ。
本職のドラムというパンドラの箱を開け、痛快なまでにタイトなリズムを繰り出す宮川剛の男らしさ。
そして永遠に変わることのない、いや誰にも変えようがない、普通の人が真似したら間違いなく身体を壊す、小澤敏也のナチュラルトリップ度レッドゾーンのブチ切れパーカッションプレイ。
本作を聴けば、貴方の中で、何者かによって抑えつけられていたやり場のない鬱屈としたものが弾け飛ぶのを感じることができるでしょう。特に最終曲「Alfunkadeiro」のヤバさは筆舌に尽くしがたく、ライヴでこれ演奏されたらワタシは自分自身を制御する自信がありません。

・・・と、ここまで激賞しておきながら、当のサンバタウンでこのTOKYO VOLCANOをまだ取り扱っていないという本末転倒ぶり。店主大反省。大急ぎでオーダーします。ちなみにこれはセール対象外アイテムですので悪しからず。

ppsの面々は現在レコ発ツアーの真っ最中。名古屋はピカイアコアメンバーの2人で10/29(水)@なんや、フルコンポーネントでは11/14(金)に彼らのホームグラウンドともいうべき得三にて。

全くの余談ですが、そうこう書いてるうちに先ほど遂にワタシの許へも、話題の「ねんきん特別便」が舞い込んで来ました。幸いにも内容には問題なくホッと胸を撫で下ろしたのですが、これがワタシへのバースデイプレゼントかい、社会保険庁さん。