つぶやき、或は三文小説のやうな。

自由律俳句になりそうな、ならなそうな何かを綴ってみる。物置のような実験室。

名訳

2016-11-11 22:19:06 | 文もどき
カサブランカの話になった。

Here's looking at you, kid.
君の瞳に乾杯。

実に美しい訳だと思う。

We'll always have Paris.
俺たちにはパリの思い出がある。

ダンディズムはやせ我慢では断じてない。

愛には形がない。
思い出は色褪せない。
胸にはいつでも、美しい愛の思い出がある。
それだけで、男は生きてゆけるのだ。

これを踏まえて考えるに、君の瞳に乾杯、とは。
君に変わらぬ愛を捧ぐ、俺の心はいつでも君にある。
ということになろうか。

翻訳は、高瀬鎮夫氏という。
ボギーに劣らぬダンディであろう。
粋、というべきかもしれないが。

T氏へ。
高瀬氏はさらに我々を痺れさせる名台詞をも生んでいる。

You ain't heard nothin' yet!
お楽しみはこれからだ。

物語と描かれた時代背景を知れば、文字通り、心臓を一発で撃ち抜かれること請け合いである。