つぶやき、或は三文小説のやうな。

自由律俳句になりそうな、ならなそうな何かを綴ってみる。物置のような実験室。

空白を埋めよ

2017-05-08 22:01:55 | 文もどき
私の小説、私の繭よ。
昔むかしに読んだ小説の主人公は、汗でよれるページに一心不乱にペンを走らせながら不安な空白を文字で埋めた。
読書が好きなやつは、現実逃避をしたいだけ。
以前読んだ小説の主人公は、作中で独白する。
創作活動は、少々体調が思わしくないときにこそインスピレーションをもたらすものだよ。
これは、かつての恩師の言葉。
ひとが文字を綴るとき、あるいはシャッターを切るとき、音楽を紡ぐとき、身体の延長線上で言葉を発しようとするときには、そこには何らかの痛みや鬱屈やパンドラの匣から飛び出した種々の抑圧があるのだろう。
私がそういうと、そう拗ねたものでもないよ、と返された。
では思いあたるところがあるかと問うと、少し照れながら答を返してくる。
たとえば恋文、とか。